明誠グループニュースレター

情報フラッシュ [ 連載記事 ]
IFRS(国際財務報告基準)第22回 IAS第38号「無形資産」
国際監査基準のクラリティ版について解説(第14回)「確認」「初年度監査の期首残高」について
[ トピック解説 ]
「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)」の公表について
「恒久的施設及び帰属主義への移行に関する論点整理」の公表について
次世代EDINETタクソノミ(案)の公表について

情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成24年8月10日 参議院にて消費税増税法案(閣法第72号)が可決されました。

トピック解説

 

 

「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)」の公表について

概要

平成24年7月2日、企業会計審議会より、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)」(以下「論点整理」という)が公表されました。

論点整理では、企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議において、国際会計基準について行われた議論を整理し、公表しています。議論は、1.会計基準の国際的調和、2.国際会計基準の適用、3.わが国としての意見発信、4.単体の取扱い、5.中小企業等への対応、6.任意適用、7.原則主義への対応等、の7つの項目に整理されています。

以下、各項目についての主な議論をご紹介します。

1.会計基準の国際的調和について

今後も、会計基準の国際的な調和に向けた努力は継続する必要があるものの、理論上、実務上の検討を通じ、わが国としての主体的な対応を行うべき、等の議論があったとしています。

2.国際会計基準の適用

わが国の経済、企業活動等の観点から、わが国にはどのような会計基準がふさわしいかについて、以下のような意見があったとしています。

1)企業経営の視点では、重要なのはフローの業績を明確に位置づけた損益アプローチであり、IFRSのような資産負債アプローチを採ることには懸念がある。
2)企業会計においては、企業売買を前提にするよりも、ゴーイングコンサーンとしての長期的な利益という視点を重視すべき。
3)わが国が今後とも経済成長を確保していくためには、高付加価値が期待できる製造業の存在が引き続き重要である。わが国は欧米主要国と比べて製造業の割合が高く、金融に重きを置いている国とは事情が異なり、今後の会計基準の検討に当たっては、産業構造や雇用構造に配慮することが必要である。
4)長くデフレが続く日本において時価会計を導入することは問題である。
5)取得原価会計をベースとする会計基準の下で、バブル崩壊による不良債権の実態が適切に開示されなかった経験があった。金融安定化のためには、財務情報の透明性は最も重要である。
6)自国開発でない基準を入れるという恐ろしさをもう少し考えるべき。

主に、わが国の経済活動に資する会計基準の導入を求める意見が出されています。また、IFRS導入への懸念についても議論されていますが、これは、業績指標として純利益よりも包括利益を重視するIFRSの下では、本業部分に加えて年金や投資の運用、為替リスクのヘッジ等、資産運用・管理面における企業負担の増加等を危惧したものと思われます。

論点整理では、これらの意見を踏まえ、国際情勢を考慮しつつ、わが国の制度や経済状況等に最もふさわしい対応が検討されるべきであるとして、IFRS適用にあたっては、受け入れ可能な基準・考え方と、そうでないものとの整理が必要である、としています。

3.わが国としての意見発信

IFRSに関するわが国としての意見発信のあり方について、以下のような意見があったとしています。

1)単に発言権を維持・強化するという視点では無く、日本基準の国際的地位をどう確保すべきか、という視点で考えていくべき。
2)国際的な意見発信だけではなく、IASBとの対話をもっと増やすべき。
3)共通の課題を抱える国、地域(アジア・オセアニア諸国等)との連携を図り、IASBに対して積極的に意見発信していくべき。

これらを踏まえ、論点整理では、IFRS財団(IASBを含む)に対する人的、資金的貢献を継続しつつ、欧州・米国のほか、アジア・オセアニア諸国と連携して意見発信する努力を継続していくべきとしています。また、2011年11月に行われた、アジェンダ・コンサルテーションへの対応や、本年秋に設置される東京サテライトオフィス等のような、協議会の場を通じた国際対応においては、わが国関係者間での連携を図るべき、としています。

4.単体の取扱い

IFRSの適用を巡り、連結財務諸表と単体財務諸表の役割、それらのあり方について以下のような意見があったとしています。

1)連単はあくまでも一体が原則。IFRSを取り入れるなら連単ワンセットで取り入れるべき。
2)単体については、会社法上の計算書類、それに基づく税法上の会計の基礎にもなっているという意味で、単体にIFRSを適用すると、非常に難しい問題を生じる。
3)グローバルな比較可能性を求められているのは連結であり、単体についてはその要請は小さいことから、連結IFRS、単体日本基準という連単分離を明確にすべき。
4)単体は、会社法で開示される。

