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情報フラッシュ [ 連載記事 ]
ActiveDataによる不正監査手続 第13回 タイムスタンプ分析
シリーズIFRS(国際財務報告基準)第38回 IFRS第12号「他の企業への関与の開示」

[ トピック解説 ]

平成26年度税制改正大綱の解説


情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成26年1月27日 日本公認会計士協会は監査基準委員会研究報告「監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」及び監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目に対する監査」に係るQ&A」の公開草案を公表しました。
平成26年1月21日 日本公認会計士協会は「倫理規則」及び「独立性に関する指針」の改正並びに「利益相反に関する指針」の制定に関する公開草案を公表しました。
平成26年1月20日 日本アクチュアリー会は「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」の改定を公表しました。
平成26年1月20日 日本公認会計士協会は品質管理基準委員会研究報告第1号「審査を実施しない場合の自己点検チェックリスト」を公表しました。
平成26年1月17日 日本公認会計士協会は業種別委員会実務指針第38号「投資事業有限責任組合における会計処理及び監査上の取扱い」の改正についてを公表しました。
平成26年1月17日 日本公認会計士協会は学校法人委員会実務指針第45号「「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」に関する実務指針」を公表しました。
平成26年1月16日 日本公認会計士協会は「IT委員会報告第2号「Trustサービスに係る実務指針(中間報告)」の改正について」を公表しました。
平成26年1月16日 日本公認会計士協会は「「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」、監査・保証実務委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」、監査委員会報告第58号「個別財務諸表における関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等の注記に関する監査上の取扱い」、監査・保証実務委員会実務指針第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い」及び同第87号「「親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い」に関するQ&A」の改正について」を公表しました。

トピック解説

 
 

平成26年度税制改正大綱の解説

1.概要

平成25年12月24日に平成26年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回の税制改正は、平成25年10月1日に閣議決定された「消費税率及び地方消費税率の引き上げとそれに伴う対応について」での決定事項(秋の大綱)、とその秋の大綱に追加をする形で決定された事項とにより構成されています。

平成26年度税制改正においては、経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却及び経済再生に向けて企業の積極的な投資行動を促すための措置や、企業の交際費に着目した消費活性化のための措置、地域掲載の活性化のための措置等の他、東日本大震災からの復興について、その進捗状況も踏まえつつ、引き続き復興を支援するための税制上の措置等が講じられました。

平成25年10月に閣議決定された「消費税率及び地方消費税率の引き上げとそれに伴う対応について」の決定事項(秋の大綱)及び秋の大綱に追加して決定された事項の主だった内容は以下のとおりとなっています。

2.「消費税率及び地方消費税率の引き上げとそれに伴う対応について」での決定事項

(1)民間投資の活性化

生産性の向上につながる設備投資に対する即時償却又は税額控除ができる生産性向上設備投資促進税制が創設されました。また、研究開発税制の拡充として、上乗せ措置(増加型・高水準型)について適用期限を3年延長するとともに、増加型の措置については、試験研究費の増加割合に応じて税額控除率を引き上げる仕組み(最大30%まで)へと改組されました。

 

(2)中小企業対策

中小企業の生産性向上に向けた設備投資を即時償却や税額控除で支援する生産性向上設備促進税制が創設(再掲)されました。また、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度である中小企業投資促進税制の適用期限が3年間延長となり、税額控除を利用可能な法人は従来の資本金3千万円までから1億円までに拡大、資本金3千万円までの法人に対する税額控除率は7%から10%に拡充されました。また、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限も2年間延長されました。

 

(3)民間企業等によるベンチャー投資等の促進

ベンチャー投資促進税税制が創設され、ベンチャーファンドを通じて事業拡張期にあるベンチャー企業へ出資した場合、その損失に備える準備金につき、出資金の80%の損金算入ができることとなりました。また、創業支援事業計画の認定を受けた市区町村内において、当該市区町村等による一定の支援を受けた創業者の株式会社設立登記の際の登録免許税が軽減されます。

 

