明誠グループニュースレター

情報フラッシュ [ 連載記事 ]
ActiveDataによる不正監査手続 第10回 受注と出荷のリードタイムの分析
シリーズIFRS(国際財務報告基準)第35回 IFRS第9号「金融商品」(前編)
中小企業お役立ち情報6 「中小企業の事業再生計画案策定の手順」

[ トピック解説 ]

改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準等の公表


情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成25年10月28日 金融庁は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について公表しました。また、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令等が当日付で公布・施行されました。
平成25年10月11日 日本公認会計士協会は会計制度委員会研究資料第5号「アンケート調査結果報告 - 国際財務報告基準の適用における実務上の対応(製造費用関係)に関する調査 -」を公表しました。
平成25年10月7日 日本公認会計士協会は「監査役若しくは監査役会又は監査委員会と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正について(公開草案)を公表しました。
平成25年10月4日 公認会計士協会は監査役等への品質管理レビューの結果の通知及び公認会計士・監査審査会の検査結果の開示について公表しました。
平成25年10月2日 日本公認会計士協会は業種別委員会実務指針第14号「投資信託及び投資法人における監査上の取扱い」 の改正についてを公表しました。
平成25年10月1日 民主党は民間投資活性化等のため税制改正大網を公表しました。
平成25年10月1日 政府は消費税率(国・地方)を、平成26年4月1日に5%から8%へ引き上げることを正式に表明しました。

トピック解説

 
 

改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準等の公表

1.はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は平成25年9月13日に、「企業結合に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準等の公表を行いました。今回はその中から主な論点を紹介したいと思います。

2.改正の経緯

企業会計基準委員会は、企業結合に関する会計基準等について、ステップ1とステップ2とに区分して見直しを行うこととしており、ステップ1については2008年12月に完了しています。このときには、持分プーリング法の廃止、負ののれんの一括利益処理、段階取得の会計処理の見直しなどの改正が行われました。そして、今回はステップ2の見直しが行われた結果、企業結合に関する一連の会計基準等の改正がなされたものです。

今回の主な改正点は以下の通りで、2015年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。それぞれについて内容を簡単に解説します。

(1) 当期純利益、その他の項目の名称の変更

(2) 支配が継続している場合の親会社の持分変動の会計処理の変更

(3) 取得関連費用の会計処理の変更

(4) 暫定的な会計処理の取扱いの変更

3.改正の内容

[1] 当期純利益、その他の項目の名称の変更

今回の改正で、連結貸借対照表における「少数株主持分」が「非支配株主持分」へ、連結損益計算書における「当期純利益」が「親会社株主に帰属する当期純利益」へ変更されるなど、連結財務諸表における一部の項目の名称が変更されることになりました。

名称変更の一覧は以下の通りです。

 

表1:表示方法に係る改正の一覧
連結財務諸表 現行の名称 改正後の名称
連結貸借対照表 少数株主持分 非支配株主持分
連結損益計算書(*1) 少数株主損益調整前当期純利益 当期純利益
少数株主利益 非支配株主に帰属する当期純利益
当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益
連結包括利益計算書(*1) 少数株主損益調整前当期純利益 当期純利益
少数株主に係る包括利益 非支配株主に係る包括利益
連結株主資本等変動計算書 少数株主持分 非支配株主持分
当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益
連結財務諸表上の1株当たり当期純利益 1株当たり当期純利益 1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 潜在株式調整後1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益

(*1) 連結損益計算書、連結包括利益計算書は2計算書方式の場合を前提にしています。

 

この改正は、財務諸表項目の名称が変更されたのみであり、当期純利益などの計算方法に変更はありません。この改正は、連結財務諸表の作成についての考え方が変更されたことによるものと考えられます。

すなわち、従来日本は、連結財務諸表には親会社の持分のみを反映させるとする考え方(親会社説)を採用してきました。しかし、国際財務報告基準(IFRS)は、連結財務諸表は企業集団を構成するすべての連結会社の株主の持分を反映させるという考え方(経済的単一体説)を採用しています。

