明誠グループニュースレター

情報フラッシュ [ 連載記事 ]
ActiveDataによる不正監査手続 第1回 売上データ比較分析
IFRS(国際財務報告基準)第27回 IAS第39号「金融商品:認識及び測定(中編)」
国際監査基準のクラリティ版について解説(第18回)「過年度の比較情報−対応数値と比較財務諸表」 「監査した財務諸表が含まれるその他の記載内容に関する監査人の責任」について
[ トピック解説 ]
「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案の公表について

情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成25年1月29日 平成25年度税制改正大綱が閣議決定されました。
平成25年1月29日 日本公認会計士協会は「監査基準委員会報告書900『監査人の交代』の改正について」(公開草案)を公表しました。
平成25年1月18日 IASBは公開草案「非金融資産に係る回収可能価額の開示」(IAS第36号の修正案)を公表しました。
平成25年1月16日 金融庁は2013年版EDINETタクソノミ(案)を公表しました。
平成25年1月15日 IAASBは「A Framework for Audit Quality」(公開草案)を公表し、意見の募集を開始しました。
平成25年1月11日 ASBJは企業会計基準公開草案第49号(企業会計基準第21号の改正案)
「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案を公表しました。

トピック解説

 
 

「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案の公表について

1.本公開草案の公表の背景について

企業会計基準委員会(ASBJ)は、企業結合に関する会計基準等につき、ステップ1とステップ2とに区分して見直しを行うこととしており、ステップ1については平成20年12月までに見直しが完了しています。現在は既存の差異に関連するプロジェクトとして、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の企業結合に関する共同プロジェクト(フェーズ2)で取り上げられた論点を対象とした、ステップ2の検討を進めています。

そして平成21年7月に、ASBJは「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」を公表し、各方面からの意見も踏まえて審議を行ってきた結果、平成24年12月25日の第257回企業会計基準委員会において、以下の企業会計基準及びその適用指針の公開草案の公表を承認しました。

また本公開草案の公表は、各方面の有識者等からの広いコメントの募集を目的とするものとし、平成25年3月15日(金)までコメントを募集しています。

2.公表された公開草案

[1]「企業結合に関する会計基準(案)」
[2]「連結財務諸表に関する会計基準(案)」
[3]「事業分離等に関する会計基準(案)」
[4]「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(案)」
[5]「株主資本等変動計算書に関する会計基準(案)」
[6]「包括利益の表示に関する会計基準(案)」
[7]「一株当たり当期純利益に関する会計基準(案)」
[8]「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」
[9]「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針(案)」

[10]「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針(案)」

以上の公開草案が公表されています。

3.本公開草案の主要な内容

[1]表示方法等の変更

国際的な会計基準との整合性を図るため、「少数株主持分」という呼称を「非支配株主持分」に、「少数株主損益」を「非支配株主に帰属する当期純利益」に、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」に、また「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」についても、それぞれ「1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益」「潜在株式調整後1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益」に変更すべきとしています。


[2]取得関連費用の取扱い

外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等の取得関連費用のうち、対価性が認められるものについて、現行では企業結合の取得原価に含めていますが、国際的な会計基準との比較可能性、実務上の便宜等から、改正案では発生した年度の費用にすべきとしています。

なお、個別財務諸表上の子会社株式の取得原価は、「金融商品に関する会計基準」に従って算定します。


[3]非支配株主との取引

(1)個別財務諸表上の会計処理

非支配株主から追加取得する子会社株式の取得原価は、現行では追加取得時における当該株式の時価と対価となる財の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価を基に算定するとしていますが、連結財務諸表との取扱いの整合性から、改正案では当該子会社の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定すべきとしています。

