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情報フラッシュ [ 連載記事 ]
不正な財務報告 第4回 〜財務不正の発見1〜
[ トピック解説 ]
新概念フレームワークの概要について
顧客との契約から生じる収益に関する論点の整理
金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン

情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成23年1月7日 日本公認会計士協会監査基準委員会が、国際監査・保証基準審議会(IAASB)が行うクラリティ・プロジェクトの動向を踏まえた委員会報告書の新起草方針に基づいて、関連当事者に関する委員会報告書の改正についての中間報告を公表しました。
平成23年1月18日 日本公認会計士協会会計制度委員会が、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」等に対応するため、所定の改正を行った連結財務諸表及び税効果に関する委員会報告計6本を公表しました。
平成23年1月19日 日本公認会計士協会会計制度委員会が、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」等に対応するため、所定の改正を行った外貨建取引・研究開発費及びソフトウェア・金融商品・税効果に関する委員会報告等計6本の公開草案を公表しました。
平成23年1月20日 日本公認会計士協会監査・保証実務委員会が、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」及び「会社計算規則の一部を改正する省令」(法務省令)等に対応するため、所定の改定を行った監査報告書作成実務に関する委員会報告の公開草案を公表しました。
平成23年1月20日 日本公認会計士協会監査・保証実務委員会が、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」等の適用に対応するため、準備金・引当金・役員退職慰労金等に関する委員会報告5本について、公開草案を公表しました。
平成23年1月20日 企業会計基準委員会が、国際会計基準委員会(IASB)米国財務会計基準委員(FASB)が共同で行っている収益認識に関する会計基準の見直しの検討を踏まえ、顧客との契約から生じる収益に関する論点整理を公表しました。
平成23年1月21日 日本公認会計士協会監査基準委員会が、国際監査・保証基準審議会(IAASB)が行うクラリティ・プロジェクトの動向を踏まえた委員会報告書の新起草方針に基づいて、監査業務における品質管理に関する委員会報告書等計8本の改正についての中間報告を公表しました。

トピック解説

 
 

新概念フレームワークの概要について

1.概要

国際会計基準審議会(以下、「IASB」という)と、米国財務会計基準審議会(以下、「FASB」という)は、現在、両者共通の改善された概念フレームワークの開発を目的とした合同プロジェクト(以下、「概念フレームワーク・プロジェクト」という)を進めています。

2010年9月28日、当該プロジェクトの第一段階であるフェーズA (「財務報告の目的」及び「質的特性」の改訂)が完了し、両審議会より、以下の文書が公表されました。

・IASB -「財務報告の概念フレームワーク2010年版」(以下、「新概念フレームワーク」という)

・FASB - 財務会計概念基準書8号「財務報告の概念フレームワーク」 第1章「一般目的財務報告の目的」及び第3章「有用な財務情報の質的特性」

両文書は、従来の概念フレームワークのうち、「財務報告の目的」、及び「財務情報が有すべき質的特性」の箇所について改訂されたものです。それ以外の箇所については、その内容がほぼ従来通りに引き継がれています。


概念フレームワークの本文の紹介に入る前に、まず、概念フレームワークとはどのようなものであるのか、そして概念フレームワーク・プロジェクトとはどういったものであるのか、について簡単に触れたいと思います。

2.概念フレームワークとは

国際財務報告基準は、日本の会計基準とは異なり、個々の具体的な適用指針や形式基準を設けず、基本的な基準や原理原則のみを示し、個々の判断は財務諸表作成者や監査人の判断に委ねる原則主義を採用しています。

概念フレームワークは、この原則主義における原理原則の基礎となる考えであり、財務諸表作成者に対しては、財務諸表の作成に当たり明確な会計基準が存在しない場合の会計処理の判断の指針を提供し、会計基準設定主体に対しては、将来の会計基準の開発や現行の会計基準の見直しを行う際の指針を提供する役割を有しています。

3.概念フレームワーク・プロジェクトとは

概念フレームワーク・プロジェクトとは、IASBとFASBとの間で、2004年4月に合意された合同プロジェクトのことです。

当該プロジェクトは、2002年のノーウォーク合意に基づき、両者の会計基準の収斂作業を進めていく中で、その実現の為には、まず両者の概念フレームワークを統合・改善し、共通の概念フレームワークを開発することが必要であると考えられたことから立ち上げられました。

