明誠グループニュースレター

情報フラッシュ [ 連載記事 ]
シリーズIFRS(国際財務報告基準)第40回 IFRS第13号「公正価値測定」(後編)

[ トピック解説 ]

金融審議会 新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告の公表について

「経営改善計画作成支援シート」の公表について


情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成26年3月31日 日本公認会計士協会は業種別委員会実務指針第30号「自己資本比率の算定に関する合意された手続による調査業務を実施する場合の取扱い」の改正について(公開草案)を公表しました。
平成26年3月26日 金融庁から財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令が公布・施行されました。単体開示の簡素化を図るため、本表を会社法の要求水準に合わせ新たな様式に変更し、開示の一部を免除等することとなっています。
平成26年3月24日 日本公認会計士協会は「会計参与の行動指針」の改正についてを公表しました。
平成26年3月20日 日本公認会計士協会は「業種別委員会実務指針第40号「金融商品取引業者における顧客資産の分別管理の法令遵守に関する検証業務の取扱いについて」の改正について」(公開草案)及び「業種別委員会研究報告第7号「証券会社における顧客資産の分別管理に関する合意された手続業務について」の改正について」(公開草案)についてを公表しました。
平成26年3月17日 日本公認会計士協会は「品質管理レビュー制度・上場会社監査事務所登録制度一部改正要綱について」を公表しました。
平成26年3月10日 金融庁は「2014年版EDINETタクソノミ」を公表しました。
平成26年3月7日 企業会計基準委員会は実務対応報告公開草案第40号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」を公表しました。

トピック解説

 
 

金融審議会 新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告の公表について

1.概要

我が国には世界で通用する技術やアイデアがあるにもかかわらず、平成22年の開業率で見ると米国の9.3%に対し、我が国は4.5%と約2分の1となってしまっており、この背景として、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給不足が指摘されています。

これを受け、我が国における企業や新規ビジネスの創出を活性化、ひいては国際社会における経済的地位の相対的向上・持続的な経済成長をもたらす戦略的な構造改革につなげるため、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給促進・新規上場時や上場後の資金調達の制度整備等に努める必要があると認識されました。

これを踏まえ、金融審議会に@「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方」、A「事務負担の軽減など新規上場の推進策」、B「上場企業等の機動的な資金調達を可能にするための開示制度の見直し」、C「その他、近年の金融資本市場の状況に鑑み、必要となる制度の整備」について検討を行うべきとの諮問がなされた結果、金融審議会は本ワーキング・グループを設置し、検討結果を取りまとめ公表しました。

2.新規・成長企業に対するリスクマネーの供給促進策(事業化段階等におけるリスクマネーの供給促進策)

我が国の新規・成長企業に対する事業化段階等におけるリスクマネーの供給促進策として、以下のような検討を行っています。

[1]クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、一般に「新規・成長企業と資金提供者をインターネット経由で結びつけ、多数の資金提供者から少額ずつ資金を集める仕組み」であり、「ファンド形態」と「株式形態」が金融商品取引法の規制対象となります。本ワーキング・グループではこれらの双方を含めた投資型クラウドファンディングに係る、以下のような制度整備に向けた検討を行っています。

(1)仲介者の参入要件の緩和について、リスクマネーの供給促進を図るためには、できるだけ仲介者が容易に参入できる制度とすべきであり、一人当たり投資額や発行総額の上限、仲介者の一定業務禁止などの投資者保護の特例を設けたうえで、現行の第一種及び第二種金融商品取引業の登録の特例を設けるべきとしています。

(2)投資者保護のための必要な措置について、クラウドファンディングを詐欺等に悪用されないよう、仲介者に対し、発行者に対するデューデリジェンスやインターネットを通じた適切な情報提供等のための整備、またインターネットを通じた発行者や仲介者自身に関する情報提供義務、さらに情報提供義務懈怠の場合の罰則等を整備するべきとしています。

(3)自主規制機関による適切な自主規制機能の発揮について、当局の規制・監督のみではなく、自主規制機関による適切な自主規制機能の発揮を組み合わせることが必要とし、当該自主規制等の整備の検討を進めていくべきとしています。

 