(2)連結財務諸表上の会計処理

子会社株式の追加取得の場合、現行では追加取得株式に対応する持分を非支配株主持分から減額し、追加取得持分と追加投資額との相殺差額はのれん又は負ののれんとして処理し、一部売却の場合は、売却部分に対応する非支配株主持分を増額し、持分減少額と投資の減少額の差額を株式の売却損益の修正(時価発行増資の場合には持分変動損益)とする、すなわち損益取引で処理しています。しかし、国際的な会計基準との整合性、また連結損益計算書における当期純利益は非支配株主に帰属する当期純利益も含むこととの整合性を勘案して、改正案では、これらの差額は資本取引として資本剰余金とすべきとしています。


[4]暫定的な会計処理の確定

企業結合につき暫定的な会計処理をしていた場合において、企業結合の翌年度に会計処理の確定が行われた場合には、現行では追加的に入手した情報により配分額を確定させ、企業結合年度に当該修正が行われたとしたときののれん償却額等を、翌年度に特別損益(前期損益修正)として処理しますが、国際的な会計基準との整合性を図り、財務諸表の期間比較可能性を確保するべく、改正案では企業結合年度に当該確定が行われたように財務諸表を作成し、比較情報として開示される企業結合年度の財務諸表に当該確定による取得原価の配分額の見直しを反映する処理、すなわち修正再表示すべきとしています。

4.適用時期等

平成27年4月1日以後開始する事業年度及び連結会計年度の期首から適用(3.[4]の暫定的な会計処理については、平成27年4月1日以後開始する事業年度及び連結会計年度の期首以後実施される企業結合から)されます。なお3.[1]の表示方法等の変更を除き、他の改正基準を同時適用する場合に限り、平成26年4月1日以後開始する事業年度及び連結会計年度からの早期適用が認められます。

また、経過措置として、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第6項(1)の会計基準等に特定の経過的な取扱いが定められている場合の記載に基づき、3.[4]の暫定的な会計処理を除いて各改正基準が定める新たな会計方針の遡及適用を行わないことができますが、表示方法の改正については、当期の財務諸表に併せて表示されている過去の財務諸表について組替えを行うとされています。

これらの適用について、適用初年度は会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うこととされています。


5.おわりに

このように、連結・企業結合等に関して国際的な会計基準との整合性・比較可能性を重視する改正案が公表され、ASBJとしても国際的な会計基準とのコンバージェンスを段階的に推し進め、既存項目の差異解消を重視する姿勢が再認識されたといえます。

ただし、のれんの非償却の採用、子会社の支配喪失時の残存投資についての評価替、全部のれん方式の採用の可否、取得条件付対価の取扱い、企業結合に係る特定勘定の取扱いといった、国際的な会計基準との既存の差異項目については市場関係者の合意形成や実務上の必要性を判断すべきであり、これからも議論と検討が必要であると考えられます。

そのため、適用企業、監査人は今回の公開草案の適用に備えた準備をするとともに、新たな改正がある場合に実務で対応できるよう、これら基準の趣旨を踏まえた理解が必要であると思います。

 
執筆者:鳥山昌悟
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続 第1回 売上データ比較分析

ActiveDataは、データ監査ツールの中でも、群を抜いたわかり易さと圧倒的な低価格を特徴としています。必要な機能はほとんど網羅しており、他社のソフトウェアにまったく引けを取らない、高機能のデータ監査ツールです。Newsletterの連載の新シリーズとして、このActiveDataを使用してどのように不正リスクに対応したデータ監査手続を実施していけばよいのか、操作手順も含めて説明していきたいと思います。

 

部門別・製品ライン別などの詳細なレベルで売上データ等を分析することは、売上不正を検出するのに有効な手続です。架空売り上げの粉飾のケースでは、部門別・製品ライン別などの分析を行うと次のような特徴を示す場合があります。

@特定の部門や製品群の売上が前期と比べ大きく増加している。

A期末月の売上が大きく増加している又は期首月の売上が大きく減少している。

もちろんこのような特徴があるからといって粉飾であるとは限りません。販売戦略の変化、営業努力、販売促進、新製品の投入、市場の変化、得意先の業績や販売提携などの結果を反映して、大きく変化している可能性もあります。そのため、ヒアリングや証憑突合などの追加的な手続を実施して、不正取引かどうかを判断する必要があります。