これらを踏まえ、論点整理では、連単はあくまで一体が原則であるとの指摘もあるものの、単体財務諸表については、会社法、税法、その他の規制等との関連に配慮が必要であり、いわゆる連単分離が許容されることが現実的であるとしています。

5.中小企業等への対応

中小企業等の会計に関しては、以下のような意見があったとしています。

1)中小企業等の会計に関しては、中小企業に適用される会計基準は、作成者の負担等を考慮した簡素なものとすべき。
2)税と会計の調和、確定決算主義を維持すべき。
3)中小企業等には、IFRS適用の利点といえる国際的な比較可能性のメリットが少ない。

論点整理では、これらを踏まえ、中小企業等の会計については、IFRSの影響を受けないようにするというこれまでの方針を維持することが適当であるとしています。

6.任意適用

わが国で既に認められているIFRSの任意適用に関して、以下のような意見があったとしています。

1)なぜ任意適用会社が増えないのか、その原因等についてよく吟味する必要がある。
2)一般の上場企業すべてにまで不要な負担を強いることがないよう配慮すべきである。

これらを踏まえ、論点整理では、IFRS適用のメリット・デメリットを十分に把握する等の取組みを検討・実行していくべきであるとしています。

7.原則主義への対応等

IFRSは原則主義に基づく会計基準であるとされ、重要性の数値基準等の具体的な判断基準や処理方法等は、会計基準や適用指針等であまり示されません。原則に沿う限りは、採用される会計方針や会計処理が会社によって異なるケースも考えられます。こうした原則主義への対応等について、以下のような意見があったとしています。

1)原則主義においては、具体的な会計処理は個々の会社が自ら判断することになるので比較可能性に限界があると言え、コンバージェンスされた日本基準とIFRSとの比較可能性の問題とさほど変わらない。
2)原則主義の下でも、様々なルールが必要になり徐々に細則的になっていく。原則主義・細則主義にかかわらず、新しい基準を採用すれば、企業、監査人等で十分に議論し解釈を考えていく等の対応が求められる。
3)原則主義の下では、ある種の適用指針や、ルールベース的な考え方を盛り込む必要がある。

これらの意見を踏まえ、論点整理では、原則主義への対応に関しては、各会計関係者における実務的な取組みや適切な連携、例えば、作成者、監査人間の密接なコミュニケーション、当局における執行上のガイダンスの策定等が求められるとしています。

終わりに

IFRS導入を巡っては、多くの議論がありますが、今後も、会計の果たすべき役割に関する根本的な問題や、実務負担への配慮等を踏まえた慎重な対応が望まれます。

 
執筆者:廣川
 

 

「恒久的施設及び帰属主義への移行に関する論点整理」の公表について

1.はじめに

OECD(経済開発協力機構)は、「2010年恒久的施設への帰属権利に関する報告」と題する最終報告書を2010年7月22日付で承認すると同時に、事業所得に関する居住地国と源泉地国との課税権の配分を定めるOECDモデル租税条約第7条の改正が行われ、「帰属主義」に独立企業原則が厳格に適用されることとなりました。我が国の国内法においては、以前より非居住者及び外国法人に対する課税原則についていわゆる「総合主義」が採られてきましたが、今般のOECDモデル租税条約の改定を踏まえ、平成23年度税制改正大綱において外国法人課税の「総合主義」から「帰属主義」に見直す検討を行う旨が盛り込まれました。

このことを踏まえ、日本公認会計士協会は、平成24年6月5日に租税調査会研究報告第25号「恒久的施設及び帰属主義への移行に関する論点整理」(以下「研究報告25号」という。)を公表しました。

本稿では、国内法改正の際に参考とされるであろうOECDモデル租税条約第7条の改正の概要、OECDモデル租税条約第7条で規定されたOECD承認アプローチ(Authorized OECD Approach 、以下「AOA」)の概要を中心に解説します。

