明誠グループニュースレター
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発表日時 表題
平成26年6月30日 企業会計基準委員会は実務対応報告第31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」について公表しました。
平成26年6月20日 監査等委員会設置会社制度の創設、社外取締役等の要件の見直しなどを含む「会社法の一部を改正する法律」等が成立しました。
平成26年6月10日 日本公認会計士協会は「倫理規則」及び「独立性に関する指針」の改正並びに「利益相反に関する指針」の制定について公表しました。
平成26年6月6日 日本公認会計士協会は「監査・保証実務委員会実務指針第89号「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づく会計監査に係る監査上の取扱い」及び監査・保証実務委員会研究報告第27号「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法における事業再構築計画及び経営資源再活用計画の認定申請書に添付する「資金計画に係る公認会計士又は監査法人の報告書」に係る研究報告」の改正について」について公表しました。

トピック解説

 
 

5月23日に成立した金融商品取引法等の一部を改正する法律についての解説

1.はじめに

平成26年5月23日の通常国会(第186回)において「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が成立し、5月30日に公布されました。当該改正は平成26年4月15日付のニュースレターで解説させていただいた「金融審議会 新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告の公表について」の内容を踏まえたものとなっています。

当該改正法は原則として、公布の日(平成26年5月30日)から1年以内で政令で定める日から施行されますが、下記[1](3)の「金商業者の事業年度規制の見直し」と[3](3)の「電子化された株券等の没収手続の整備」については、公布の日から6月以内で政令で定める日から施行となり、[4](4)の「金融商品取引所の業務の追加」については、公布の日から施行となっています。

2.法改正の具体的内容

[1]新規・成長企業へのリスクマネー供給促進のための改正

(1)投資型クラウドファンディングの利用促進(第29条の4、第29条の4の2、第35条の3、第43条の5関係)

現状、クラウドファンディングを利用した有価証券の勧誘には、金融商品取引業者としての登録が必要であるとともに、非上場株式の取引は日本証券業協会の自主規制で原則禁止されていることから、容易に参入できない制度になっています。

そこで、発行総額1億円未満、1人当たり投資額50万円以下の少額のもののみを扱う業者について、兼業規制等を課さないこととするとともに、登録に必要な最低資本金基準を第一種金融商品取引業者で現5,000万円から1,000万円へ、第二種金融商品取引業者は1,000万円から500万円へ引き下げる改正が行われました(第29条の4の2、政令)。

ただし、投資者保護のルール整備として、詐欺的な行為に悪用されることが無いよう、クラウドファンディング業者に対して「ネットを通じた適切な情報提供」や「ベンチャー企業の事業内容のチェック」を義務付けることになっています(第29条の4 登録の拒否、第35条の3 業務管理体制の整備、第43条の5)。

 

(2)新たな非上場株式の取引制度(第67条の18関係)

地域に根差した企業おける資金調達促進の観点から、非上場株式の一定の取引・換金ニーズに応えるため、以下のような改正が行われました。

  • 新たな非上場株式の取引制度について、第一種金融商品取引業者が投資勧誘を行える範囲を、「投資グループ」という当該非上場企業の役員や従業員等で構成されるグループのメンバーに限定し、一定の取引・換金ニーズに応えられる程度の流通性に留めるようになりました。
  • 新たな非上場株式の取引制度へのインサイダー取引規制の適用関係について、現状、非上場株式はインサイダー取引規制の適用対象外となっていますが、影響や取引が僅少なため、新制度でも現状通りインサイダー取引規制の適用対象外になりました(第67条の18)。
  • 新たな非上場株式の取引制度における発行者の開示義務について、新たな制度については一定の取引・換金ニーズに応えるものであるから、発行者に対して有価証券報告書に準じた書類の作成・開示義務を課されないようになりました。

 

(3)金商業者の事業年度規制の見直し(第46条関係)

従前は、証券会社等の第一種金融商品取引業者について「統一的な監督」を行う必要から、事業年度(3月期決算)を法定していましたが(第46条 事業年度)、例えば外国証券会社が日本で現地法人を設立した場合、本国と日本それぞれにおいて別時期に決算書類・当局提出書類等を作成する必要があり、過重な事務負担が存在するとの指摘がありました。また四半期決算の導入等により、統一的な法定の事業年度を設ける監督上の必要性は減少しているとの指摘もありました。

そこで、第一種金融商品取引業者の事業年度を3月決算にする規制が廃止されました。

 

[2]新規上場の促進や資金調達の円滑化等のための改正

(1)新規上場に伴う負担の軽減(第193条の2第2項関係)

新興企業等が新規上場を躊躇させる要因の一つとして、上場後有価証券報告書と同時に提出する「内部統制報告書」に係る負担が重いとの実務上の指摘がある一方で、新規上場企業は、上場前に金融商品取引所から厳格な上場審査を受けており、その中で「内部管理体制の有効性」等も審査されることから、上場後しばらくは内部統制に重要な問題はないと考えられます。

そこで、社会・経済的影響力の大きな新規上場企業(資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上)を除き、「内部統制報告書」については、上場後3年間は監査免除を選択可能とされました(第193条の2第2項)。

 

(2)大量保有報告制度における自己株式の取扱いの見直し(第27条の23第4項関係)

上場企業の株式の大量保有者は、「株券等保有割合」が5%超となった日から5営業日以内に「大量保有報告書」を提出しなければならないこととされていますが、自己株式については議決権が認められず、「大量保有報告書」を提出させる必要性に乏しいとの指摘がありました。

