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情報フラッシュ [ 連載記事 ]
シリーズIFRS(国際財務報告基準)第42回 IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」
中小企業お役立ち情報_9「平成26年度 中小企業支援制度」

[ トピック解説 ]

金融取引に係る租税回避への防止策に関する調査について

 
 

情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成26年5月30日 第186回国会において成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年3月14日提出、平成26年5月23日成立)」が公布されました。主な改正点は投資型クラウドファンディングの利用促進、新規上場に伴う負担の軽減、ファンド販売業者に対する規制の見直し等となっております。
平成26年5月16日 企業会計基準委員会は改正企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」及び改正企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」を公表しました。
平成26年5月15日 日本公認会計士協会は業種別委員会実務指針第30号「自己資本比率の算定に関する合意された手続による調査業務を実施する場合の取扱い」の改正について公表しました。
平成26年5月14日 日本公認会計士協会はIT委員会研究報告第45号「IT委員会実務指針第7号「受託業務のセキュリティ・可用性・処理のインテグリティ・機密保持に係る内部統制の保証報告書」の実施上の留意点」について公表しました。

トピック解説

 
 

金融取引に係る租税回避への防止策に関する調査について

1.はじめに

金融庁より、2014年5月7日に、「金融取引に係る租税回避への防止策に関する調査研究」及び「投資法人税制に関する調査研究」報告書が公表されました。これらは、金融庁による税制改正要望の参考とするため、税理士法人への委託により作成されたものです。今回は、「金融取引に係る租税回避への防止策に関する調査研究」(以下、本報告という)について解説します。

本報告では、米国における課税制度及びデリバティブ取引と現物取引の損益通算の防止規定に関する調査研究を報告しています。

2.金融取引に係る租税回避への防止策

米国では、金融取引に係る租税回避への防止策として、特にデリバティブ取引と現物取引の損益通算を利用した損失の先取り又は利益の繰延の他、短期キャピタルゲインの長期への転換、長期キャピタルロスの短期への転換、デリバティブ取引に内包されている利息相当額の認識の繰延を防止するために、主に3つの規則を設けています。

 

[1]ウォッシュ・セールに係る規則

ウォッシュ・セールとは、含み損のある有価証券等を譲渡又は処分し、その日前後30日以内に、その有価証券等と実質的に同様の有価証券等を取得する取引、実質的に同様の有価証券等を取得する契約又はその権利を得る契約を締結する取引をいいます。

投資家が含み損を有する有価証券等を譲渡し、その後短期間で同一の有価証券等を買戻すことにより、意図的に含み損を実現させることができます。

規制により、納税者は、ウォッシュ・セールにより損失が生じた場合において、その損失を税務申告において他のキャピタルゲインから控除できません。実質的に同じ有価証券等を保有し続けているとして、このキャピタルロスは税務上、損失の認識が認められず、当該損失は新たな有価証券等の取得価額に算入され、これによりキャピタルロスの認識を処分時まで繰延べる効果があります。

 

[2]ストラドルに係る規則

ストラドルとは、先物取引、オプション取引、若しくはその他のパーソナル・プロパティに係る買建てポジションと売建てポジションが、実質的にそれぞれのポジションから損失が生じるリスクを相互に相殺する場合の、当該買建てポジションと売建てポジションの組合せをいいます。

2つのポジションのうち一方には含み益が累積し、他方に生じている損失は年度末に手仕舞いされ、ストラドルとは無関係な他の利益の相殺として利用されていました(損失の先取り)。また、翌年に含み益のあるポジションのリスクを改めて相殺するために、新しいポジションを組むことで、含み益を無制限に繰延べることが可能になっていました(利益の繰延)。

規制により、納税者は、ストラドルのポジションについて、損失が生じているポジションを手仕舞いし、当該実現損失が他方のポジションに係る利益の額を超過している部分については、所得から控除することができますが、控除されない部分の損失については翌年以降に繰延べられます。