概念フレームワークの開発には長い年月がかかると考えられたことから、概念フレームワーク・プロジェクトは、8つの段階(フェーズ)に分かれています。

改訂作業は今後も引き続き進められる予定であり、今後の展開についても注意深く見守る必要があります。


フェーズ 取扱事項 各フェーズの目的 進捗状況
A 財務報告の目的及び質的特性 財務報告の目的の明確化。
質的特性間の関係の明確化。
完了
B 構成要素及び認識 資産・負債の定義の見直し及び明確化、他の構成要素との定義の差異の解消、認識基準の見直し。 今後決定される。
C 測定 財務報告の目的及び質的特性を満たす測定の基礎を選択する際の指針の検討。 2011年第1四半期までにディスカッション・ペーパーを公表し、2011年後半以降に公開草案を公表。
D 報告企業 報告企業の範囲の決定。 2010年3月に公開草案が公表され、2011年第一四半期に最終化する予定。
E 表示及び開示 財務情報の表示および開示に関する基礎概念の検討。 作業が開始されていない。
F 概念フレームワークの、公正なる会計慣行(GAAP)ヒエラルキーにおける位置づけ IASBとIFRSとでは、概念フレームワークのGAAPヒエラルキー内での位置づけが異なっているため、これら差異の解消を目指す。 作業が開始されていない。
G 非営利セクターへの適用 フェーズAからFで検討された成果について、非営利セクターへの適用の可否を検討する。 作業が開始されていない。
H 残りの論点及びまとめ フェーズAからGで検討されなかった問題を検討する。 作業が開始されていない。

4.新概念フレームワーク本文について 〜主な改訂点とその概要〜

今回の改訂は、概念フレームワーク・プロジェクトの第一段階であるフェーズAの成果物であり、IASB及びFASB両文書において、フェーズAの対象であった「財務報告の目的」及び「質的特性」の箇所を中心に改訂が行われました。両文書における改訂部分は、実質的には同じ内容ですので、本稿では、IASBによる新概念フレームワークの改訂部分を中心にご紹介いたします。尚、説明にあたり、改訂前の概念フレームワークは、「旧概念フレームワーク」とします。

[1]第1章「一般目的財務報告の目的」

この章では、財務報告の目的として、その利用者に対しどのような情報を提供すべきであるか、について述べられています。

旧概念フレームワークにおいては、財務諸表の目的について「広範な利用者が経済的意思決定を行うにあたり、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に関する有用な情報を提供すること」であるとされていました。しかしながら、財務報告の主な対象となる「利用者」についての範囲、「経済的意思決定」の具体的内容、及びそれら意思決定内容と意思決定を行う上で必要とされる情報との関係について、具体的な言及が十分になされていませんでした。

そこで、今回の改訂では、「利用者」の範囲や「経済的意思決定」の内容をより詳細に示し、「利用者」、「経済的意思決定」、「必要とされる情報」三者間の関係の整理することで、フェーズAの課題である「財務報告の目的の明確化」が図られました。


(1) 利用者の範囲の明確化

旧概念フレームワークにおいて、利用者は「広範な利用者」とされ、特にその範囲についての説明はありませんでしたが、今回の改訂により、財務報告の目的の対象となる「主たる利用者」の範囲について、「既存及び潜在的な投資者、貸付者、ならびにその他の債権者」として明示され、より限定的になりました(OB2項)。

「既存及び潜在的な投資者、貸付者、ならびにその他の債権者」が「主たる利用者」の範囲として明示された理由は、両審議会が、その範囲設定に際し、最も重要かつ緊急なニーズがあるにも関わらず、必要な財務情報を直接企業に請求することができず、その情報ニーズのほとんどを一般財務報告にのみ依拠することになる既存及び潜在的市場参加者に焦点を当てるべきである、としたためです(OB5項、BC1.16項)。

従って、「主たる利用者」の範囲には、内部から必要な財務情報を入手することが可能な経営者は含まれないことが明示され(OB9項)、また、官公庁、規制当局及びその他政府関係者についても、市場の安定等、一般の市場参加者とは異なる目的を有していることから、一般の市場参加者の情報ニーズとのコンフリクトを回避するために「主たる利用者」の範囲から除外されました(OB10項、BC1.23項)。


(2) 利用者の意思決定の内容の明確化

旧概念フレームワークにおいては、利用者の意思決定の内容を「経済的意思決定」とするのみで、それ以上の具体的な記述は、「例えば、利用者が企業に対する投資を保有または売却するかどうか、経営者を再任又は交替させるかどうかなどが含まれる」とし、例示にとどめていました。

今回の改訂で、「主たる利用者」の範囲が明確化されたことにより、その意思決定の内容も、従来の「経済的意思決定」から「企業への資源の提供」とされ、より限定的な表現が用いられるようになりました。

更に、「主たる利用者」ごとに、意思決定内容がより詳細に示され、投資家の意思決定内容については「持分証券及び負債証券の購入、売却、保有の継続」とされ、債権者の意思決定内容については「貸付金及び他の形態の与信の提供または回収」であるとされました(OB2項)。

また、旧概念フレームワークにおいて例示として挙げられていた、「経営者を再任又は交替させるかどうか」すなわち経営者の受託責任の履行の適否に関する判断についても議論があり、「企業への資源の提供」と並列された意思決定の内容として扱われるべきとする考え方もありましたが、あくまで意思決定の内容は「企業への資源の提供」に一本化されることになりました。

そして、経営者の受託責任の履行の適否の判断については、当該事項に関する情報が、利用者が意思決定を行うために必要となる有用な情報の一つであるとして位置付けられ、整理されました(OB4項)。