(4)収益力の飛躍的な向上に向けた経営改革の促進

事業再編促進税制が創設され、複数企業間で経営資源の融合による事業再編を行う場合、出資金・貸付金の損失に備える準備金につき、出資金・貸付金の70%の損金算入が出来ることとなりました。また、事業再建計画、特定事業再編計画又は中小企業承継事業再生計画の認定を受けた認定業者がこれらの計画に基づき株式会社の設立等に係る一定の登録免許税が軽減されることとなりました。

 

(5)設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応

既存建築物の耐震改修投資の促進税制措置が創設され、その耐震改修対象建築物の部分について行う耐震改修につき取得し、又は建設したその耐震改修対象建築物の部分についてその取得価額の25%の特別償却ができることとなりました。

 

(6)所得の拡大

給与等の支給額を増額させた場合、増加額の10%(法人税額の10%(中小企業等は20%)を限度)を税額控除する制度の雇用者給与等支給額増加割合の要件(現行5%以上)について、適用年度の区分に応じて見直しが行われた上で、その適用期限が2年間延長されました。また、高齢者の退職と若年者の採用による平均給与減少といった事情を考慮するため、給与等支給額の「平均」の比較対象が「継続雇用者に対する給与等(退職者、再雇用者、新卒採用者を除いての比較)に見直されました。

3.秋の大綱に追加して決定する事項

(1)個人所得課税

給与所得控除の上限額が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を、次のとおりに引き下げる方向です。

平成28年より1,200万円(控除額230万円)

平成29年より1,000万円(控除額220万円)

 

(2)法人課税

1)復興特別法人税の廃止

経済の好循環を早期実現する観点から、足元の企業収益を賃金上昇に繋げるきっかけとするために、課税期間を1年間前倒しして終了します。

2)民間投資と消費の拡大

a.交際費課税の特例措置

交際費課税制度の適用期限を2年間延長するとともに、飲食のために支出する費用の額の50%の損金算入が認められるよう見直されました。そのため、中小法人については現行の定額控除(800万円)との選択制になります。

b.その他

港湾の民有護岸等の耐震化の推進税制として、大規模地震が発生した場合において船舶の交通を確保するため、民間事業者が所有する特定技術基準対象施設(護岸等)を耐震改修した場合、取得価額の20%の特別償却ができるようになります。

 

(3)消費課税

外国人旅行者向け消費税免税制度において、外国人旅行者のショッピングにおける利便性を向上させ、日本における消費を増加させるため、以下の見直しが図られました。

イ.免税対象を消耗品(飲食料品や化粧品等)へ拡大

ロ.購入記録票等の様式の弾力化及び手続の簡素化

 

(4)国際課税(国際課税原則の見直し)

外国法人に対する課税原則について、従来の国内法においては、国内に支店を有する外国法人に対する課税は、国内に源泉のある全ての所得を合算して計算する、いわゆる「総合主義」の考え方が採用されてきました。一方で、他国との租税条約においては、国内の恒久的施設(以下PEという)に帰属する所得についてのみに課税を行う、いわゆる「帰属主義」が採用され、国内における外国法人に対する課税方式には2つの考え方が混在していました。

2010年にOECDモデル租税条約第7条においてPEに帰属すべき所得の算定アプローチが定式化され、導入されたことを受け、日本の国内法のあり方について検討が重ねられた結果、課税方式を総合主義から帰属主義へと見直されることとなりました。多くの国で採用されている帰属主義を導入することにより、二重課税・二重非課税が緩和され、日本が締結している租税条約との整合性を図ることができます。また、二元化されていた課税原則が簡素でかつ国際調和のとれた税制に近づくことで、対内・対外投資に好影響を及ぼすことが期待されています。

 

1)恒久的施設に帰せられる所得の位置付け

外国法人が我が国に有する恒久的施設(以下PEという)に帰せられる所得(以下PE帰属所得という)を、従来の国内事業所得に代えて国内源泉所得の一つと位置付けます。

2)PE帰属所得の算定

PE帰属所得は、外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に当該PEに帰せられるべき所得とします。

a.内部取引

PE帰属所得の算定においては、外国法人のPEと本店等との間の内部取引について、移転価格税制と同様に、独立企業間価格に基づく損益を認識します。

b.資本の配賦及び支払利子控除制限

外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべき資本(以下PE帰属資本という)をPEに配賦します。また、外国法人のPEの自己資本相当額がPE帰属資本の額に満たない場合には、外国法人のPEにおける支払利子総額(本店等への内部支払利子及び費用配賦された利子を含む)のうち、その満たない部分に対応する金額について、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入しません。