実務上の問題点としては、規則の拡充により、受取オプション料には課税される一方で、支払オプション料は損失として認識されない等、租税回避目的でない取引についても適用されてしまうという不都合が生じています。また、金融商品の複雑化により、どのポジションがストラドルを構成する相殺ポジションに該当するかの判断が困難になっています。

 

[3]コンストラクティブ・セールに係る規則

コンストラクティブ・セールとは、一般に、保有する含み益のある資産と同一の資産を売建てること等により、含み益のある資産に係る価格変動リスク等を実質的に排除する効果のある取引をいいます。

2つのポジションがそれぞれの価格変動リスクを相殺しているため、実質的に利益を確定させているにもかかわらず、当該利益に対して税負担が生じないという問題がありました。

規制により、納税者は、コンストラクティブ・セールを行った日において、含み益のあるポジションを市場価格で売却、処分又は手仕舞いしたものとみなして利益を認識し、そのポジションをすぐに買戻したものとみなされます。買戻したとみなされるポジションの取得価額は、その時の市場価格とされ、認識した利益は当初の取得価額に加算されます。

一般的に、コンストラクティブ・セールに係る規則の適用対象の多くは、ストラドルに係る規則の対象になると考えられます。

実務上の問題点としては、規則の適用除外となるためには、契約が締結された課税年度終了日から30日以内にポジションが手仕舞いされること、また、手仕舞い後60日間は含み益のあるポジションが価格変動リスクにさらされるといった要件を満たす必要がある点が挙げられます。これにより、課税関係の確定から申告期限までの期間が不十分であるといわれています。規則導入以前は、投資家は含み益を有する資産と同様の資産を売建てることにより、未実現利益に対する税金負担がない分、再投資による投資の拡大が可能でしたが、規則導入により投資の拡大が限定されているといえます。

3.さいごに

今後、本報告に基づき議論がなされることとなりますが、適正な投資機会を限定することなく、不当な租税回避防止のための税制改正に繋がっていくことが期待されます。

 
執筆者:公認会計士 町出 知則
 

連載記事

 
 

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シリーズIFRS(国際財務報告基準)第42回 IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」

1.はじめに

今回は、IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」(以下、IFRIC第4号という。)について紹介します。

2.背景

企業は、一括または一連の支払いと引き換えに、法的にはリースの形態をとらないものの、資産の使用権を移転する契約を締結することがあり、例えば、外部委託契約(企業のデータ処理機能の外部委託等)や、通信業界の契約で、ネットワーク容量の供給者が購入者に対し、容量に対する権利を提供する契約を締結するものといったものがあります。IFRIC第4号では、このような契約が、IAS第17号「リース」に従って会計処理しなければならないリースであるかを判断するための指針を提供しています。

3.契約がリースであるかの判断

契約がリースであるかの判断は、契約の実質を基にしなければならず、以下の検討が必要となります。

 

【1】契約の履行が、特定の資産や資産群の使用に依存しているかどうか

契約の履行が、特定の資産や資産群の使用に依存しているかどうかは、必ずしも契約において明示的に特定されている必要はありません。例としては、供給者が適切な資産を1つしか有していない場合などが挙げられます。反対に、特定の資産が契約において明示的に識別されているが、契約の履行が当該特定資産の使用に依存しない場合、このような資産はリースの対象ではないとされています。例えば、供給者が特定の数量の財又はサービスを引き渡す義務を負っており、契約に特定されていない他の資産を使用して、これらの財又はサービスを提供する権利と能力を有している場合が挙げられます。

 

【2】契約により、当該資産を使用する権利を与えられるかどうか

契約が購入者に原資産の使用を支配する権利を移転する場合、その契約は当該資産の使用権を移転することになります。

IFRIC第4号では次の3つの条件のいずれかが満たされる場合、原資産の使用を支配する権利が移転されることになるとされています。

(a)購入者は、当該資産を、当該資産からのアウトプット又は他の用益のうち無視できない量を取得または支配しつつ、指定した方法で、操業するか又は他社に操業させる能力又は権利を有している。