今回は、この経済的単一体説へのコンバージェンスの一環として、財務諸表項目の名称の変更がなされたものと考えられます。

 

[2] 支配が継続している場合の親会社の持分変動の会計処理の変更

現行の会計基準では、子会社株式の追加取得や一部売却により、親会社の持分の変動が生じた場合には、損益取引として扱われていました。例えば、子会社株式を追加取得した場合には、親会社の追加取得持分と追加投資額の差額はのれん又は負ののれんとして処理され、子会社株式を一部売却した場合には、売却額と売却持分との差額は子会社株式の売却損益として処理されています。

しかし、今回の改正により、取引の前後で親会社の支配が継続している場合で、親会社の持分変動があった場合には、持分変動による差額は、すべて資本剰余金に計上されることになりました。

従来の考え方では、持分変動に係る取引を、連結グループの外部者との取引として捉えているため、損益取引として処理されてきたと考えられます。しかし、改正後は、持分変動に係る取引を持分所有者との取引(資本取引)として捉えることになるため、持分変動差額を資本剰余金として処理するようになるものと考えられます。

 

[3] 取得関連費用の会計処理の変更

企業結合における取得関連費用のうち、外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等については、従来は企業結合に係る取得原価に含めていました。そのため、当該費用は、結果的にのれんとして資産に計上される会計処理となっていました。

しかし、改正後は、連結財務諸表上、外部のアドバイザー等に支払った報酬等は発生年度に全額が費用処理されることになります。これは、外部のアドバイザー等への報酬・手数料等は、企業結合における取得企業と被取得企業(又は売主)との直接交換の対象となる項目ではなく、外部者との取引による費用として考えるようになったためであると考えられます。なお、IFRSでも、これらの取得関連費用は支出時に費用処理されるとされており、今回の改正によりIFRSと会計処理が同じになることになります。

なお、この改正は連結財務諸表のみを対象としており、個別財務諸表上は従来の処理によるため、連結財務諸表と個別財務諸表で処理が異なる可能性もあります。

 

[4] 暫定的な会計処理の取扱いの変更

企業結合において、企業結合が行われた事業年度には数値が確定しないことから暫定的な会計処理を行い、その翌年度において会計処理の確定が行われた場合には、従来は、企業結合年度に当該確定が行われたとしたときの損益影響額を特別損益に計上することとされていました。

今回の改正では、企業結合年度の翌年度の財務諸表と併せて企業結合年度の財務諸表を表示するときには、当該企業結合年度の財務諸表に、暫定的な会計処理の確定による影響を反映させることになりました(遡及処理することになります)。

これは、日本でも既に会計方針の変更等に遡及的な会計処理を導入しているため、企業結合年度に当該確定が行われたように遡及する会計処理が導入されることになったと考えられます。

4.適用時期

上記の4点の改正についての適用時期は以下の通りです。

 

表2:適用時期

項目 適用時期
  • 当期純利益、その他の項目の名称の変更
  • 取得関連費用の会計処理の変更
  • 2015年4月1日以後開始する連結会計年度(事業年度)
  • 早期適用は2014年4月1日以後開始する連結会計年度(事業年度)から可能
  • 遡及適用は行わないことができる
支配が継続している場合の親会社の持分変動の会計処理の変更
  • 2015年4月1日以後開始する連結会計年度
  • 早期適用は不可
  • 当期の連結財務諸表に併せて表示されている過去の連結財務諸表の表示の組替えを行う
暫定的な会計処理の取扱いの変更
  • 2015年4月1日以後開始する連結会計年度(事業年度)
  • 早期適用は2014年4月1日以後開始する連結会計年度(事業年度)から可能
  • 適用開始年度の前年度に行われた暫定的な会計処理については、従前の取扱いにより適用年度の特別損益に計上する

5.最後に

今回の改正では、のれんの非償却化、子会社に対する支配を喪失した場合の残存投資の評価替えなど一定の事項は引続き検討課題にすることとされました。これらの点についても、今後の動向に注意していきたいと思います。