(3) 意思決定の内容と、利用者が必要とする情報との関係

主たる利用者の意思決定の内容が明確に示されたことで、意思決定の内容と、意思決定を行う為に必要とされる情報との関係についても整理が進みました。当該関係については、概ね以下のような内容で整理されました。

まず、証券の売却購入、保有や資金の貸出等「企業への資源の提供」について意思決定を行う為には、利用者は期待リターンを必要とします。意思決定において必要とされる期待リターンは、企業の将来キャッシュ・インフローの金額・時点・不確実性を評価することにより算出されます。そして、将来キャッシュ・インフローについての評価を可能とする為に、企業の財政状態及び業績についての情報、つまり企業の経済的資源、請求権及び経営者の受託責任の履行状況に関する情報が求められることになります(OB3項〜OB4項)。

旧概念フレームワークにおいては、利用者が経済的意思決定を行うためには、現金および現金同等物を生み出す企業の能力を評価する必要があるとされていました。この評価を行うためには、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に焦点を当てた情報が必要であるとされていました。

今回の改訂により、利用者が行う意思決定と、企業の能力評価との関係について、期待リターンに触れることで、より詳細に示されることになりました。


参考 (図表2)新旧フレームワーク対比表(財務報告の目的)
  旧概念フレームワーク 新概念フレームワーク
目的 財務諸表の目的は、広範な利用者が経済的意思決定を行うにあたり、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に関する有用な情報を提供することである。 一般財務報告の目的は、既存及び潜在的な投資者、貸付者、ならびにその他の債権者が、企業への資源提供について行う意思決定に有用な報告企業に関する財務情報を提供することである。
利用者の範囲 広範な利用者 既存及び潜在的な投資者、貸付者、ならびにその他の債権者
意思決定内容 経済的意思決定
(かかる意思決定には、例えば、利用者が企業に対する投資を保有または売却するかどうか、経営者を再任又は交替させるかどうかなどが含まれる。)
・既存及び潜在的投資家
→持分証券及び負債証券の購入、売却、保有の継続。
・貸付者、その他の債権者
 →貸付金及び他の形態の与信の提供または回収。

[2]第3章「有用な財務情報の質的特性」

この章では、主たる利用者が意思決定を行う際に最も有用となりうる情報の特性を質的特性として説明しています(QC1項〜3項)。すなわち、質的特性は、利用者に有用な情報を提供すると言う財務報告の目的を実現する際に、有用な情報とは何であるのかを明らかにします。

旧概念フレームワークにおいては、質的特性間の関係が必ずしも明確に明示されているとは言えませんでした。

そこで、概念フレームワーク・プロジェクトにおけるフェーズAの課題として「質的特性間の関係の明確化」が挙げられていました。今回の改訂により、質的特性についての分類、階層分けが行われ、質的特性間の関係が明瞭になりました。

また、第3章におけるその他の主な改訂点として、質的特性の一つである「信頼性」について、用語の見直しが行われたことが挙げられます。


(1)基礎的質的特性と補完的質的特性への分類、階層分け
1)基礎的質的特性と補完的質的特性

従来、並列的な扱いとされていた4つの主要な質的特性(理解可能性、目的適合性、信頼性、比較可能性)が、基礎的質的特性又は補完的質的特性として分類、階層分けされました(QC5項〜34項)。

旧概念フレームワークでは、主要な質的特性についての紹介にとどまり、それら相互の関係について、細かな言及はなされていませんでした。そのため、質的特性がお互いにどのような関係を有するのかについて、その見解に混乱が生じていました。そこで、今回の改訂により、基礎的質的特性及び補完的質的特性という概念を設け、財務情報が有用である為に必ず満たされるべき質的特性は基礎的質的特性として、必ずしも満たされる必要はないが、それらが満たされることにより、財務情報の有用性をより補強する性質を持つ質的特性を補完的質的特性として分類することで、質的特性間の関係がより明瞭になりました(QC4項)。


2)各質的特性の分類
参考 (図表3)新旧フレームワーク対比表(質的特性の分類)
旧概念フレームワークにおける質的特性の分類
主要な質的特性
 目的適合性
 信頼性

 
 理解可能性
 比較可能性
 
新概念フレームワークにおける質的特性の分類
基礎的質的特性
 目的適合性
 表現の忠実性(旧フレームワークにおける信頼性に相当)
補完的質的特性
 理解可能性
 比較可能性
 適時性
 検証可能性
a.基礎的質的特性

財務情報が有用である為に必ず満たされるべき質的特性を基礎的質的特性としています。

基礎的質的特性に分類された質的特性は、目的適合性と表現の忠実性の2つの質的特性です。両者が基礎的質的特性として分類された理由は、両者が満たされていない情報は有用とはなり得ず、また他の補完的質的特性がどれだけ満たされていたとしても、2つの基礎的質的特性が満たされていない情報は、有用な情報とはなり得ないためであるとされています。(BC3.10項)。

