明誠グループニュースレター

情報フラッシュ [ 連載記事 ]
ActiveDataによる不正監査手続 第11回 入力権限のチェック
シリーズIFRS(国際財務報告基準)第36回 IFRS第9号「金融商品」(後編)
中小企業お役立ち情報7 「中小企業の消費税転嫁対策について」

[ トピック解説 ]

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情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成25年11月29日 日本公認会計士協会は「「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」の改正について」(公開草案)を公表しました。
平成25年11月22日 日本公認会計士協会は「IT委員会報告第2号「Trustサービスに係る実務指針(中間報告)」の改正について」(公開草案)を公表しました。
平成25年11月19日 企業会計審議会監査部会は「監査基準の改訂について(公開草案)」を公表しました。
平成25年11月18日 金融庁は、企業会計基準委員会により平成25年9月に改正された企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」等に対応するため、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表しました。
平成25年11月11日 日本公認会計士協会は、上記同様、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」等に対応するため、会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同第7号(追補)「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針」、同第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」、同第9号「持分法会計に関する実務指針」、「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A」及び「金融商品会計に関するQ&A」の改正について(公開草案)を公表しました。
平成25年11月11日 日本公認会計士協会及び日本監査役協会は「監査役若しくは監査役会又は監査委員会と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正についてを公表しました。


連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続 第11回 入力権限のチェック

シリーズの11回目は、正当な権限を有していない者によってデータ入力が行われているケースを検討してみたいと思います。

 

一般的に、売上や仕入れなどの一連の業務処理は、その開始から完了までの各段階をそれぞれ異なった担当者が行います。これは、業務効率もさることながら、たった一人で行う事による不正や誤謬を防止するため、各担当者の役割と権限を分け、内部牽制を利かせる形で職務分担を定めているわけです。例えば、売上について言えば、受注入力、受注承認、出荷指示、出荷入力、売上承認、売掛金消込などの処理は、手入力か自動処理かの違いはあっても、異なる担当者によって行われています。

当然のことながら、システム上においても、正当な権限者のみが権限を与えられていなければなりません。しかし、多くの企業で以下のような問題点が発見されます。

@上位者が入力権限、修正権限、承認権限も併せ持っている。

A導入時のテスト用IDや退職者のIDが登録されたままになっている。

B複数の担当者が共通のIDを用いている。

システム上正しく権限設定がされているのであれば、記録されたデータに含まれている入力者や承認者は、正当な権限者と一致するはずです。しかし、不正を行う場合は、一時的にユーザー権限マスタを書き換えて処理を行い、その後再び元に戻す操作をしているケースもありえます。

 

それでは、「入力権限者リスト」と「仕訳帳」の入力者が一致しないデータを抽出してみましょう。ここでは、「仕訳帳」シートと、本来あるべき入力権限者をリスト化した「入力権限者リスト」シートを使用します。なお、「入力権限者リスト」シートは「ユーザーID」、「氏名」、「権限範囲」、「権限レベル」のデータを含んでいるものを用いることにします。

 

@対象となる「仕訳帳」シートを開きます。

Aワークシートコマンドの中から「シートの結合」を選択します。

B「結合先のシートの選択」ダイアログボックスが開きますので、「入力権限者リスト」をクリックし、「選択」ボタンを押します。

C「シートの結合」ダイアログボックスが開きますので、次のように設定します。

(ア) 「シートを結合するグループ列」で「ユーザーID」を選びます。なお、ここで選択する列をキーにして結合することになるので、両方のシートの列名が一致していなければなりません。

(イ) シート1から表示する列」と「シート2から表示する列」のどちらもすべてをチェックします。

(ウ)左下の結合オプションでは、2番目の「シート1に存在するが、シート2に存在しないデータ」をチェックします。

D「OK」をクリックすると、「結合>仕訳帳」シートが作成されます。

この他にも、「参照セルにより抽出」コマンドを用いる方法もありますが、処理に時間がかかるため、上記の方法によることをお勧めします。

 
執筆者:公認会計士・税理士・公認不正検査士 武田 剛
 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第35回 IFRS第9号「金融商品」(後編)

1.はじめに

今回は、IFRS第9号「金融商品」(以下、IFRS第9号という。)の分類及び測定について紹介します。

2.分類

 【1】金融資産の分類

金融資産は、償却原価で測定する金融資産と、公正価値で測定する金融資産に分類されます。償却原価で測定する金融資産に分類するには、以下の2つの条件をともに満たす必要があります。

(1)契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されていること

(2)金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じること

上記2つの条件を満たすもの以外は、すべて公正価値で測定する金融資産となりますが、償却原価の要件を満たす金融資産であっても、当該金融資産を公正価値で測定した場合、資産又は負債の測定又はそれらに係る利得及び損失の認識を異なる基礎で行うことから生じる測定又は認識の不整合を除去又は大幅に低減する場合には、公正価値で測定することを選択することができます。

 