 
執筆者:吉田 隆伸
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続 第10回 受注と出荷のリードタイムの分析

シリーズの10回目は、受注と出荷のリードタイムの分析をしてみたいと思います。

 

一般的に販売活動の流れは、受注に基づいて、在庫の引当又は生産の指示が行われ、出荷された時点で売上が計上されます。一方、架空売り上げなどでは、受注がありませんから、通常の販売活動の手順を踏むことなく、売上処理がされます。そのため、受注処理を行ったとしても、それは売上計上のためだけの処理ですので、例えば、受注日と出荷日が一致している、リードタイムが十分にない、あるいは受注自体が記録されていないなどの不正の兆候が表れている場合があります。

販売管理システム上で、売上データに受注日がリンクしていれば、それを利用して受注日と出荷日の差異を分析することになります。リンクしていなければ、それぞれのデータファイルを入手し、受注番号等で結合した上で同様の分析を行うことになります。

 

それでは、ActiveDataを使用して、売上取引についてリードタイムの分析をしてみたいと思います。

 

@「売上明細」シートを開きます。

Aワークシートコマンドの中から「列」を選択し、さらに「数式列を追加」を選択します。

B「数式列を追加」ダイアログボックスが開きますので、条件を次のように設定します。

(ア) 「列の名前」に「リードタイム」と入力します。

(イ) 「新しい列の値」の「数式」テキストボックス内に数式を入力するため、右側にある数式作成アイコンをクリックします。

(ウ) 「式ビルダー」ダイアログボックスが開きますので、右側の枠の上にあるプルダウンメニューの中から「ActiveData」を選び、表示される関数の一覧の中から、「adDaysDif(date1,date2)」を選択します。

(エ)下方の数式ボックスに表示された数式の「date1」にカーソルを合わせて、左上の列名の中から「出荷日」をクリックします。次に「date2」に合わせて「受注日」をクリックします。

(オ)「OK」を押すと、「数式列を追加」ダイアログボックスに戻りますので、再度「OK」を押すと、「売上明細」シートに「リードタイム」列が追加されています。

C列が追加された「売上明細」シートを開いた状態で、次のステップに進みます。

Dワークシートコマンドの中から「シートクエリ」を選択し、さらに「指定値により抽出」を選択します。

E「指定値により抽出」ダイアログボックスが開きますので、条件を次のように設定します。

(ア) 「条件を入力する列」で「リードタイム」を指定します。

(イ) 「条件入力」の「数値<=」をチェックし、抽出したい日数の上限を入力します。

F 「OK」をクリックすると、「抽出>売上明細」シートが新たに作成されます。

これで受注から売上計上までのリードタイムが一定期間以下の取引が抽出されました。
 
執筆者:武田剛
 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第35回 IFRS第9号「金融商品」(前編)

1.はじめに

今回は、IFRS第9号「金融商品」(以下、IFRS第9号という。)の認識及び認識の中止について紹介します。

IFRSにおいて金融商品に係る会計基準は大きく「認識及び測定」、「表示」及び「開示」の3つに分けられており、IFRS第9号は、認識と測定について取り扱っています。現在、「認識及び測定」の現行の基準であるIAS第39号「金融商品:認識及び測定」をIFRS第9号に置き換えるプロジェクトが進められています。

プロジェクトは大きく「分類と測定」、「減損」及び「ヘッジ会計」の3つのフェーズに分けて進められており、IFRS第9号の「分類と測定」に関する規定は公表され、2015年1月1日以後開始事業年度より適用となります。

2.目的

IFRS第9号の目的は、財務諸表の利用者が、将来キャッシュ・フローの金額、時期及び不確実性を評価するにあたって、目的適合性のある有用な情報を表示する金融資産及び金融負債の財務報告に関する原則を確立することにあります。