 

それでは、ActiveDataを使用して、得意先別月次比較分析をしてみたいと思います。

@「売上明細」シートを開きます。

A「分析コマンド」の中から「集約/ピボット」を選択します。

B「集約/ピボット」ダイアログボックスが開きますので、条件を次のように設定します。

(ア)分析対象列のグループ列:得意先コード

(イ)集約対象列:金額

(ウ)オプションの「ピボットテーブル作成」にチェック

(エ)ピボット列:計上日とし、右のセルから月を選択(注1)

(オ)クロス表計算:合計を選択

(カ)オプションの「合計を追加」をチェック

C「OK」を押すと、「集約>売上明細」シートが作成されます。

 

得意先別に月次推移の表が作成されました。

さらにこれをグラフ化してみましょう。エクセルのリボン上のピボットテーブルツール・オプションタブにあるピボットグラフボタンをクリックすると、グラフが作成されます。視覚化することで、全体の傾向が容易に判断できるようになりました。ActiveDataは、エクセルのアドインソフトであるため、豊富なエクセルの機能をこのようにシームレスに活用することができます。



(注1) 計上日がテキストデータである場合は、対象列を選択した状態で、ワークシートコマンドの「セル」の中から「選択セルを変換」を選択し、さらに「テキスト形式を日付形式に変換」を選択してください。計上日のテキストデータが分析可能な日付データへ変換されます。
(注2) 分析を容易にするために、分析対象を売上金額が大きい得意先のみに絞り込みたいときには、この分析の前に、集計と抽出の作業を行う必要があります。

 
執筆者:武田剛
 

 

IFRS(国際財務報告基準)第27回 IAS第39号「金融商品:認識及び測定(中編)」

1.はじめに

今回は、IAS第39号「金融商品:認識及び測定」(以下、IAS第39号という。)の解説の第2回として、金融資産の減損、金融商品の認識の中止について紹介します。

2.金融資産の減損

企業は、報告期間の末日ごとに、金融資産又は金融資産のグループが減損している客観的証拠があるかどうかを検討しなければなりません。客観的な証拠としては、以下のものが含まれます。

【1】発行体又は債務者の重大な財政的困難

【2】利息又は元本の支払不履行又は遅滞などの契約違反

【3】借手の財政的困難に関連した経済的又は法的な理由による、借手への譲歩の供与

【4】発行者が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと

【5】当該金融資産についての活発な市場が財政的困難により消滅したこと

【6】金融資産のグループの見積将来キャッシュ・フローについて、それらの資産の当初認識以降に測定可能な減少があったことを示す観察可能なデータ

上記のような減損の客観的な証拠がある場合には、以下の分類ごとに処理を行います。

 

【1】償却資産で計上されている金融資産

当該資産の帳簿価額が、見積将来キャッシュ・フローを当該金融資産の当初の実効金利で割り引いた現在価値を下回る 場合には、直接又は引当金方式により現在価値まで減額し、差額を損失として認識しなければなりません。なお、以後の期間に減損損失の額が減少し、その減少が減損損失を認識した後に発生した事象に客観的に関連付けることができる場合には、以前に認識した減損損失の戻入れをしなければなりません。なお、戻入れ後の帳簿価額が、減損損失がなかった場合に想定される償却原価を超過してはならず、戻入額は当期の利益として認識します。

【2】取得原価で計上されている金融資産

公正価値が信頼性をもって測定できないため公正価値で計上されていない資本性金融商品又は当該資本性金融商品に連動し、かつ、それを引き渡すことによって決済しなければならないデリバティブ資産については、当該金融資産の帳簿価額と、見積将来キャッシュ・フローを類似の金融資産の現在の市場利回りで割り引いた現在価値との差額を減損損失として計上します。なお、このような減損損失の戻入れは認められません。