【2】金融負債の分類

すべての金融負債は、次のものを除き、実効金利法を用いて償却原価で測定する金融負債に分類されます。

(1)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債。

(2)金融資産の認識の中止の要件を満たさない場合又は継続的関与アプローチが適用される場合に生じる金融負債。このような金融負債は、受け取った対価について金融負債を認識するか、譲渡資産と関連する負債との正味の帳簿価額が、企業が保持した権利及び義務の償却原価もしくは公正価値と同額になるように測定します。

(3)金融保証契約。このような契約の発行者は、IAS第37号に従って決定された金額か、当初認識額からIAS第18号に従って認識された償却累計額を控除した金額のいずれか高い方で測定を行います。

(4)市場金利を下回る金利で貸付金を提供するコミットメント。このようなコミットメントの発行者は、上記(3)と同じ方法で測定を行います。

(1)の純損益を通じて公正価値で測定する金融負債には、売却目的保有に該当する金融負債と、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債として指定されたものがありますが、後者については、@【1】金融資産の分類で説明した、測定又は認識の不整合を除去又は大幅に低減する場合か、A金融負債のグループが、文書化されたリスク管理戦略又は投資戦略に従って、公正価値ベースで管理・業績評価・情報提供されている場合のいずれかの理由で情報の目的適合性が高まる場合に認められます。

 

【3】分類の変更

企業は、金融資産の管理に関する事業モデルを変更した場合にのみ、影響を受けるすべての金融資産を分類変更しなければなりません。なお、金融負債については、分類の変更は認められていません。

金融資産を分類変更する場合には、分類変更日から将来に向かって分類変更を適用しなければなりません。ここで、分類変更日とは、企業が金融資産を分類変更することになる事業モデルの変更後の最初の報告期間の初日をいいます。

償却原価で測定する金融資産から公正価値で測定する金融資産に分類変更した場合には、分類変更日時点の帳簿価額と公正価値との差額から生じる利得又は損失を純損益に認識し、反対の場合は、分類変更日の公正価値が新たな帳簿価額となります。

3.測定

【1】金融資産の測定

(1)当初測定

金融資産は、当初認識時に公正価値により測定します。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、取得に直接要した取引費用を加算します。

(2)当初認識後の測定

1) 償却原価で測定する金融資産

償却原価で測定する金融資産に係る利得又は損失は、当該金融資産の認識の中止時、減損又は分類変更時及び償却過程において、純損益に認識しなければなりません。

2) 公正価値で測定する金融資産

公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等の利得又は損失は、純損益に認識しなければなりません。ただし、売却目的以外で保有する資本性金融商品への投資については、当初認識時に、当該金融資産の公正価値の事後的な変動について、その他の包括利益に表示する方法を採用することができます。

 

【2】金融負債の測定

(1)当初測定

金融負債は、当初認識時に公正価値により測定します。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、取得に直接要した取引費用を減算します。

(2)当初認識後の測定

1) 償却原価で測定する金融負債

償却原価で測定する金融負債に係る利得又は損失は、当該金融負債の認識の中止時及び償却過程において、純損益に認識しなければなりません。

2) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債

純損益を通じて公正価値で測定する金融負債のうち、売却目的保有に該当する金融負債の公正価値の変動等の利得又は損失は、純損益に認識しなければなりません。純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定した金融負債に係る利得又は損失については、公正価値の変動のうち、当該負債の信用リスクの変動に起因する金額をその他の包括利益に表示し、残りの金額を純損益に表示します。なお、このような区分処理が、前述の測定又は認識の不整合を発生又は拡大する結果となる場合には、すべての利得又は損失を純損益に表示しなければなりません。

 

【参考文献】

1.IFRS第9号
2.IFRS会計学基本テキスト 中央経済社

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報7 「中小企業の消費税転嫁対策について」

1.消費税転嫁対策について

消費税率の段階的引き上げ決まり、平成26年4月より従来の5%から8%に、平成27年10月より10%に引き上げられることとなりました。この消費税率の引き上げにより、中小企業や中小事業者が税率引き上げ分を円滑かつ適正に転嫁できるように平成25年10月1日に「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(以下消費税転嫁対策特別措置法という)が施行されました。

今回は、消費税転嫁対策特別措置法について解説します。

2.消費税転嫁対策特別措置法の概要

消費税転嫁対策措置法は、@消費税の転嫁の拒否等の行為の是正、A消費税の転嫁を阻害する表示の是正、B価格の表示、C消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為 についての特別措置を定めています。

 

 [1]消費税の転嫁拒否等の行為の是正についての特別措置について

中小企業や中小事業者の消費税の転嫁が円滑かつ適正に行えるように「特定事業者」による「特定供給事業者」に対する消費税の転嫁拒否等の行為に該当する行為を定めこれを禁止しています。

 

対象となる「特定事業者」と「特定供給事業者」は下表のとおりです。

特定事業者(買い手) 特定供給事業者(売り手)

(1)一般消費者が日常使用する商品の小売を行うもので次の@,Aに該当するもの(大規模小売事業者)

@前事業年度の売上高が、100億円以上である者

A次のいずれかの店舗を有するもの

  • 東京都特別区及び政令指定都市で店舗面積3,000u以上
  • その他の市町村において店舗面積が1,500u以上

(2)法人である事業者で次に掲げる事業者から継続して商品の供給を受けるもの((1)を除く)