3.認識及び認識の中止

【1】当初認識

企業は、金融商品の契約条項の当事者になった場合に、金融資産又は金融負債を財政状態計算書に認識しなければなりません。また、金融資産を通常の方法による売買により取得した場合には、取引日会計又は決済日会計により、認識及び認識の中止を行わなければなりません。ここで、通常の方法による売買とは、関係する市場における規制又は慣行により一般に設定されている期間内での資産の引渡しを要求する契約による、金融資産の購入または売却をいいます。

 

【2】金融資産の認識の中止

企業は、以下のいずれかに該当した場合、金融資産の認識の中止を行わなければなりません。

(1)金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合

(2)金融資産を譲渡し、それが認識の中止の要件を満たす場合

ここで、金融資産の譲渡とは、@金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合のほかに、Aこの権利を保持しているが、1名以上の受取人に当該キャッシュ・フローを支払う契約上の義務を引き受けている場合も含みます。Aについては、以下の3つの要件のすべてに該当する必要があります。

(1)企業が原資産からの対応金額を回収しない限り、最終受取人への支払義務がないこと

(2)原資産の売却あるいは担保差入が禁止されていること

(3)回収したキャッシュ・フローを、重要な遅滞なしに送金する義務を有していること

次に金融資産の中止の要件については、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値をどの程度保持しているかによって、以下のように判定します。

(1)所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転している場合

 当該金融資産の認識の中止を行い、当該譲渡において新たに生じた又は保持している権利及び義務(報酬を得てその金融資産の元利金徴収を行う権利を保持している場合など)をすべて資産又は負債として別個に公正価値で認識しなければなりません。

(2)所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを保持している場合

当該金融資産の認識を継続しなければなりません。また、受け取った対価について金融負債を認識し、その後の期間

において、譲渡資産に関する収益と金融負債に発生する費用のすべてを認識しなければなりません。

(3)上記のいずれでもない場合

この場合には、当該金融資産に対する支配を保持しているか否かで判定を行います。

(a)支配を保持している場合

当該金融資産に対して継続的関与の範囲において、当該金融資産の認識を継続しなければなりません。ここで、継続的関与の範囲とは、企業が譲渡資産の価値の変動に晒される範囲であり、例えば、企業の継続的関与が、譲渡資産に対する保証の形をとっている場合には、@当該資産の金額と、A受け取った対価のうち企業が払い戻すことを要求される可能性のある最大金額のいずれか低い方が企業の継続的関与の範囲となります。

(b)支配を保持していない場合

当該金融資産の認識の中止を行い、当該譲渡において新たに生じた又は保持している権利及び義務をすべて資産又は負債として別個に認識しなければなりません。

なお、金融資産の認識の中止を行った際に認識される損益は、(1)と(2)の差額となります。

(1)認識の中止を行った部分に配分された帳簿価額

(2)認識の中止を行った部分に対して受け取った対価(新たに認識した資産及び負債の公正価値の差額を含む)

 

【3】金融負債の認識の中止

企業は、契約中に特定された債務が免責、取り消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止します。また、現在の借手と貸手との間での、著しく異なる条件による負債性商品の交換は、従前の金融負債の消滅と新しい金融負債の認識を行わなければなりません。同様に、既存する金融負債又はその一部分の条件の大幅な変更は、従前の金融負債の消滅と新しい金融負債の認識として処理しなければなりません。なお、認識を中止した金融負債の帳簿価額と支払った対価の額との差額は、当期の純損益に認識しなければなりません。

 

【参考文献】

1.IFRS第9号
2.IFRS会計学基本テキスト 中央経済社

 
執筆者:関和輝
 

 

中小企業お役立ち情報6 「中小企業の事業再生計画案策定の手順」

1.はじめに

経営改善計画には、私的な手続きに基づく計画や法的な手続きに基づく計画もあり、様々な計画が存在します。その中には、金融機関が求める計画の要件である実抜計画や合実計画を満たしている計画(以下、事業再生計画)と満たすことができない計画、例えば、3年間程度の暫定リスケの計画書や超長期リスケの計画(以下、経営改善計画)があります。