2.総合主義と帰属主義

非居住者及び外国法人に対する課税原則については、いわゆる「総合主義」と「帰属主義」という考え方があります。

総合主義とは、恒久的施設を有する非居住者又は外国法人は、その全ての国内源泉所得について課税されるべきとする考え方をいいます。

一方、帰属主義とは、恒久的施設を有する非居住者又は外国法人は、その恒久的施設に帰属する全ての所得が課税されるべきとする考え方をいいます。

3.OECDモデル租税条約第7条改正の概要

OECDモデル租税条約第7条は事業所得に関する居住地国と源泉地国との課税権の配分を定める条項です。

PE(恒久的施設)に帰属する利得に課された租税の国際的二重課税は、居住地国において国外所得免除制度や外国税額控除制度を適用することにより排除されることが予定されていますが、PEに帰属する利得の算定方法に係る条約の解釈には様々な見解が存在していたことから、二重課税が排除されない、あるいは無課税となってしまうという問題がかねてから存在していました。

これを受けてOECDは、PEに帰属する利得の算定に関する解釈の統一を目的として後述するAOAが提唱され、PEに帰属する利得の算定に関して移転価格ガイドラインとの整合性をとる形で2010年7月にOECDモデル租税条約第7条の改正が行われました。

新第7条ではAOAの採用する、いわゆる「機能的分離アプローチ」に基づきPEに帰属する利得が算定されることが明確化され、また、二重課税の回避、二重課税が発生した場合の救済に関する規定も置かれることとなりました。新第7条の概要は以下の通りです。

@ 第7条第1項及び第2項の改正

第7条第1項は第1文で「PEなければ課税なし」の原則を定め、第2文で源泉地国による課税範囲を定めています。旧条文では、源泉地国で生ずる企業の利得のうち、PEに帰属する部分につき課税をすると規定していたのに対し、新条文の第2文では第7条第2項の規定に従ってPEに帰属する利得を算定することが明記されました。

第7条第2項はPEに帰属する利得の算定に関する基本原則を定めています。今回の改正の重要な点は、第7条第2項においてPEに帰属する利得の算定がAOAに基づき、OECDガイドラインに沿った形で行われることが明記に規定されたことです。

また、改正後の第7条第2項は、同条及び第23条A・Bの適用に際しても適用されることと規定されています。第23条A・Bは二重課税排除に関する規定であり、PEに帰属する利得に関し二重課税が発生した場合には、それぞれの国の規定に基づき国外所得として他方の締約国の課税を排除するか(第23条A)、あるいは、他方の締約国で納付した税額を控除する(第23条B)こととなります。

A 第7条第3項の新設

第7条第3項は、2010年の改正により新設された規定です。第7条第2項を第23条A・Bにも適用するとこにより、二重課税排除の規定が設けられたが、源泉地国と居住地国の解釈が異なり二重課税排除のための二国間の調整が必要となった場合の救済の方法として、権限ある当局による相互協議が行われることが規定されています。

B 旧第7条3項から第6項の削除

第7条第2項の独立企業原則に基づくPEに帰属する利得の算定にあたり移転価格ガイドラインとの整合性が問題となったことから削除され、第7条第2項に置き換わっています。

4.AOAの概要

AOAは、移転価格課税の手法を企業の内部取引から生じる利得の算定にも適用することにより、独立企業原則をさらに徹底するものです。事業利得の考え方には「機能的分離企業アプローチ」を採用し、PEを企業本体から独立した個別の企業とみなし、次に述べる2つのステップを経て、PEに帰属する利得の算定が行われます。

第一のステップでは、PEを独立の企業とみなし、機能、事実分析を通じ以下の事項を決定します。

@ PEが帰属する企業と外部企業との取引から生じる、権利義務の帰属
A 資産の経済的所有権、リスクの負担に関する重要な人的機能の特定、及び当該機能を基準としてPEに帰属する資産の経済的所有権、リスクの決定
B PEその他の機能の決定
C PEとPEの帰属する企業の他の構成部分との内部取引の認識、及び性質の決定
D PEに帰属する資産、リスクに基づく無償資本の決定

第二のステップでは、OECDの移転価格ガイドラインに従い、資産やサービスの特性、経済環境、事業戦略といった比較可能要素の分析が行われ、PE及びPEの属する企業の他の構成部分により遂行された機能、それぞれに帰属する資産、リスクを考慮して、移転価格ガイドラインに規定される独立企業間価格算定方法を適用して、PEに帰属する利得を算定します。