基礎的質的特性に分類された目的適合性及び表現の忠実性の内容は以下の通りです。

イ.目的適合性
(内容)その情報が利用者の意思決定に変化を及ぼすものであること、財務情報が将来の結果の予測に利用可能である場合や、過去の評価の再確認等に利用可能である場合、その情報は利用者の意思決定に変化を与え得るとされています。(QC6項〜QC11項)。
ロ.表現の忠実性
(内容)重大な誤謬や偏向が無く、経済事象を理解する上で必要なすべての情報が含まれており、表現が偏向しておらず、事実が忠実に表現されていること(QC12項〜QC16項)。

b.補完的質的特性

質的特性のうち、必ずしも満たされる必要はないが、それらが満たされることにより、財務情報の有用性をより補強する性質を持つものを補完的質的特性としています。

補完的質的特性は、可能な限り最大化されるべきであるが、基礎的質的特性が満たされていない情報については、補完的質的特性のみを満たすことにより情報を有用にすることはできないとされています。また、他の質的特性を最大化するために、ある補完的質的特性を弱めなければならない場合があるとし、質的特性間のトレードオフ関係についても言及されています(QC33項〜34項)。

なお、補完的質的特性に分類された質的特性の内容及び分類理由は以下の通りです。

イ.理解可能性
(内容)情報が明確かつ簡潔に情報を分類、表示していること(QC30項〜32項)。
(分類理由)仮に、理解可能性を基礎的質的特性とした場合、公表されるべきであるが理解に難しい情報が公表されない可能性があると考えられる為であるとされています(BC3.42項)。
ロ.比較可能性
(内容)情報が企業間比較、期間比較に役立つものであること(QC20項〜25項)。
(分類理由)基礎的質的特性が満たされていれば、ある程度の比較可能性は担保されており、情報が有用である為の必須要件として敢えて挙げる必要は無いと判断されました。また、比較可能性が満たされていても、基礎的質的特性が満たされていなければ、意思決定を誤らせる可能性が考えられるからである、とされています(QC24項、BC3.33項)。
ハ.検証可能性
(内容)情報が現物や公式等によって検証可能であること(QC26項〜QC28項)。
(分類理由)会計上の見積りは、通常現物等によって直接的に検証できないものであり、検証可能性が必ずしも満たされているとは言えません。そのため、仮に検証可能性を基礎的質的特性に分類し、「有用な情報」である為の必須条件にした場合、会計上の見積りの多くが認識されない場合も考えられます。しかし会計上の見積りの多くは、利用者の意思決定に際し非常に有用であると考えられることから、検証可能性を基礎的質的特性には分類することは妥当であるとはされず、補完的質的特性へと分類されることになりました(BC3.36項)。
ニ.適時性
(内容)情報が遅れることなく提供されること(QC29項)。
(分類理由)過去の情報であっても、傾向の識別や評価を行う際には有用であることから、適時性が満たされていなくても、情報の有用性が担保されるケースが想定される為であるとされています(BC3.39項)。

(2)「信頼性」についての用語の見直し

旧概念フレームワークにおいて「信頼性」とされていた質的特性について、用語の見直しが行われ、「表現の忠実性」とされました。

旧概念フレームワークでは、「信頼性」について、情報が有用である為には、当該情報が信頼されうるものでなければならないとし、重大な誤謬や偏向が無く、事実を忠実に表現されている事が必要であると説明されていました。

新概念フレームワークにおいても、当該概念の本質的な理解は変わらず、情報が有用である為には、重大な誤謬や偏向が無く、経済事象を理解する上で必要なすべての情報が含まれ、また、表現が偏向していないことが必要であるとされています(QC12項〜16項)。

しかしながら、「信頼性」という用語は様々に解釈され、共通の理解が得られず、また誤解が多かったことから、当該概念を最も端的に表す用語について再考が行われることになりました。そして、旧概念フレームワークにおいて「信頼性」を構成する概念のうち最も重要であるとされていた、「表現の忠実性(事実が忠実に表現されている事)」が、これを最も適切に表すものであるとし、新たな用語として採用されました(BC3.23〜BC3.25項)。

5.まとめ

概念フレームワーク・プロジェクトの第一段階であるフェーズAが完了し、IFRSと米国会計基準の概念フレームワークの共通化プロジェクトが初めて具体的に進捗したと言えます。その点では、今後の会計基準の国際的収斂に向け大きな前進であったと考えられます。

また、今回の改訂内容については、諸概念の根本的な再考や理解の見直しが行われたと言うよりも、既存の理解に即し、概念の整理が行われた印象があります。原則主義を採用する国際財務報告基準において、概念フレームワークは会計処理判断の実務上の指針となりうることからも、今後進められていく改訂作業についても注意深く見守る必要があります。

執筆者:廣川智朗
 


 