認定支援機関の業務の中心は、債務者企業が経営改善や事業再生を実現するにあたり策定するこれらの計画書の策定支援です。計画書策定についての大まかな手順及び作成時の留意点については、「中小企業経営力強化支援法お役立ち情報 5」にて解説済みですので、今回は、これらの計画書についての具体的な構成と内容を解説します。また、その中でも特に計数計画は、実抜計画・合実計画の判断の基礎になる重要なものですので、別途詳細に解説します。

2.経営改善計画書の構成と内容

「事業再生計画書」、「経営改善計画書」は、債務者企業の置かれている状況により、その内容を個社ごとにカスタマイズする必要がありますが、参考例として下記のような内容が考えられます。

構成 内容
事業再生計画書 経営改善計画書
債務者概況表 「対象先・概要」「財務内容及び問題点」「業績推移等」「銀行取引状況」「現状と認識課題」「経営改善計画策定方針」を表で記載する。 -
計画書の概要 「企業の概要」「課題・問題点(財務の状況、損益の動向、窮境原因等)」「経営改善計画策定の基本方針」「計画期間・改善目標等」を表で記載する。 -
ビジネスモデル俯瞰図 「売上構成別に主な得意先、販売ルート、取引額」「商製品・サービスの内容」「重要な拠点」「従業員・組織」「原価内容別に主な仕入先・外注先、仕入・外注ルート、取引額」等を図等を用いて表現する。 債務者企業を取り巻くビジネスの関係者、例えば、「得意先(お客様)」「商品・サービスの内容」「重要な拠点」「従業員・組織」「仕入先(供給先)」を図等を用いて表現する。
企業集団の状況 「債務者企業の資本関係」「主要な取引関係(金銭消費貸借、債務保証、賃貸借)」等を図等を用いて表現する。またグループ会社が存在する場合は、「役割」「設立時期」「売上高、借入金残高」「従業員数」等も記載する。 「債務者企業の資本関係」「主要な取引関係(金銭消費貸借、債務保証、賃貸借)」等を図等を用いて表現する。またグループ会社が存在する場合は、それらの会社との関係も図等を用いて記載する。
資金実績表 「過去1年程度の資金繰りの実績」と、「将来6ヶ月程度の資金繰りの見込み」を記載する。 -
計数計画概要・具体的施策 「計画期間における計数計画の概要」「経営改善計画に関する具体的施策内容や実施時期」「債務者企業とメイン行による経営改善計画に関する表明事項」を表で記載する。 「計画期間における計数計画の概要」「経営改善計画に関する具体的施策内容や実施時期」「債務者企業とメイン行による経営改善計画に関する表明事項」を表で記載する。
実施計画及びモニタリング計画 アクションプラン(行動計画)を記載する。具体的には、「経営改善計画の具体的な内容」「実施時期」「実施責任者」「計数目標」等を表で記載する。また、モニタリング計画を表で記載する。 アクションプラン(行動計画)を記載する。具体的には、「経営改善計画の具体的な内容」「実施時期」「主担当」「目標」等を表で記載する。
計数計画詳細 計画策定の前提条件、直近期の実績と、計画期間(5〜10年)における「計画損益計算書」「計画貸借対照表」「実質純資産額の推移表」「キャッシュフロー計算書」「税額計算表」「金融機関別借入金返済計画表」等を表で記載する。 直近期の実績と、計画期間(3年程度)における「損益計画」「有利子負債、実質純資産額推移表」「金融機関別借入金返済計画表」等を表で記載する。
資産保全状況 金融機関別の保全・非保全の状況を表で記載する。 -

3.計数計画

(1)計数計画の構成

計数計画とは経営改善施策による改善効果を数値化した計画のことであり、施策実施後の借入金返済予定額を把握するために策定されます。原則的には、「損益計画」、「貸借対照表計画」、「キャッシュフロー計画」の財務3表を策定することが求められます。