【3】売却可能金融資産

売却可能金融資産が減損していると客観的な証拠がある場合には、その他の包括利益に認識されていた累積損失を、純損失へ組替調整します。なお、資本性金融商品については減損損失の戻入れは認められておらず、負債性金融商品については、当該金融商品の公正価値が増加し、当該増加が減損損失を認識した後に発生した事象と客観的に関連付けることができる場合には、戻入れを行わなければなりません。

3.金融商品の認識の中止

【1】金融資産の認識の中止

企業は、当該金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または、金融資産を譲渡し、その譲渡が中止の認識の要件を満たす場合に、金融資産の認識の中止を行わなければなりません。@金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡する場合や、A権利を保持したまま、当該キャッシュ・フローを支払う契約上の義務を引き受けている場合に、金融資産又はその一部分を譲渡しているとなりますが、Aについては、次の3つの要件のすべてに該当する必要があります。

(a)原資産からの回収がない限り、支払い義務がない

(b)原資産の売却あるいは担保差入が禁止されていること

(c)原資産から回収したキャッシュ・フローを、重要な遅滞なしに送金する義務を有していること

次に金融資産の中止の要件については、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値をどの程度保持しているかで、以下のように判定します。


(a)所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転している場合

 当該金融資産の認識の中止を行い、当該譲渡において新たに生じた又は保持している権利及び義務をすべて資産又は負債として別個に認識しなければなりません。

(b)所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを保持している場合

当該金融資産の認識を継続しなければなりません。

(c)上記のいずれでもない場合

この場合には、当該金融資産に対する支配を保持しているか否かで判定を行います。

@支配を保持している場合

当該金融資産に対して継続的関与を有している範囲において、当該金融資産の認識を継続しなければなりません。

A支配を保持していない場合

当該金融資産の認識の中止を行い、当該譲渡において新たに生じた又は保持している権利及び義務をすべて資産又は負債として別個に認識しなければなりません。

なお、金融資産の認識の中止を行った際に認識される損益は、(a)と(b)の差額となります。

(a)認識の中止を行った部分に配分された帳簿価額と

(b)認識の中止を行った部分に対して受け取った対価(新たに認識した資産及び負債の公正価値の差額を含む)とその部分に配分されたその他の包括利益に認識されていた累積損益との合計額

 

【2】金融負債の認識の中止

企業は、契約中に特定された債務が免責、取り消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止します。また、現在の借手と貸手との間での、著しく異なる条件による負債性商品の交換は、従前の金融負債の消滅と新しい金融負債の認識を行わなければなりません。同様に、既存する金融負債又はその一部分の条件の大幅な変更は、従前の金融負債の消滅と新しい金融負債の認識として処理しなければなりません。なお、認識を中止した金融負債の帳簿価額と支払った対価の額との差額は、当期の純損益に認識しなければなりません。

 
執筆者:関和輝
 

 

国際監査基準のクラリティ版について解説(第18回)
「過年度の比較情報−対応数値と比較財務諸表」
「監査した財務諸表が含まれるその他の記載内容に関する監査人の責任」について

1.基準の概要

今回は、監査基準委員会報告書710「過年度の比較情報−対応数値と比較財務諸表」と720「監査した財務諸表が含まれるその他の記載内容に関する監査人の責任」について解説します。いずれも、2013年3月決算に係る監査から適用されている基準です。これらは、それぞれ国際監査基準(ISA)710とISA720に対応しています。

2.「過年度の比較情報−対応数値と比較財務諸表」

本基準は、財務諸表監査における比較情報に関する実務上の指針を提供しています。比較情報とは、適用される財務情報の枠組みに基づき財務諸表に含まれる過年度の金額及び開示をいいます。

 

(1) 比較情報の分類

比較情報に関する監査意見の表明の方式には、対応数値方式と比較財務諸表方式があります。

対応数値方式の場合は、財務諸表に対する監査意見は当年度のみを対象として表示されます。一方、比較財務諸表方式では、監査意見は財務諸表に表示された各々の年度を対象として表示されます。