「顧客との契約から生じる収益に関する論点の整理」の公表

1.目的

2011年1月20日、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」という)より「顧客との契約から生じる収益に関する論点の整理」が公表されました。この論点整理の公表は、国際会計基準審議会(以下、「IASB」という)と米国財務会計基準委員会(以下、「FASB」という)が共同で収益認識に関する会計基準の見直しの検討を進めていることを受けて、今後我が国でも収益認識に関する会計基準を整備していくための一環として行われました。

2.背景

現在IASBがFASBと共同で進めている収益認識に関する会計基準の見直しでは、2008年12月にディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解」(以下、「IASB及びFASBのDP」という)、2010年6月には公開草案「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IASB及びFASBのED」という)が公表されています。IASBが公表した計画によれば、2011年第2四半期に新たな会計基準が公表される予定です。

このような状況を踏まえて、ASBJは2009年9月、『契約に含まれる財又はサービスを履行義務として識別し、企業が履行義務を充足した時(顧客に財又はサービスを移転し、顧客が当該財又はサービスの支配を獲得した時)に収益を認識する』というIASB及びFASBのDPの基本的な考え方に関する議論を「収益認識に関する論点整理」として公表しました。この論点整理に対して、契約に含まれる財又はサービスを一律に履行義務として識別することに対する懸念や、支配の定義や具体的な解釈が明確ではないという意見がASBJに多数寄せられました。

そこで、ASBJはこれらの意見への対応に加え、IASB及びFASBのEDを踏まえて、2009年9月の収益認識に関する論点整理をアップデートし、さらに今後の我が国の収益認識に関する会計基準の方向性を示した上で、市場関係者から広く意見を求めることを目的として、本論点整理を公表しました。

3.概要

[1]IASB及びFASBが提案するモデル

IASB及びFASBのEDが提案するモデルでは、顧客への財又はサービスの移転を描写するように、当該財又はサービスと交換に企業が受け取る(又は受け取ると見込まれる)対価を反映する金額により収益を認識しなければならないとされており、この原則を適用するために、以下のような収益認識を行うことを提案しています。

(1)顧客との契約を識別する
(2)契約に含まれる別個の履行義務を識別する
(3)取引価格を算定する
(4)当該取引価格を別個の履行義務に配分する
(5)企業がそれぞれの履行義務を充足した時に収益を認識する


[2]現行実務への影響

上記の[1]の提案モデルにより会計処理を行うと、現行実務上次のような影響が生じると考えられています。

(1)財又はサービスの移転からのみの収益認識

財又はサービスの移転のみをもって収益を認識することから、資産の製造に関する契約(例:建設、製造、特別仕様のソフトウェア(工事契約))は、顧客が資産の製造に応じて当該資産を支配する場合にのみ連続的に収益を認識することとなります。

(2)別個の履行義務の識別

提案モデルでは、企業は区別できる財又はサービスについて、契約を別個の履行義務として会計処理するよう求めていることから、企業が現行実務で識別している会計単位とは異なる会計単位に契約が分割されることがあります。

(3)総額表示と純額表示

企業が履行義務を充足する時、企業は本人として負った履行義務として識別した場合には財又はサービスに対して受け取る金額を収益として認識した上で総額表示し、代理人として負った履行義務として識別した場合には手数料部分を収益として認識した上で純額表示することが求められます。

(4)製品保証

現行実務では、製品の販売に製品保証の条件が付されている場合、企業は販売時点で売上計上するとともに、保証の履行による費用負担見込額を引当計上する処理が一般的ですが、提案モデルが適用されると、製品保証の目的によって会計処理が異なります。すなわち、製品保証の目的が履行義務のない「品質保証的な製品保証」である場合、保証の可能性のある販売分の売上計上を繰り延べる処理が求められ、製品保証の目的が履行義務のある「保険的な製品保証」である場合には、販売価格の一部を製品保証部分に配分するという処理が求められます。

(5)カスタマー・ロイヤルティ・プログラム

企業がカスタマー・ロイヤルティ・プログラム(顧客に対するインセンティブを与えるためのポイントプログラムの総称)を実施する場合、将来の値引きを受ける権利の販売として別個の履行義務として識別し、取引価格を配分することが求められています。

(6)ライセンス及び使用権

顧客がライセンスを供与された知的財産に関連するほとんどすべての権利に対する支配を獲得する場合は、実質的な売却とみなして、ライセンス供与時に収益を認識することになります。一方、実質的な売却とみなされない場合は、顧客に供与されたライセンスが時間・地理的所在・流通チャネルといった観点から独占的であると認められれば、ライセンス期間にわたって収益を認識し、非独占的であれば顧客がライセンスから便益を得ることができるようになった時点で収益を認識することになります。

(7)返品権付きの製品販売

現行実務では、返品権付きの製品販売は販売時に収益に計上するとともに、返品が見込まれる部分の売上総利益相当額を引当計上する処理が一般的ですが、提案モデルが適用されると、返品が見込まれる部分は収益を計上せずに、代わりに返金負債と返品された製品を受け取る権利を計上するという処理が求められます。