財務3表の構成内容は以下の通りです。

財務3表 構成要素
損益計画 売上高、売上原価・販管費、営業外・特別損失、法人税等
貸借対照表計画 現金預金、運転資金、固定資産、借入金、その他資産・負
キャッシュフロー計画 営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー

また、財務3表の作成のためには、以下のサブ計画の策定が必要となります。

サブ計画 策定方法
売上計画 主要な製品・サービスの種類別、得意先別等ごとに過去の実績、改善施策に基づいて数量計画と単価計画を策定し、それらを積み上げるとともに、主要でない製品・サービス、得意先、地域等の売上高は過年度実績から算出し策定する。
売上原価・販管費計画 費用の内容別に策定する。なお、メーカーの場合には、製造原価計画を策定した上で、期首・期末の製品棚卸高を考慮して策定する。
人員計画 将来の採用・退職計画に基づき期末時点での在籍人員数を計画する。
税金計画 売上高、売上原価・販管費、営業外・特別損益に基づいて試算される税引前当期純利益、税務上の加減算項目、繰越欠損金残高に基づいて策定する。
運転資金計画 売上計画、売上原価・販管費計画と過年度の回転期間実績をもとに策定する。
資産の取得・売却計画 前期末残高に将来の設備投資による増加額を加算するとともに、資産の売却による減少額を控除して固定資産残高を計算する。
借入金返済計画 借入金返済予定額に基づき金融機関別の返済額を定める。

なお、金融支援案として暫定リスケを要請することを予定しており、技術的・時間的な制約があり、重要な設備投資、運転資金の変動がないと見込まれ、取引金融機関が財務3表は不要であると判断する場合には「貸借対照表計画」、「キャッシュフロー計画」は策定せず、「損益計画」をもとに「簡易キャッシュフロー」を策定し「借入金返済計画」を策定することも容認されています。

 

(2)財務3表の策定手順

基本的にサブ計画に基づき、財務3表は作成されますが、財務3表の構成内容からサブ計画を作成することもあります。また、財務3表の構成内容及びサブ計画には、連動している箇所があるため、財務3表は、それぞれに策定するのではなく、以下の策定手順に従って策定します。

@「売上計画」に基づき「損益計画」の売上高を算定します。

A「人員計画」に基づき、「損益計画」の売上原価・販管費に含まれる人件費を算定するとともに、その他の項目については「売上計画」をもとに「売上原価・販管費計画」を策定し、売上原価・販管費を算定します。

B「資産の取得・売却計画」、「売上原価・販管費計画」の減価償却費に基づき「貸借対照表計画」の固定資産を算定します。また、(資産別・科目別)償却率等に基づき減価償却費も算定します。

C「損益計画」の支払利息以外の営業外・特別損益について、「資産の取得・売却計画」等に基づき算定します。

D売上高、売上原価に基づき「運転資金計画」を策定し、「貸借対照表計画」の売上債権、棚卸資産、仕入債務を回転期間に基づき算定します。

E各科目の内容・内訳に基づき「貸借対照表計画」その他資産・負債の残高推移を決定します。

F借入金返済額については一旦仮置きし、借入金残高に基づき「損益計画」の支払利息を算定します。

G繰越欠損金、税務上の加減算項目を考慮し、「税金計画」を策定し、「損益計画」の法人税等を算定します。

H「損益計画」、「貸借対照表計画」に基づき、「キャシュフロー計画」の営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローを算定します。

Iフリーキャッシュフローに基づき返済額を確定し、「借入金返済計画」を作成します。また、「借入金返済計画」に基づき、Fの支払利息、Gの法人税等、Hの営業キャッシュフローを再度算定します。

J「キャッシュフロー計画」に基づき算定された期末現預金残高を「貸借対照表計画」に反映します。

K計画期間の実質純資産額、債務償還年数を算定します。

 

参考文献

「認定支援機関向け経営改善、事業再生研修【基礎編】」

 
執筆者:中戸 大介
 

 


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  明誠ニュースレター vol.37
2013年11月14日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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