AOAは、各国の解釈を統一する目的で提唱された方法であるが、AOA自体は、各国の国内法の仕組みや詳細がどうであるべきかを規制するものではなく、源泉地国で課税することができるPEに帰属する利得の限度を設定することを目的としています。

5.今後の課題

今後、平成23年度税制改正大綱が示唆するように、国内法に関して帰属主義への見直し及び関連規定の改正に関する検討が具体的に行われることが考えられますが、当該国内法の改正については多くの課題が存在します。研究報告25号では下記の点を改正における課題として挙げています。

@ 単純購入機能に係る利得に関する取扱い
A 内部利子、内部使用料等の取扱い
B 本店経費の配賦の取扱い
C 内部取引に係る文書化、移転価格税制との関係の整備
D 資本配賦の取扱い
E 国外投融資の所得の取扱い
F 外国法人への外国税額控除の取扱い
G 海外PEに係る未実現利得の取扱い

6.おわりに

OECDモデル租税条約第7条に定める事業所得条項及び国内法上の関連規定に基づく課税関係は企業活動に大きく影響を及ぼすものであるため、上記課題に対する対応を含めて、今後の議論の動向を注視していく必要があると考えられます。

 
執筆者:松浦政文
 

 

次世代EDINETタクソノミ(案)の公表について

1.概要

平成24年6月25日付で金融庁から次世代EDINETタクソノミ(案)が公表されました。

金融庁は、「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」(平成23年3月31日改定)に基づき、「開示書類の二次利用性の向上」、「検索機能等の向上」等を目的として「有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の次世代システム」(以下「次世代EDINET」という。)に係る設計・開発を継続してきました。今回の公表は、今後の設計開発に資するため、当該(案)への関係各所の意見を募る目的で行われたものです。

2.EDINETタクソノミとは

EDINETが提供する財務報告のための電子的雛形のことを言います。有価証券報告書等の提出者はEDINETタクソノミを使用して財務諸表を作成します。平成20年4月1日以降開始事業年度より財務諸表部分をXBRL化して提出することとなったため、平成20年3月にEDINETがリニューアルされXBRLに対応したシステムとなりました。

3.XBRLとは

XBRL(Extensible Business Reporting Language)とは、財務情報を効率的に作成・流通・利用できるよう、国際的に標準化されたコンピュータ言語(XMLベース)です。XBRLは、財務データの定義であるタクソノミと、実際の数値データが格納されるインスタンスから構成されています。タクソノミは、財務諸表で使う勘定科目のほか、勘定科目の並び順や、勘定科目間の計算式なども定義することが可能です。 この定義とは、XML上で科目名、親子関係、並び順、計算式等の定義を標準化することをいいます。言語の仕様で定義することにより、システム環境に依存しないデータ構造や計算ロジックを定義することが可能です。これにより、財務データ及び今回対象を拡大した財務以外のデータをXBRLという共通の標準で作成することになるため、比較可能性や検証性が大幅に高まることとともに、情報の適時性、正確性、透明性が高まることが期待されています。

4.XBRLのメリット

XBRLのメリットとしては次の点が挙げられます。

[1]財務データをシステムや表計算ソフトにそのまま取り込むことが可能となるため、データ再入力・転記・加工などの時間が大幅に節約でき、各種資料の作成作業の大幅な簡素化が可能となります。
[2]特別のシステムを組むことなく汎用ソフトウエアを用いることにより過年度比較や他社比較が容易にできることや英文で表示することが可能です。
[3]国際会計基準とリンクすることにより、外国会社と内国会社を容易に比較できます。
[4]外国人投資者にとっては、財務データを英語やその他の言語で閲覧することでき、システムは言語を意識せずデータを処理することが可能です。
[5]財務データフォーマットがXBRLに統一されることで、異なるシステム間のデータの統合や連結対象会社の会計システムの統合による連結決算処理の合理化・迅速化が可能となります。
[6] 標準タクソノミは、法改正や会計基準改正などに先立ち対応することから法改正や会計基準改正などへのシステム対応が容易となります。
[7]検証のためのビジネスルールをXBRLで記述することで、コンピュータによるデータ整合性チェック機能による自動検証によりミスやエラーの防止に役立ちます。
[8]XBRLの機能を利用することにより、財務情報に係る内部統制プロセスや会計監査人、監督機関による監視機能の効率性・正確性の確保が図れます。