(8)回収可能性の収益への反映

回収可能性の影響は、収益を減額させることで取引価格に反映させ、企業が対価に対する受取債権を取得した後の評価の変動による影響は、収益以外の損益として認識します。

(9)取引価格の算定にあたっての見積りの使用

割引、リベート、返金、顧客の信用リスクなどの要因により対価の金額が変動する場合、企業は取引価格を算定するにあたり、より広範に見積りの使用が認められます。ただし、企業は取引価格を合理的に見積ることができる場合にのみ、履行義務を充足した時に収益を認識することができ、取引価格を合理的に見積れない場合には収益を認識することができません。

(10)コストの会計処理

契約の履行コストは、次の要件をすべて満たす場合のみ、資産(無形資産又は仕掛品等)として認識されます。

1)契約に直接関連している
2)将来、履行義務を充足するために使用される企業の資源を創出する又は資源の価値を増加させる
3)回収が見込まれる

一方、契約の獲得コストは発生時に費用として認識することが求められています。

(11)注記

顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの金額、時期及び不確実性に関する財務諸表利用者の理解を促進させるために、期間中の収益の分解表示、契約資産(負債)に関する調整表、企業の履行義務に関する情報等を含めた開示の拡充が求められます。


以上がIASB及びFASBが提案するモデルの概要とそれに伴って生じると考えられる現行実務への影響の例示です。この「顧客との契約から生じる収益に関する論点の整理」の公表にはこれらの影響に関する個別論点が整理されています。

今後ASBJは、これらの論点に対する市場関係者からの意見を参考にしつつ、IASBやFASBに引き続き意見を発信していくとともに、我が国における収益の認識及び測定に関する包括的な会計基準の整備に向けた検討を続けていく予定であるとコメントしています。

 
執筆者:岡健太郎
 


 

金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン

1.概要

2010年12月24日に金融庁から「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン(最終版)」が公表されました。これは政府の新成長戦略(2010年6月18日閣議決定)の工程表に基づいて策定されたものであり、2010年12月7日に公表された中間案に関係者から寄せられた意見を取りまとめたものとなっています。

このアクションプランは、政府の新成長戦略において金融戦略が7つの戦略分野の一つとして位置づけていることから策定されました。政府は新成長戦略において金融に求める役割として以下の2点を掲げています。


イ 実態経済を支えること
ロ 金融自身が成長産業として経済をリードすること

そして、金融庁は政府の上記2点の役割を十分に発揮するために、このアクションプランで取り組んでいく方策として以下の3点を掲げています。


イ 企業等の規模・成長段階に応じた適切な資金供給
ロ アジアと日本とをつなぐ金融
ハ 国民が資産を安心して有効に活用できる環境整備

2.特色

なかでも注目されるのは、「企業等の規模・成長段階に応じた適切な資金供給」として示された方策です。このなかでは、中小企業、新興企業等それぞれのニーズに応じた、多様で円滑な資金調達の実現を促進するための対応が示されています。主な具体的対応としては以下のようなものがあります。

イ 中堅・中小企業の実態に応じた会計基準・内部統制報告制度等の見直し
ロ 新興市場等の信頼回復・活性化
ハ プロ向け社債市場・流通市場の整備
ニ 開示制度・運用の見直し
ホ 四半期報告の大幅簡素化
ヘ 社債市場の活性化

特に「新興市場等の信頼回復・活性化」は、重点的な対応が図られています。取り組むべき諸課題について4つの観点から整理し、実施すべき9つの事項を抽出しています。実施すべき9つの事項は以下のようになっています。

[1]上場前の企業の新興市場への上場促進
(1)グリーンシートの活用促進
(2)一定の質が確保された上場前の企業のリスト化
[2]上場審査等の信頼性回復・負担軽減等
(3)有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有
(4)引受審査等における審査の適正化・明確化等
[3]上場企業に対する負担の軽減及び適切な上場管理の実施
(5)内部統制報告制度の見直し
(6)成功事例を積極的に生み出すための支援の重点化
(7)リスク情報を含めた継続的な情報発信・開示の促進
[4]新興市場から他の市場等への移行等
(8)新興市場の位置づけの明確化
(9)上場廃止銘柄の受皿の整備

3.「新興市場等の信頼回復・活性化」への主な具体的対応

上記のように金融庁が「新興市場等の信頼回復・活性化」への対応を重点的に行おうとする背景には、日本の新興市場の冷え込みがあります。現在の日本の新興市場では取引高が減少し、新規上場企業数も減少しています。さらに最近ではアジア諸国の新興市場へ上場する新興企業も現れています。このような状況のなかで日本の新興市場の存在感を高めるために「新興市場等の信頼回復・活性化」が必要となっていると言えます。