3)外国法人に係る外国税額控除制度の創設

外国法人のPEが本店所在地国以外の第三国で得た所得がPE帰属所得として我が国の課税対象となることに伴い、外国法人のPEのための外国税額控除制度を創設します。

4)内国法人の外国税額控除

内国法人が国外に有するPEに帰せられる所得(以下、国外PE帰属所得という)を国外源泉所得の一つとして定義し、内国法人の外国税額控除に関して国外PE帰属所得を算定する際には、上記2)に準じて内部取引等を勘案します。

5)その他

a.文書化

PEと本店等との間の内部取引の存否及び内容を明確にするための文書を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示し、又は提出しなければなりません。

b.個人課税

非居住者課税:原則として、帰属主義に変更する外国法人に準じた取扱いとします。

居住者課税:原則として、帰属主義に変更する内国法人に準じた取扱いとします。

4.終わりに

今回の税制改正により、初年度の減税規模は5,800億円となる見込みです。景気回復の実感を社会全体へ浸透させるための政策税制であるという点からは、事後的な検証を行うことにより、その有効性や必要性について国民の理解を得ることが重要となります。一方で、少子高齢化が急進する中、社会保障分野等の財源確保、世代間・世代内での格差の是正、地方税の確保、法人実効税率を引下げる環境づくりが中長期的な課題となっています。

 

(参考文献)
「平成26年度税制改正大綱」(平成25年12月24日 閣議決定)

 
執筆者:公認会計士 町出 知則、成田道枝
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続 第13回 タイムスタンプ分析

シリーズの13回目は、タイムスタンプに着目して、不正リスクの高いデータを抽出してみたいと思います。

 

業務量が多い場合や、勤務形態などによっては、深夜又は休日に業務処理が行われることもありますが、日常業務の入力処理の多くは、平日の業務時間及び深夜に至らない程度の残業時間内に行われます。深夜や休日は、職場に人が少なくなります。そのため、仮に不正行為を行おうと考える者がいた場合は、他人の目を気にすることなく処理を行う事ができます。

多くのシステムでは、入力画面、閲覧画面や出力帳票にはタイムスタンプが表示又は出力されないケースが多いと思いますが、システムの内部に保持されているデータ上では、ほとんどの場合入力した年月日及び時分秒が記録されています。タイムスタンプ付のデータを出力できる機能を持った業務処理ソフトウェアである場合は良いですが、その機能がない場合には、システム担当者などに依頼して、タイムスタンプ付のデータを入手する必要があります。

なお、他のシステムからの夜間バッチ処理で受け入れたデータや、入力データも夜間バッチで処理された時点でタイムスタンプが付されるシステムもありますのでご留意ください。

ここでは、売上計上を手入力している会社を前提に深夜の時間帯(夜22時から早朝5時まで)に入力処理を行った売上データを抽出しましょう。

@対象となる「売上明細」シートを開きます。

Aワークシートコマンドの中から「シートクエリ」を選択し、さらに「数式により抽出」を選択します。

B「数式により抽出」ダイアログボックスが開きますので、条件を次のように設定します。

(ア) 右のボックスの関数の中から「日付/時刻」の「HOUR(serial_number)」関数を選択します。

(イ) ()内の「serial_number」にカーソルを合わせて、左の列名のボックスから「入力時刻」を選択します。

(ウ)中央の計算ボタンの中から「>」を選び、次に22と入力します。

(エ)中央の計算ボタンの中から「or」を選び、(ア)から(ウ)と同じ要領で「HOUR(入力時刻)<5」と入力します。

C「OK」をクリックすると「抽出>売上明細」シートが作成されます。

 