[2]非上場株式の取引・換金のための枠組み

地域に根差した企業おける資金調達促進の観点から、非上場株式の一定の取引・換金ニーズに応えるため、以下のような非上場株式の取引制度整備に向けた検討を行っています。

(1)新たな非上場株式の取引制度について、第一種金融商品取引業者が投資勧誘を行える範囲を、「投資グループ」という当該非上場企業の役員や従業員等で構成されるグループのメンバーに限定し、一定の取引・換金ニーズに応えられる程度の流通性に留めるべきとしています。

(2)新たな非上場株式の取引制度へのインサイダー取引規制の適用関係について、現状、非上場株式はインサイダー取引規制の適用対象外となっていますが、影響や取引が僅少なため、新制度でも現状通りインサイダー取引規制の適用対象外にすべきとしています。

(3)新たな非上場株式の取引制度における発行者の開示義務について、新たな制度については一定の取引・換金ニーズに応えるものであるから、発行者に対して有価証券報告書に準じた書類の作成・開示義務を課すべきではないとしています。

 

[3]保険子会社ベンチャーキャピタルによる投資促進

保険会社の議決権保有制限により、ベンチャーキャピタル子会社を通じて行うベンチャー企業への出資に係る特例があるにしろ、ベンチャー企業が中小企業の基準を超えるほど成長すると当該特例の対象外となり、新たな資金需要に応えられなくなるため、特例の要件を緩和すべきとしています。

 

[4]その他ベンチャー企業支援を巡る諸課題

ベンチャーキャピタルが果たすべき役割、ベンチャー企業支援の出口の多様化等、またベンチャー企業に対する人材面でのサポートといった、ベンチャー企業支援を巡る現状を認識し、その課題を整理したうえで、必要な規制や仕組みを推進すべきとしています。

3.新規・成長企業に対するリスクマネーの供給促進策(新規上場の推進策)

新規上場の推進策として、以下のような検討をおこなっています。

 

[1]新規上場に伴う負担の軽減

(1)新規上場時の負担の軽減について、新規上場を行う際、有価証券届出書に過去5事業年度分の財務諸表の記載が必要とされていますが、目論見書には過去2事業年度分の記載のみであること等を勘案し、過去2事業年度分のみ記載と見直すべきとしています。

(2)新規上場後の負担の軽減について、内部統制報告書の提出に係る負担が新規・成長企業の上場を妨げる一要因であるとし、市場や社会・経済的影響が大きい新規上場企業を除き、上場後3年間の内部統制報告書に係る監査義務を免除すべきとしています。

 

[2]新興市場の新規上場時における最低株主数基準の引下げ

新興市場における新規上場を推進していく観点から、円滑な取引に支障が生じない範囲で、特に最低株主基準の引下げを図る余地があるとしています。

4.上場企業の資金調達の円滑化

我が国経済の持続的な成長を実現するため、上場後の企業についても以下のような円滑な資金調達のための検討が必要であるとしています。

 

[1]上場企業の資金調達に係る期間の短縮(待機期間の撤廃)

現状、有価証券届出書提出後7日間の待機期間が必要とされていますが、特に周知性の高い企業が行う募集・売出につき、取得・買付けの判断を比較的容易に行える場合、待機期間を撤廃すべきとしています。

 

[2]「届出前勧誘」に該当しない行為の明確化

現行法上、届出前勧誘の範囲が明確でないため、増資を予定している企業が一般的な企業情報を発信することも該当してしまうのではないかと躊躇しているとの指摘があり、その行為を速やかに明確化すべきとしています。

 

[3]訂正発行登録書の提出に係る見直し

近年の情報通信技術の発展等により必要性も低いと考えられることから、一定の条件を満たした場合、提出義務を免除すべきとしています。

5.近年の金融資本市場の状況を踏まえたその他の制度整備

[1]大量保有報告制度の見直し

環境変化への対応や過大な事務負担の軽減等を目的として、以下のような措置を取るべきとしています。

(1)大量保有報告制度における自己株式の取扱いとして、経営への影響が僅少なことや他の制度により別途開示されるため、自己株式を対象から除外すべきとしています。

(2)大量保有報告書の提出者等が個人である場合の記載事項として、プライバシー保護や詳細な個人情報の公衆縦覧の必要性が乏しいことから、住所における番地の記載と生年月日の記載を除外するべきとしています。

(3)短期大量譲渡報告の適用範囲・記載事項として、保有割合の変動のみに着目していることから、形式的に提出義務が生じてしまうケースや、僅少な譲渡の場合の実務負担が過大になることを避けるため、保有割合が譲渡により減少した場合に提出を義務付けるべきとし、また僅少な譲渡の場合は対価に関する事項をまとめて記載すれば足りるとすべきとしています。