「新興市場等の信頼回復・活性化」のためには新興企業への上場を目指す企業の存在が不可欠です。しかし、上場を目指す企業は減少傾向にあります。その一因は、企業にとって上場審査、上場後の対応への負担が大きいことだと言われています。そこで上記の実施すべき9つの事項のうち(3)〜(7)の5つの事項については、上場を目指す企業の負担を軽減することが図られています。その5つの事項について詳しく見てみましょう。


(3) 有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有

新興市場に対する投資者の信頼性を回復するためには、その入口である上場審査において有価証券報告書等の虚偽記載を防止し、安心して投資を行うことができる環境の整備が重要です。新規上場に当たっては主幹事証券会社、監査人及び取引所がそれぞれの立場から上場申請企業の審査等を行っていますが、三者間の連携の充実が必要とされています。具体的には、以下のような取組が検討されています。
イ 上場申請企業と早い段階から接触のある主幹事証券会社と監査人の間で、早期から情報交換を行う枠組み
ロ 主幹事証券会社、監査人及び取引所の間で有価証券報告書の虚偽記載等の事例について情報交換を行う枠組み


(4) 引受審査等における審査の適正化・明確化等

主幹事証券会社の引受審査に当たっては、上場申請企業に対し、理由が明確でない指摘や全体から見て軽微と思われる指摘が行われる例があり、指摘事項が発生すると他の項目についての審査が中断するとの例もあります。これらの点を踏まえ、企業の上場意欲を損なわないよう上場申請企業の予測可能性を高める必要があります。具体的には、以下のような取組が検討されています。
イ 上場を延期・断念すべき旨の打診が行われる際には、原則として文書交付等の手段により明確な理由の提示を行う。
ロ 例えば、売上に占める割合がごくわずかである事項の予実乖離等、企業全体から見て軽微と考えられる事項については審査を簡略化する。
ハ ある項目で指摘事項が発生した場合でも他の事項に関する審査を続けること等による審査期間の短縮を実現する。


(5) 内部統制報告制度の見直し

新興市場の上場申請企業や既上場企業の中には企業規模が比較的小さな企業が多く存在するため、現状の内部統制報告制度に係る負担が大きいとの指摘があります。そこで中堅・中小企業向けの効率的な内部統制報告実務の事例集の作成や、内部統制報告制度の効率的な運用手法を確立するための見直しが進められています。


(6) 成功事例を積極的に生み出すための支援の重点化

新興市場に対する投資者のイメージの向上には、上場した企業が成功事例となって順調な資金循環を生み出すことが重要です。そのためには、成長可能性を有する上場直後の企業、投資者への情報発信に積極的な企業、流動性の高い企業等に対し、取引所や主幹事証券会社は重点的に支援を行う必要があります。併せて、取引所や主幹事証券会社が実施する取組を上場企業に対し積極的に周知する必要もあります。具体的には、以下のような取組が検討されています。
イ 例えば流動性の高い企業や一定水準以上のIR活動の実績がある企業等に対して、取引所のイニシアティブによりアナリストレポートのカバレッジを拡大する。
ロ 取引所は、流動性、時価総額等に着目して選別された銘柄で構成されるインデックスを作成しETFの組成を促すことで、投資資金を呼び込む。
ハ 上場直後で内部体制が相対的に整っていない企業に対して、上場後一定期間に限り主幹事証券会社がIR活動を支援する。


(7) リスク情報を含めた継続的な情報発信・開示の促進

新興市場の上場企業は本則市場に上場している安定期の企業と比較して一般的に事業におけるリスクが大きいことから、投資者の信頼を得るには経営戦略の進捗状況やリスク情報等の継続的な情報発信・開示が求められます。現在の有価証券報告書等においても「事業等のリスク」が開示されていますが、新興市場の上場企業に対してはその特性を考慮した手法を検討する必要があります。具体的には、以下のような取組が検討されています。
イ 新興市場の上場企業が投資者に情報発信・開示すべきリスク情報につき検討するとともに、上場企業の大まかな業種や特性に応じてリスク情報の類型を整理する。
ロ 取引所は、定期的かつ継続的に実施される会社説明会等のIR活動の場において、リスク情報についても積極的な情報発信・開示を促す。

4.今後の対応

抽出された実施すべき9つの事項は、上場等に係る実務・運営に関するものであることから、各取引所、日本証券業協会、日本公認会計士協会等の市場関係者が主体的となってその内容の具体化につき検討を行い、具体的な取組の実施期限を明確にした工程表を、2011年前半を目途に作成・公表することとなっています。

金融庁の取組としては、実施すべき事項のうち、制度に係るもの(内部統制報告制度の見直し)については主体的となって取り組んでいくとともに、市場関係者が主体となる事項については、市場関係者による検討を促進し、全体として望ましい方向に進むよう調整を行うこととし、金融庁、取引所、日本証券業協会、日本公認会計士協会等による新興市場等の信頼回復・活性化策に係る協議会を設置することとなっています。