5.次世代EDINETタクソノミの特徴について

[1]XBRLの対象範囲

XBRLで提出する対象範囲が、下表のように拡大されます。また、開示項目を個々の金額、開示事項等の最小単位ごとにタグ付けする「詳細タグ付け」に加え、説明文書や表等の複数情報をまとめて囲むタグ付け「包括タグ付け」を併用しています。

現行と次世代の比較は次のとおりです。


項目 現行EDINET 次世代EDINET
XBRL対象範囲 財務諸表本表に限定
  • 有価証券報告書等全体がXBRL対象範囲
  • 公開買付届出書、大量保有報告書等が新たにXBRL対象範囲
詳細タグ付けの主な対象範囲 財務諸表本表に限定

(1)有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書及び四半期報告書の財務諸表本表以外に次の事項に対象範囲を拡大

  1)主要な経営指標等の推移
2)大株主の状況
3)貸借対照表関係
4)損益計算書関係

(2)大量保有報告書
報告書全体(ただし、借入先の名称、借入金の内訳等を除く)
(3)公開買付届出書及び公開買付報告書

買付け等を行った後における株券等所有割合

[2]インラインXBRLの採用

現行のEDINETは、開示書類等提出者から提出されたXBRLデータをHTMLに変換する表示変換方式を採用していましたが、次世代EDINETは、インラインXBRLを採用しています。

報告する各項目の値や内容を記載するための仕様としてインラインXBRLを使用することによってXBRLインスタンス中で表現する要素を、XHTMLファイルに直接埋め込むことが可能となります。また、インラインXBRLファイル化することでWEBブラウザでHTMLと同様に表示できるとともに、埋め込まれたXBRLインスタンス中の様々な要素を取り出すことが可能となることから、XBRLデータの利用や加工による分析等が容易になることが期待されています。

また、インラインXBRLの採用に伴い、表示情報ファイルは廃止します。

[3]ディメンションの採用

表などの多次元構造を表現するための方法としてディメンションという仕様を採用しています。ディメンションとは、「表示項目」と「ディメンション軸」の組合せによってインスタンス値を設定する手法です。

株主資本等変動計算書は、現行EDINETにおいては変動要因と純資産の内訳項目の組合せごとに表示項目として要素定義を行っています。次世代EDINETでは、変動要因は表示項目として、純資産の内訳項目はディメンション軸のメンバーとしてそれぞれ要素定義し、インスタンス設定は、変動要因と純資産の内訳項目の組合せで行います。この方法の採用により表などの多次元構造を表現することが可能となります。

[4]財務諸表本表タクソノミに係る変更点

財務諸表本表タクソノミは、現行EDINETとのデータの連続性を重視する一方、次世代EDINET全体との整合性を確保する必要性から主として次の変更を行います。

項目 現行EDINET 次世代EDINET
財務諸表本表種類別のラベル切替え 名称リンク拡張リンクロールを使用 preferredLabel によるラベルロールの指定に一本化
勘定科目要素の表現 正値表現が標準ラベル 正値負値表現を標準ラベル(例えば、「当期純利益又は当期純損失(△)」)
株主資本変動計算書関係の要素定義 純資産の内訳項目と変動要因を一体の要素として定義 純資産の内訳項目はディメンションメンバーとして、変動要因は、表示項目として定義

[5]株主資本等計算書の様式変更

現行EDINETにおいては、縦軸に純資産の科目等の内訳が表示され、内訳ごとに当期首残高、当期変動額及び当期末残高を繰り返し表示し、横軸に会計期間が設定されたレイアウトでしたが、次世代EDINETにおいては、横軸に純資産の科目等の内訳を表示し、縦軸に当期首残高、当期変動額及び当期末残高をそれぞれ記載するマトリックス形式のレイアウトとなります。

6.最後に

金融庁では設計・開発の諸工程を経た後に公表総合運転試験の結果を踏まえて、次世代EDINETタクソノミ(案)について来年の平成25年度中の導入を目指しています。これが導入されることにより、国内外の投資者や金融機関、監督官庁、証券取引所などに加え、上場会社においても透明度の高い広範囲の財務情報を今以上にタイムリーかつスピーディーに把握できることが期待されることから、証券市場における機能向上とともに、会社経営そのものに大きなインパクトを与えることが期待されています。