(b)購入者は、当該資産からのアウトプット又は他の用益のうち、無視できない量を取得又は支配しつつ、原資産への物理的なアクセスを支配する能力又は権利を有している。

(c)事実と状況から、契約期間中に当該資産によって製造又は生成されるアウトプット又は他の用益のうち無視できない量を、当該購入者以外の当事者が取得する可能性はほとんどないことが示唆され、当該アウトプットに対して購入者が支払う価格は契約上のアウトプット単位当たりで固定されておらず、またアウトプットの引渡時点におけるアウトプット単位当たりの現在市場価格とも等しくない。

4.契約がリースであるかの判定又は再判定

契約がリースを含んでいるかの判定は、すべての事実と状況を基に、契約の開始時点で行わなければなりません。契約の開始以降、契約にリースが含まれているかを再判定するのは、次のいずれかの条件に該当する場合のみとされています。

【1】契約を更新又は延長するだけの変更を除き、契約条件に変更がある。

【2】更新オプションが行使される場合又は延長が契約当事者間で合意される。

【3】履行が特定の資産に依存しているかの判断に変更がある。

【4】有形固定資産に対する重大な物理的変更があるなど、資産に重大な変更がある。

5.リースに対する支払いと他の支払いとの区別

契約にリースが含まれる場合、そのリースはIAS第17号「リース」に従って、ファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類しなければなりません。契約により要求される支払及び他の対価は、契約の開始時点又は契約の再契約時点で、リースに対するものと、それ以外の要素に対するものとに区別し、それぞれの公正価値をもとに会計処理を行います。

購入者が信頼性をもって支払いを区別することが実務上不可能と判断した場合は、

 【1】ファイナンス・リースの場合は、リース対象と識別された原資産の公正価値に等しい金額で資産と負債を認識しなければなりません。その後、負債は支払いに応じて減額し、負債に関する帰属金融費用を、購入者の追加借入利子率を用いて認識しなければなりません。

【2】オペレーティング・リースの場合は、契約のすべての支払いをリース料の支払いとして処理しますが、支払いを、非リース要素に対する支払いを含まない他の契約の最低リース料総額とは別個に開示し、開示されている支払いには、契約の非リース要素に対する支払いが含まれていることを説明しなければなりません。

 

参考文献
IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報9 「平成26年度 中小企業支援制度」

1.はじめに

厚生労働省及び中小企業庁は、中小企業及びこれから事業を起こそうと思っている方々を支援するために様々な制度を整備しています。今回は、平成26年度の主な中小企業支援制度を一覧表にまとめました。次回からは、一覧表の中の制度をいくつかピックアップして解説していきます。

2.事業主の方のための雇用関係助成金

厚生労働省は、事業主の方のために雇用関係の助成金を各種設けています。

目的別 助成金制度の名称
従業員の雇用維持
  • 雇用調整助成金
離職者の円滑な労働移動金
  • 労働移動支援助成金(再就職支援奨励金・受入れ人材育成支援奨励金)
従業員を新たに雇い入れる
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金・高年齢者雇用開発特別奨励金)
  • 高年齢者雇用安定助成金(高年齢者労働移動支援コース)
  • 障害者トライアル雇用奨励金
  • 障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金)
  • 中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金
  • 精神障害者等雇用安定奨励金(重度知的・精神障害者職場支援奨励金・精神障害者雇用安定奨励金)
  • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金
  • 地域雇用開発助成金(地域雇用開発奨励金・沖縄若年者雇用促進奨励金)
  • トライアル雇用奨励金
従業員の処遇や職場環境の改善
  • 中小企業労働環境向上助成金(団体助成コース・個別中小企業助成コース)
  • キャリアアップ助成金
  • 高年齢者雇用安定助成金(高年齢者活用促進コース)
  • 建設労働者確保育成助成金
  • 通年雇用奨励金
障害者が働き続けられるように支援する
  • 障害者作業施設設置等助成金
  • 障害者福祉施設設置等助成金
  • 障害者介助等助成金
  • 職場適応援助者助成金
  • 重度障害者等通勤対策助成金
  • 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
仕事と家庭の両立に取り組む
  • 両立支援等助成金(事業所内保育施設設置・運営等支援助成金・子育て期短期間勤務支援助成金・中小企業両立支援助成金(代替要員確保コース・休職中能力アップコース)・ポジティブ・アクション能力アップ助成金)
従業員等の職業能力の向上
  • キャリア形成促進助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 建設労働者確保育成助成金
  • 障害者能力開発助成金
労働時間・賃金・健康確保・勤労者福祉関係
  • 労働時間等設定改善推進助成金
  • 職場意識改善助成金
  • 中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業種別中小企業団体助成金・業務改善助成金)
  • 受動喫煙防止対策助成金
  • 退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成