次に土曜日と日曜日に入力処理を行った売上データを抽出しましょう。

@対象となる「売上明細」シートを開きます。

Aワークシートコマンドの中から「シートクエリ」を選択し、さらに「数式により抽出」を選択します。

B「数式により抽出」ダイアログボックスが開きますので、条件を次のように設定します。

(ア) 右のボックスの関数の中から「日付/時刻」の「WEEKDAY(serial_number, return_type)」関数を選択します。

(イ) ()内の「serial_number」にカーソルを合わせて、左の列名のボックスから「入力時刻」を選択し、カンマ以下を削除します。

(ウ)中央の計算ボタンの中から「=」を選び、次に1と入力します。

(エ)中央の計算ボタンの中から「or」を選び、(イ)から(エ)と同じ要領で「WEEKDAY(入力時刻)=7」と入力します。

C「OK」をクリックすると「抽出>売上明細」シートが作成されます。

 
執筆者:公認会計士・税理士・公認不正検査士 武田 剛
 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第38回 IFRS第12号「他の企業への関与の開示」

1.はじめに

今回は、IFRS第12号「他の企業への関与の開示」(以下、IFRS第12号という。)について紹介します。

2.目的及び範囲

IFRS第12号の目的は、財務諸表の利用者が、@他の企業への関与の内容及びそれに関連するリスクAそれらの関与が財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローに与える影響を評価できるようにする情報の開示を企業に要求することにあります。また、IFRS第12号は、次のいずれかへの関与を有する企業が適用しなければなりません。

【1】子会社

【2】共同支配事業及び共同支配企業

【3】関連会社

【4】非連結の自らが組成した企業

3.重要な判断及び仮定

企業は、次のことを決定する際に行った重要な判断及び仮定に関する情報を開示しなければなりません。

【1】他の企業に対する支配を有することの決定

【2】取決めに対する共同支配又は他の企業に対する重要な影響力を有することの決定

【3】取決めが別個のビークルを通じて組成されている場合の共同支配の取決めの種類(共同支配事業又は共同支配企業)の決定

4.子会社への関与

企業は、連結財務諸表の利用者が理解・評価することができる情報を開示しなければなりません。

【1】企業集団の構成の理解

【2】非支配持分が企業集団の活動及びキャッシュ・フローに対して有している関与の理解

例:子会社の名称、主要な営業場所、子会社に関する要約財務情報

【3】企業集団の支配へのアクセス又は利用及び負債の決済を行う能力に対する重要な制約(例えば、法律上、契約上及び規制上の制限)の内容及び程度についての評価

例:親会社又は子会社が現金その他の資産を企業集団内の他の企業に移転する能力に対する制限

【4】連結した組成された企業への関与に関連したリスクの内容及び変動についての評価

【5】支配の喪失に至らない子会社に対する親会社の所有持分の変動の帰結についての評価

【6】報告期間中の子会社に対する支配の喪失の帰結についての評価

5.非連結の子会社への関与

企業は、非連結の子会社のそれぞれについて、次の事項を開示しなければなりません。

【1】子会社の名称

【2】子会社の主要な事業場所

【3】企業が保有している所有持分の割合及びそれと異なる場合には、保有している議決権の割合

6.共同支配の取決め及び関連会社への関与

企業は、財務諸表の利用者が次のことを評価できるようにする情報を開示しなければなりません。

【1】共同支配の取決め及び関連会社への関与の内容、程度及び財務上の影響

例:共同支配の取決め又は関連会社の名称や関係の内容。それらに対する投資が、持分法と公正価値のいずれかで測定されるのか。

【2】共同支配企業及び関連会社への関与に関連したリスクの内容及び変動

例:損失の可能性が極めて低い場合を除き、共同支配企業又は関連会社への関与に関連して負っている偶発負債

7.非連結の自らが組成した企業への関与

企業は、財務諸表の利用者が次のことを評価できるようにする情報を開示しなければなりません。

【1】非連結の自らが組成した企業への関与の内容、程度及び財務上の影響

例:組成された企業の内容、目的、規模及び活動並びに組成された企業の資金調達方法

【2】非連結の自らが組成した企業への関与に関連したリスクの内容及び変動

例:非連結の自らが組成した企業への関与に関して財務諸表に認識した資産及び負債の帳簿価額

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 


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  明誠ニュースレター vol.40
2014年2月14日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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