 
【参考文献】
ウィキペディア
経理初心者お助け帳
東京証券取引所XBRL解説
金融庁 次世代EDINETタクソノミ(案)概要
金融庁 EDINET タクソノミ 新仕様の概要説明
執筆者:市原豊
 

連載記事

 
 

IFRS(国際財務報告基準)第22回 IAS第38号「無形資産」

1.はじめに

今回は、IAS第38号「無形資産」(以下、IAS第38号という。)について紹介します。

2.目的及び定義

IAS第38号の目的は、他の基準で別途取り扱っていない無形資産に関する会計処理を定めることにあります。ここで、無形資産とは、物理的実体のない@識別可能な非貨幣資産をいいます。またIAS第38号においては、資産を、過去の事象の結果としてA企業が支配し、かつ、B将来の経済的便益が企業へ流入することが期待される資源と定義しているため、@〜Bの要件を満たしていることがポイントとなります。

なお、企業から分離可能であるか、または契約又はその他の法的権利から生じている場合には、資産は識別可能性があると判定されます。

3.当初認識と測定

無形資産は、以下の要件を満たす場合に認識され、取得原価で測定されます。
【1】資産に起因する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い。
【2】資産の取得原価を、信頼性を持って測定できる。
なお、取得原価の測定方法は取得方法によって以下のように規定されています。
【1】無形固定資産を個別に取得した場合

購入価格と資産を準備するために直接起因する原価の合計

【2】企業結合に伴って取得した場合

取得日現在の公正価値により測定

【3】政府補助金による取得の場合

IAS第20号に従い、原則として公正価値により測定

【4】資産の交換による取得の場合
(a)原則的に引渡資産の公正価値により評価するが、取得資産の公正価値のほうがより客観的である場合には、取得資産の公正価値で評価
(b)交換が経済的実質を欠いている、また、交換されるいずれの資産の公正価値が信頼性をもって測定出来ない場合には、引渡資産の帳簿価額により評価
【5】自己創設無形資産の場合

資産の創出過程を研究局面と開発局面に分類し、研究局面に関する支出は費用計上し、開発局面に関する支出は無形資産計上する。

なお、企業は自己創設のれんを資産として認識してはなりません。

4.認識後の測定

無形資産の認識後の測定方法としては、有形固定資産と同様に、原価モデルと再評価モデルの2つの方法から選択適用が認められています。

原価モデル:無形資産を、取得原価から償却累計額と減損損失累計額を控除した価額で計上

再評価モデル:無形資産の帳簿価額を、再評価日の公正価値から、その後の償却累計額及び減損損失累計額を控除した評価額で計上

そして、無形資産を、耐用年数が確定できるものと確定できないものとに分類し、それぞれ以下のように会計処理を行います。

【1】耐用年数を確定できる無形資産

耐用年数を確定できる無形資産は、当該資産の耐用年数にわたり規則的な方法で償却しなければなりません。償却は、当該資産が使用可能となった時点から開始され、適用する償却方法は、企業によって予想される資産の将来の経済的便益の消費パターンを反映しなければなりません。ただし、消費パターンが信頼性を持って決定できない場合には、定額法を採用しなければなりません。また、残存価額については、第三者が当該資産を耐用年数の終了時に購入する約定がある場合等を除き、ゼロと推定されます。

なお、償却期間及び償却方法は、少なくとも各事業年度末において見直さなければならず、また、無形資産が減損しているかどうかを判定するためにIAS第36号を適用します。

【2】耐用年数を確定できない無形資産

耐用年数を確定できない無形資産は、償却をしてはなりません。このような資産については、当該資産の耐用年数を確定できないものとする事象又は状況が引き続き存在するかどうかを毎年見直す必要があります。また、最低年1回はIAS第36号に基づき減損テストを行う必要があります。

5.認識の中止

無形資産は、処分時、または使用又は処分により、予定した将来の経済的便益が期待できなくなった場合にその認識を中止します。認識の中止から生じる利得又は損失は、正味処分収益と資産の帳簿価額の差額として認識されます。

 
執筆者:関和輝
 


 