(4)変更報告書の同時提出義務として、子会社が多い等実務上対応不能なケースがあり、内容が不明になるおそれもあるため、同時提出義務を廃止すべきとしています。

(5)大量保有報告書の発行体企業への通知方法として、発行体企業に対する大量保有報告書等の写しの送付義務は不要とし、EDINETへの掲載をもって代替とすべきとしています。

(6)訂正報告書の公衆縦覧期間として、それ単独での情報の意味が乏しいことから、公衆縦覧期間の末日を訂正の基礎である大量保有報告書や変更報告書の公衆縦覧期間の末日と同一にすべきとしています。

 

[2]流通市場における虚偽記載等に係る賠償責任

虚偽記載等に係る損害賠償責任に関するいくつかの論点について、以下のような検討を行っています。

(1)提出会社の損害賠償責任の見直しとして、課徴金制度等により違法行為の抑止効果が強化されたこと等を踏まえ、損害賠償責任の一般原則を超えて提出会社に無過失責任を課す意義が導入当時より低下してきていると考えられるため、役員等の損害賠償責任と同様、立証責任を提出会社に転換した過失責任とするべきとしています。

(2)損害賠償の請求権者の拡大として、虚偽記載等による損害賠償を請求できる者として、取得者に加え、処分者を追加することが適当であるとしています。

(3)損害額推定規定の拡大として、現行法で定められている損害額の推定規定を利用できる範囲を、処分者が請求する場合や、提出以外の者(役員等)に対して請求する場合にまで拡大することを検討すべきとしています。

6.おわりに

本ワーキング・グループ報告では様々な検討案が提示されましたが、いずれも我が国の経済が継続的に成長し、国際競争力を高めていくうえで必要な、新規・成長企業の支援や既存企業の支援に重要な意味をもたらすものばかりだと考えられます。我々監査人も市場経済の歯車の一つを担う責務を果たす中で、そのような企業の支援の力になれるよう努力していきたいです。

 
執筆者:鳥山 昌悟
 

 

「経営改善計画作成支援シート」の公表について

1.はじめに

平成25年12月26日に、日本公認会計士協会から、中小企業の経営改善計画策定支援業務に携わる会員の参考に資するため、「経営改善計画作成支援シート」が公表されました。当該シートは、中小企業庁より公表されている『「経営改善計画策定支援事業に関する認定支援機関向け手引き」の中で示されている各種様式』中の別紙[2-1]経営改善計画書における「計数計画」及び「担保明細」のシートの作成に当たり、会員の参考に資することを目的として作成されています。

2.経営改善計画作成支援シートの概要

経営改善計画作成支援シートは、多数の表等により構成されたExcelシートです。当該シートによる経営改善計画書の作成に当たっては、対象企業の実態に合わせて適宜修正が必要となりますが、指定されたセルに該当数値を入力することで、計算式により関連部分にも自動で入力されるようにできており、比較的簡単に「計数計画」及び「担保明細」が作成できます。

具体的には、経営改善計画作成支援シートは、下表の(1)〜(22)の項目により構成されており、そのほとんどが、直近期から計画5年目(直近期、計画0年目、計画1年目、計画2年目、計画3年目、計画4年目、計画5年目)までの7期間についての記載となっております。

 

  項目名 補足説明
(1) 損益計算書
(2) 2期前、3期前の概要 2期前、3期前の損益計算書の売上高及び各段階損益等の項目をまとめた表
(3) キャッシュ・フロー計算書
(4) FCF (3)キャッシュ・フロー計算書の営業CFと投資CFを合算したFCFの表
(5) CFに関する説明事項 売上債権、仕入債務及び棚卸資産の増減額などでの特記事項などを記載する
(6) 貸借対照表
(7) 実質純資産 帳簿上の純資産額に、不動産の含み損といった調整項目を加減算し実質純資産金額を計算した表
(8) 中小企業特性を考慮した実態純資産額 実質純資産額に、中小企業特性に基づく資産評価の調整として、社長自宅土地及び建物、個人借入及び社長所有有価証券を加減算し中小企業特性反映後の実質純資産額を計算した表
(9) 税額計算表
(10) 繰越欠損金の期末残高
(11) 実効税率
(12) 金融機関別借入金借入・返済計画
(13) 債務償還年数
(14) 金融支援計画 追加融資や返済条件の変更を行う場合に、金融機関ごとに内容を記載する。
(15) 設備投資計画
(16) 減価償却費の内訳
(17) 固定資産期末残高
(18) 製品別売上計画
(19) 売上原価明細
(20) 販売費及び一般管理費明細
(21) 基準日時点の担保・保証の状況
(22) 基準日時点の非保全残高の試算額 各金融機関の借入金残高から、担保や保証協会による保証を差し引いて非保全残高を計算した表
 