以上
 
執筆者:大野幸弘
 


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不正な財務報告 第4回 〜財務不正の発見1〜

今までの回では財務諸表の不正の内容及びその事例について見てきました。今回からは、それらの発見と防止について考えたいと思います。

「利益や売上が異常に増加している一方で、営業キャッシュ・フローが繰り返しマイナスになっている」、「顧客の需要が大幅に減少しており、業界全体で事業の失敗が増加している」、「財務諸表担当ではない経営陣が、会計に関与している」等の状況の場合には不正が行われている可能性があります。 また、このような状況だけでなく、会計データの分析的手続を行うことにより、不正の兆候が見つかる場合もあります。 では、どのような分析的手続が不正の発見には有効なのでしょうか。 財務諸表の不正を「架空収益」、「計上時期の操作」、「不適切な資産評価」、「負債や支出の隠ぺい」、「不適切な開示・公開」の5つに分けて、それぞれに対して有効な分析的手続と、どのような分析結果が出た場合に不正の兆候があると考えられるのかを見ていきましょう。


[1]架空収益

(1)有効な分析的手続

架空収益の発見に効果的な手続は、売上高の年次比較表や月次推移表、返品等の月次推移表、預り在庫の年次比較表や月次推移表等の分析です。 年次比較表や月次推移表に異常な増減があれば不正の兆候があると言えます。

また、比率分析も架空収益の発見に効果的であると言えるでしょう。 個々の勘定科目では異常が認められない場合でも、売上債権回転率や在庫回転率、利益率等、他の勘定科目との関連を調べてみると異常な数値が出てくることがあります。

他にも事業部別や製商品別等の分析や、請求書や元帳、取引先名簿のレビュー、キャッシュ・フローの分析をすることで不正の兆候を発見できる可能性が高くなります。

(2)分析結果における不正の兆候

架空収益を行っていると分析結果に以下のような兆候が現れる傾向があります。

 ・期末月に売上高が増加している。
・新規事業の売上高が急激に増加している。
・利益が生じているにもかかわらず、営業キャッシュ・フローがマイナスとなっている。
・売上債権構成比率や売上構成比率が増加している。
・売上債権回転率の減少(売上債権回転日数の増加)がある。
・期末月に預り在庫が増加している。
・期末日後に多額の返品や売上の取消しがある。
・販売直接経費と売上高の比例が不自然である。
・売上計上時の相手勘定が異常である。
・複数の取引先の住所が同一である。
・同一先へ複数の請求書を発行している。

[2]計上時期の操作

(1)有効な分析的手続

計上時期の操作の発見も架空収益と同様、売上高等の年次比較表及び月次推移表による分析や、売上債権回転率、在庫回転率の比率分析が効果的です。

このほかに、出荷日と検収日の乖離分析や販売単価分析、翌期に同一の受注番号を用いた商品やサービスの追加提供取引の有無の確認を行うと、計上時期の操作の発見につながることがあります。翌期の早い時期に行われた多額の売上取消、値引・返品、及び貸倒れの内容調査も重要な手続になります。

また工事進行基準では、当初見積りと期末算定数値を比較するのも効果的です。


(2)分析結果における不正の兆候

計上時期の操作を行っていると、上記のような分析の結果、以下のような異常が現れる傾向があります。

・期末月の売上高が急激に増加していたり、初月における売上高が急激に減少していたりいる。
・期末の預り在庫がある
・出荷日と検収日に異常な乖離が生じている。
・販売単価が大きく変動している。
・翌期に同一受注番号による商品やサービスの追加提供がある。
・翌期に多額の売上取消や値引・返品がある。
・工事進行基準における当初見積りと期末算定数値に乖離が生じている。

次回は、不適切な資産評価、負債や支出の隠ぺい及び不適切な開示・公開の発見、そして、財務諸表の不正を防止・制御について解説いたします。

 
執筆者:成田、田中
 

 

シリーズ「IFRS(国際財務報告基準)」はお休みさせて戴きます。

 

編集後記
 
 

とても寒い日々が続いていますが、皆様お元気ですか?先週末は東京の中心部でも雪がちらつき、凍えそうな寒さでした。春になるまで体調には気をつけて過ごしたいものですね。

私は連休中、久しぶりに美術館に行ってみました。有楽町の「相田みつを美術館」で相田さんの詩と書を、上野の「国立西洋美術館」でヨーロッパの絵画を見てきました。仕事で忙しい平日とはまた違った、ゆったりとした気分を味わうことができました。

バレンタインの14日を控え、街はチョコレートを買い求める人で溢れていました。日本では女性から男性にチョコを上げるのが一般的ですが、最近は男性からあげたり、友達にあげたり、女性が自分用に買ったりということも増えてきているようですね。私もしっかり購入しました。自分用に・・・。

今回も明誠News Letterをお読み頂き、ありがとうございました。また次号でお会いできることを楽しみにしております。
 
執筆者:大森麻利子
 


       
 
 

  明誠ニュースレター vol.05
2011年2月15日発行
発行責任者:武田剛
編集スタッフ:梅原剛、清水真太郎、大森麻利子、村田博明
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