国際監査基準のクラリティ版について解説(第14回)
「確認」「初年度監査の期首残高」について

1.基準の概要

今回は、監査基準委員会報告書505「確認」と510「初年度監査の期首残高」について解説します。いずれも、2013年3月決算に係る監査から適用されている基準です。これらは、それぞれ国際監査基準ISA505、ISA510に対応しています。

2.「確認」

本基準における監査人の目的は、適合性と証明力のある監査証拠を入手するため、確認に関する監査手続を立案し実施することです。確認とは、紙媒体、電子媒体又はその他の媒体により、監査人が確認の相手先である第三者(確認回答者)から文書による回答を直接入手する監査手続をいいます。


(1) 経営者の評価の検討

監査人は、確認手続を利用する場合、確認手続に関連して以下のような事項について管理しなければなりません。

(a) 確認又は依頼すべき情報の決定
(b) 適切な確認回答者の選定
(c) 確認依頼の立案(確認依頼の宛先が適切であり、監査人に直接返送する旨や回答に当たっての留意事項を含む。)
(d) 確認回答者への依頼状の送付(該当する場合には再発送等の依頼を含む。)

 

(2) 確認依頼の送付に対する経営者の不同意

経営者が監査人の確認依頼の送付に同意しない場合、監査人は、以下の手続を行わなければなりません。


表1:経営者が確認依頼の送付に同意しない場合の手続
No

監査手続

1 経営者が同意しない理由について質問し、その正当性と合理性に関する監査証拠を求める。
2 不正リスクを含む、関連する重要な虚偽表示のリスクに関する監査人の評価及びその他の監査手続の種類、時期及び範囲に及ぼす影響を評価する。
3 適合性と証明力のある監査証拠を入手するため立案した代替的な監査手続を実施する

監査人は、確認依頼の送付に経営者が同意しないことに合理性がないと結論付けた場合又は代替的な監査手続から適合性と証明力のある監査証拠を入手できなかった場合には、監査役等に報告するとともに、監査の継続と監査意見に対する影響を判断しなければなりません。


(3) 入手した証拠の評価等

未回答の場合はそれぞれの状況に応じて、監査人は、適合性と証明力のある監査証拠を入手するための代替的な監査手続を実施しなければなりません。また、確認の回答に差異がある場合には、監査人は、当該差異が虚偽表示の兆候を示しているか否かを判断するために、当該事項を調査しなければなりません。

そして監査人は、以上の確認手続の結果、適合性と証明力のある監査証拠が入手できたか、又は追加的な監査証拠の入手が必要であるかについて評価を行います。

3.「初年度監査の期首残高」

本基準は、初年度監査における期首残高に関する実務上の指針を提供するものです。期首残高には、財務諸表に計上されている金額に加えて、期首に存在する偶発債務等の開示が必要な事項も含まれます。


(1) 期首残高についての監査手続

監査人は、以下の事項を通じて、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれているかどうかについて十分かつ適切な監査証拠を入手しなければなりません。


表2:期首残高についての監査手続
No

監査手続

1 前年度の期末残高(訂正報告書が提出されている場合には、訂正後の残高)が当年度に正しく繰り越されているかどうか、又は、修正再表示が行われている場合は、当該修正再表示後の残高が当年度に正しく繰り越されているかどうかについて確かめる。
2 期首残高に適切な会計方針が適用されているかどうかについて確かめる。
3

以下の手続のうち、一つ又は複数の手続を実施する。
@ 前年度の財務諸表が監査されている場合、期首残高に関する監査証拠を入手するため、前任監査人の監査調書を閲覧する。
A 当年度に実施した監査手続によって期首残高に関する監査証拠を入手できるかどうかについて評価する。

B 期首残高に関する監査証拠を入手するために特定の監査手続を実施する。

監査人は、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある虚偽表示が含まれているという監査証拠を入手した場合、当年度の財務諸表に対する影響を判断するために、個々の状況に応じた適切な追加的監査手続を実施しなければなりません。


(2) 重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれている場合等

監査人は、期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できず、その影響が重要である場合には、監査範囲の制約に関する限定意見を表明するか又は意見を表明しません。また、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれており、かつ当該虚偽表示の影響が適切に処理されていない又はその表示や開示が妥当でないと判断した場合には、限定意見又は否定的意見を表明することになります。

 
執筆者:吉田隆伸
 


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  明誠ニュースレター vol.23
2012年9月7日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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