@個人である事業者

A人格のない社団

B資本金の額又は出資の額が3億円以下の事業者

(1) 大規模小売事業者に継続して商品又は役務を提供する事業者

(2) 次に掲げる事業者

@個人である事業者

A人格のない社団

B資本金の額又は出資の額が3億円以下の事業者

 

次に、消費税の転嫁拒否等にあたる禁止行為は次の通りです。

(1)減額、買いたたき

@商品又は役務の対価の額を事後的に減額することにより消費税の転嫁を拒否すること

A商品又は役務の対価の額を通常支払われている対価に比べて低く定めることで消費税の転嫁を拒否すること

(2)商品購入、役務利用又は利益供与の要請

@消費税の転嫁に応じることと引き換えに商品を購入させ、又は役務を提供させること

A消費税の転嫁に応じることと引き換えに金銭、役務その他の経済上の利益を供与させること

(3)本体価格(消費税を含まない価格)での交渉拒否

商品又は役務の対価に係る交渉において特定供給事業者からの消費税を含まない価格を用いる旨の申し出を拒むこと

(4)監督官庁への転嫁拒否行為の通報による報復

特定供給事業者が、公正取引委員会等に転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じたり、取引を停止したり、その他不利な取扱いをすること

 

さらに、上記行為への違反に対し監督官庁等(公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官)は、違反行為を防止し、又は是正するために必要な指導を行うことを定めています。

 

[2]消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置について

消費税は、最終的に消費者が負担し、事業者が納税する税金であることから一般消費者が、消費税の負担を行わなくていいと誤認する宣伝や広告を行うことは、中小企業や中小事業者の消費税転嫁を阻害する要因となります。このため、自己の供給する商品及び役務の取引について消費税の転嫁を阻害する行為として以下に掲げる表示を禁止しています。

(1)消費税を転嫁していない旨の表示
具体例:消費税還元セール、消費税増税分を据え置いています等

(2)消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示
具体例:消費税分を値引きします、増税分3%値引きや消費税8%還元セール等

(3)消費税に関連して相手方に経済上の利益を提供する旨の表示
具体例:消費税相当分のポイント付与、消費税相当分のキャッシュバック等

 

一方で、企業の自助努力での低価格販売を禁ずる趣旨ではないため、消費税との関連がはっきりしない「春の生活応援セール」や偶然、消費税率の引き上げ率と一致する「3%還元」や消費税率と一致する「8%還元」等の表示は、禁止されていません。

 

[3]価格の表示に関する特別措置について

(1)価格の表示についての特別措置

価格の表示については、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保や事業者の事務負担の便宜を図るため次の特別措置を定めています。

@事業者(免税事業者を除く)は、消費税の円滑かつ適正な転嫁のために必要があるときは、現に表示している価格が、税込価格(消費税を含めた価格)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、消費税法の規定にかかわらず、税込価格の表示を要しないこととしています

(誤認されない表示例)

○○円(税抜)

○○円(本体価格)

○○円+税

A事業者は、供給する商品又は役務の税込価格を表示する場合、消費税の円滑かつ適正な転嫁のために必要があるときは、税込価格に併せて、消費税を含まない価格又は消費税の額を表示することができます。
また、この時、税込価格が明瞭に記載されているときは、当該消費税を含まない価格の表示は、不当景品類及び不当表示防止法の不当な表示には当たらないこととしています。

(2)明瞭表示とその具体例

消費税の表示において上記(1)のAの明瞭に記載されていると言えるためには、税込価格に併せて税抜価格を表示する時に表示媒体における表示全体から見て税込価格が一般消費者にとって見やすく、かつ税抜価格が税込価格であると一般消費者に誤解されないよう表示されていることが必要となります。

 

(明瞭表示の具体例)

○○円(税込○○)

○○円(税込○○)

 

(明瞭表示とは言えない具体例)

文字の大きさに問題がある例

○○円(税込○○)

文字間余白、行間余白に問題がある例

○○円

背景の色に問題がある例

○○円(税込○○)

 

[4] 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置について

消費税の転嫁を円滑かつ適正に行うために次に定める共同行為について平成26年4月1日から平成29年3月31日までの期間において事業者又は事業者団体が、公正取引委員会に届け出を行った場合、例外的に独占禁止法の規定を適用しないこととしています。

ここで定めた共同行為は、次のとおりです。

 

(1)共同行為に参加している事業者又その共同行為に係る事業者団体の加入者又は構成員の3分の2以上が中小事業者である場合、供給する商品又は役務に係る消費税の転嫁方法の決定(転嫁カルテル)に係る共同行為
(具体例):事業者が自主的に定めている本体価格に消費税分を上乗せすること

(2)商品又は役務に係る消費税についての表示方法の決定(表示カルテル)に係る共同行為
(具体例):価格表示を「消費税込価格」と「消費税額」と並べて表示する方法とすること

 

参考文献

「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法要項」
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」等

 
執筆者:公認会計士・公認不正検査士 市原 豊
 

 


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  明誠ニュースレター vol.38
2013年12月10日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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