我が国では対応数値方式を採用したことから、当期の監査報告書は当期の財務諸表に対してのみ言及し、比較情報には明示的に言及しないことになっています。以下でも、対応数値方式について解説します。

 

(2) 監査手続

監査人は、適用される財務情報の枠組みで要求されている比較情報が財務諸表に含まれているかどうか、並びに当該情報が適切に表示及び分類されているかどうかを判断しなければなりません。監査人は、この判断に当たって、以下の事項を検討しなければなりません。

(a) 比較情報が、前年度に表示された金額及びその他の開示と一致しているかどうか、又は、修正再表示された場合、修正再表示された金額及びその他の開示が妥当かどうか。

(b) 比較情報に適用した会計方針又は表示方法が、当年度の会計方針又は表示方法と一致しているかどうか、また、会計方針又は表示方法の変更があった場合には、当該変更が適切に処理され、その表示及び開示が妥当かどうか。

 

(3) 監査報告(対応数値方式)

比較情報が対応数値として表示される場合、監査人は、以下に掲げる場合を除き、監査意見において対応数値について言及しません。

 

表1:監査意見において対応数値に言及する場合

No 対応数値に言及する場合 監査人の対応
1 前年度の監査報告書において除外事項付意見(限定意見、否定的意見、又は意見不表明)が表明されており、かつ、当該除外事項付意見の原因となった事項が未解消の場合 当年度の財務諸表に対して除外事項付意見を表明する。この場合、監査人は、監査報告書の除外事項付意見の根拠の区分において除外事項付意見の原因となった事項等を記載する
2 無限定意見が表明されている前年度の財務諸表に重要な虚偽表示が存在するという監査証拠を入手したが、対応数値が適切に修正再表示されていない又は開示が妥当でない場合 当年度の財務諸表に対する監査報告書において、当該財務諸表に含まれる対応数値に関する除外事項付意見として、限定意見又は否定的意見を表明する
3 前年度の財務諸表が監査されていない場合 監査報告書のその他の事項の区分に、対応数値が監査されていない旨を記載する

3.「監査した財務諸表が含まれるその他の記載内容に関する監査人の責任」

本基準は、監査した財務諸表及び監査報告書が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任について、実務上の指針を提供しています。「その他の記載内容」とは、監査した財務諸表及び監査報告書が含まれる開示書類のうち、財務諸表及び監査報告書以外の法令等又は慣行に基づき作成された情報をいいます。

 

(1) その他の記載事項の通読

個々の業務の状況において別に要求される事項がない限り、その他の記載内容は監査意見の対象ではなく、監査人は、その他の記載内容が適切に記載されているかどうかを判断する特定の責任を有していません。しかし、監査した財務諸表とその他の記載内容の重要な相違によって監査した財務諸表の信頼性が損なわれることがあるため、監査人は、その他の記載内容を通読します。

 

(2) その他の記載内容について識別した重要な相違

その他の記載内容を通読することにより重要な相違を識別した場合、監査した財務諸表又はその他の記載内容を修正する必要があるかどうかを判断しなければなりません。なお、その他の記載内容に修正が必要な場合で、経営者が修正することに同意しない場合、監査人は、監査役等に当該事項を報告するとともに、監査報告書にその他の事項の区分を設け、重要な相違について記載するなどの対応をとらなければなりません。

 

(3) 事実の重要な虚偽記載

重要な相違を識別するためにその他の記載内容を通読する際に、明らかな事実の重要な虚偽記載に気付いた場合は、経営者と当該事項について協議しなければなりません。そして、経営者が重要な虚偽記載を修正又は訂正することに同意しない場合には、監査人は、監査役等にその他の記載内容の懸念事項を知らせるとともに、監査人の顧問弁護士に助言を求めるなどの適切な措置を講じなければなりません。

 
執筆者:吉田隆伸
 


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  明誠ニュースレター vol.28
2013年2月13日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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