執筆者:中戸 大介
 

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シリーズIFRS(国際財務報告基準)第40回 IFRS第13号「公正価値測定」(後編)

1.はじめに

今回は、IFRS第13号「公正価値測定」(以下、IFRS第13号という。)の後編として、公正価値ヒエラルキー及び開示について紹介します。

2.公正価値ヒエラルキー

公正価値測定及びそれに関連する開示の首尾一貫性と比較可能性を向上させるために、IFRS第14号は、公正価値ヒエラルキーを設け、公正価値を測定するために用いる評価技法へのインプットを3つのレベルに区分しています。公正価値の測定にあたっては、優先順位が最も高いレベル1から使用することが求められています。

【1】レベル1のインプット

レベル1のインプットは、測定日における企業がアクセスできる同一の資産又は負債に関する活発な市場における相場価格を言います。活発な市場における相場価格は、公正価値の最も信頼性のある証拠を提供するものであり、原則、利用可能な場合はいつでも、調整なしで使用し、公正価値を測定しなければなりません。

【2】レベル2のインプット

レベル2のインプットは、レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接または間接に観察可能なものを言います。レベル2のインプットの例としては、活発な市場における類似の資産又は負債に関する相場価格や通常公表される間隔で観察可能な金利及びイールドカーブ、相関その他の手段により主に観察可能な市場データから算出されるか又は裏付けられるインプットが挙げられます。

【3】レベル3のインプット

レベル3のインプットは、資産又は負債に関する観察可能でないインプットを言います。観察可能でないインプットを公正価値の測定に使用するのは、観察可能なインプットが入手できない範囲としなければなりません。ただし、公正価値測定の目的は引き続き同じのため、観察可能でないインプットは、市場参加者が資産又は負債の価格付けを行う際に用いるであろう仮定を反映しなければなりません。

レベル3のインプットの例としては、企業自身のデータを使ったキャッシュ・フローや純損益の予測、長期の通貨スワップなどが挙げられています。

3.開示

企業は、財務諸表利用者が次の両方を評価するのに役立つ情報を開示しなければなりません。

(a)当初認識後に財政状態計算書において経常的又は非経常的に公正価値で測定される資産及び負債については、評価技法及び該当測定を作成するのに用いたインプット

(b)重大な観察可能でないインプット(レベル3のインプット)を用いた経常的な公正価値測定については、その測定が当期の純損益又はその他の包括利益に与える影響

上記目的を満たすために、IFRS第13号においては、少なくとも次の情報を開示する必要があるとしています。

【1】経常的及び非経常的な公正価値測定について、報告期間末の公正価値測定、及び非経常的な公正価値測定について、当該測定の理由

【2】経常的及び非経常的な公正価値測定について、公正価値ヒエラルキーのレベル

【3】レベル2・3に区分される経常的又は非経常的な公正価値測定について、測定に用いた評価技法とインプットの説明。変更があった場合はその旨と理由

【4】レベル3に区分される経常的な公正価値測定について、期首残高から期末残高への調整表

【5】レベル3に区分される経常的な公正価値測定について、報告期間末に保有している資産及び負債に関連する未実現損益の変動に起因する額及び表示科目

【6】レベル3に区分される経常的及び非経常的な公正価値測定額について、企業が用いた評価プロセスの説明

【7】レベル3に区分される経常的な公正価値測定について、観察可能でないインプットの変動に対する公正価値測定の感応度の記述的説明及び観察可能でないインプットについて代替的な仮定を反映するために変更を行うと公正価値が著しく変動する場合には、その旨及び変更の影響

【8】経常的及び非経常的な公正価値測定について、非金融資産の最有効使用が現在の用途と異なる場合には、その旨及び最有効使用と異なる方法で使用されている理由

 

参考文献
1.IFRS第13号

2.IFRS会計学基本テキスト 中央経済社
 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

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  明誠ニュースレター vol.42
2014年4月15日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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