3.中小企業施策

中小企業庁は、経営サポート、金融サポート、財務サポート及び商業・地域サポートといった様々な角度からの支援施策を整備しています。

目的別 融資制度、補助金及び出資等の名称
震災対策
  • 東日本大震災復興特別貸付
  • セーフティネット貸付制度
  • 被災者雇用開発助成金
  • 施設・設備の復旧・整備に対する補助制度
経営改善・資金繰り支援など
  • 小規模事業者経営改善資金融資制度
  • ものづくり中小企業・小規模事業者等連携事業創造促進事業
  • 地域商業自立促進事業
  • 創業促進補助金
創業したい
  • 中小企業経営力強化資金融資制度
  • 新創業融資制度
  • 創業促進補助金
  • 中小企業成長支援ファンド
経営の効率化や経営革新を図りたい
  • 経営革新支援事業
  • ものづくり中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業
新しい分野に進出したい
  • 中小企業経営力強化資金融資制度
  • 地域力活用市場獲得等支援事業
  • JAPANブランド育成支援事業
  • 中小企業応援ファンド
販路を開拓したい
  • 新たな事業活動を支援する融資制度等
  • 地域力活用市場獲得等支援事業
他の事業者との連携や地域資源を活用し、新たな取組みをしたい
  • 新たな事業活動を支援する融資制度等
  • 地域資源活用の促進
  • 新連携(異分野連携)の支援
技術開発に取り組みたい
  • 中小ものづくり高度化法に基づく、ものづくり中小企業の支援
  • 中小企業技術革新制度に基づく支援
知的資源や産業財産権などの特許権を活用したい
  • 中小企業海外侵害対策支援事業
  • 中小企業外国出願支援事業
新たな設備を導入したい
  • 政府系金融機関の情報化投資融資制度
  • 防災施設整備融資制度
企業を再生したい
  • 企業再生貸付制度
  • 事業再生支援制度
  • 中小企業再生ファンド
下請取引の相談やあっせん、官公庁から受注したい
  • 下請中小企業・小規模事業者の自立化等支援
事業承継を円滑に行いたい
  • 事業承継円滑化支援事業
  • 経営承継円滑化支援事業
個人保証・担保に依存しない資金供給を受けたい
  • 売掛債権早期現金化支援
  • 「証券化支援スキーム」を活用した融資制度
金融環境・経営環境の変化に対応した支援を利用したい
  • 防災施設整備融資制度
  • 災害復旧貸付制度
商店街や中心市街地の活性化、物流の効率化を図りたい
  • 地域商店街活性化法に基づく支援
  • 低利融資制度(企業活力強化資金)
海外に事業を展開したい
  • 新事業育成資金(グローバル展開志向創業支援活動)
  • 中小企業外国出願支援事業
  • 地域人づくり事業
社員教育・人材育成や新たな従業員を雇用したい
  • 地域活性化雇用促進資金(給与支払総額増加関連)
  • ものづくり小規模事業者等人材育成事業
  • 労働時間等設定改善推進助成金
  • 雇用調整助成金
 

参考文献

厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/ (参照2014-5-31)
平成26年度中小企業利用施策ガイドブック
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/h26/ (参照2014-5-31)

 
執筆者:中戸 大介
 


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  明誠ニュースレター vol.44
2014年6月12日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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