そこで、大量保有報告制度の適用対象から自己株式が除外されました(第27条の23第4項 大量保有報告書の提出)。

 

(3)流通市場における虚偽開示書類を提出した会社の損害賠償責任(第21条の2関係)

企業が虚偽の開示書類を提出した場合の責任として、発行市場、流通市場ともに無過失責任とされていましたが(第21条の2 虚偽記載等のある書類の提出者の賠償責任)、そもそも損害賠償責任は、過失責任が原則であること、また流通市場では、提出会社に利得がないため、返還の原資は結局他の株主等が負担することになっていること、また課徴金制度の進展や内部統制報告書制度の導入といった違法行為抑止のための他の制度が充実しています。

そこで、流通市場における提出会社の無過失責任を、提出会社側に無過失の挙証責任を負わせる過失責任に見直すこととされました。

またこれに加え、損害賠償の請求権者の拡大として、虚偽記載等による損害賠償を請求できる者として、取得者に加えて処分者が追加されることになりました。

 

[3]市場の信頼性確保のための改正

(1)ファンド販売業者に対する規制の見直し(第40条の3の2、第29条の4関係)

市場の信頼性を確保する観点から、以下のような改正が行われました。

  • ファンド販売業者は、ファンド規約において分別管理が確保されていないファンドへの投資の勧誘を行うことが禁止されていますが、ファンド販売業者が、ファンドに出資された金銭が目的外に流用されていることを知りながら、その募集の取扱いを行うこと等が禁止事項に追加されました(第40条の3の2 金銭の流用が行われている場合の募集等の禁止)。
  • ファンド販売業者について、証券会社と同様に、国内拠点及び国内における代表者の設置が義務付けられました(第29条の4 登録の拒否)。
  • 協会へ加入していないファンド販売業者について、協会規則に準ずる内容の社内規則の整備及び当該社内規則を遵守するための体制整備を登録拒否要件に盛り込んだうえで義務付け、協会への加入促進を図ることになりました(第29条の4 登録の拒否)。


(2)金融指標に係る規制の導入(第2条第40項、第38条、第5章の7関係)

金融取引の基礎として広範に利用されている特定の金融指標の信頼性を確保するため、以下のような改正が行われました。

  • 規制の枠組みとして、特定金融指標の算出者が特定金融指標算出者として指定されることになりました。当面はTIBORの算出者が想定されます(第156条の85 特定金融指標算出者の指定)。
  • 業務規程の作成・遵守に関して、指定を受けた算出者に対し、IOSCO(証券監督者国際機構)の「金融指標に関する原則」に沿った記載事項を内容とする業務規程の作成・遵守等が義務付けられることになりました(第156条の87 業務規程)。
  • 検査・監督の枠組みとして、報告徴取・立入検査等の検査・監督の枠組みが整備されました(第156条の89 報告の徴取及び検査、第156条の90 改善命令等)。
  • 呈示者に対する規律として、特定金融指標算出者と呈示者との間で「行動規範」を締結させ、特定金融指標算出者を通じて間接的に規律付けることになりました(第156条の87)。

 

また、金融商品取引業者等である呈示者に対し、データの不正呈示が禁止されました(第38条 禁止行為)。

 

(3)電子化された株券等の没収手続の整備(第209条の2〜第209条の7関係)

従前の金商法では、犯罪行為により得た無体財産については、没収に係る手続規定がないため没収不可とされていたため、電子化された株券等は没収できませんでしたが、改正により、電子化された株券等、「無体財産」の没収に係る手続規定が整備されました(第209条の5 没収された債権等の処分等)。

 

[4]その他の改正事項

(1)訂正発行登録書の提出に係る見直し

発行登録書を提出している企業が有価証券報告書等を提出した場合には、その都度、訂正発行登録書の提出を求めていますが、有価証券報告書等は定期的に提出されるものであるため、EDINETを通じて投資者が容易に知ることが可能であるから、訂正発行登録書の提出を要しないことになりました(第23条の4 訂正発行登録書の提出)。

 

(2)大量保有報告制度の見直し

大量保有報告書の提出者の負担軽減を図ることを目的として、以下の改正が行われました。

  • 変更報告書の同時提出義務の廃止(第27条の25第3項 大量保有報告書に係る変更報告書の提出)。
  • 短期大量譲渡報告における記載事項から、僅少な株券等の譲渡先に関する事項の除外(第27条の25第2項 大量保有報告書に係る変更報告書の提出)。
  • 訂正報告書の公衆縦覧期間の末日を、訂正の基礎である大量保有報告書等の公衆縦覧期間の末日と同一にすること(第27条の28 大量保有報告書等の公衆縦覧)。
  • 大量保有報告書等の写しを発行企業に対して送付する義務を免除すること(公衆の縦覧に供されるEDINETを通じて提出されたことが条件)(第27条の30の6 金融商品取引所等に対する書類の写しの提出等に代わる通知)。


(3)金融商品取引業者等の登録拒否事由の追加

金融商品取引業者等の登録拒否事由として、「登録取消処分前に廃止等の届出をした者について、当該届出の日から 5年を経過しないこと」が追加されました(第29条の4 登録の拒否)。

 

(4)金融商品取引所の業務の追加

諸外国では取引所が付番業務を行っている実例があることを踏まえ、金融商品取引所の業務範囲の一つとして、「付番業務」が追加されました(第87条の2 業務の範囲)。

3.おわりに

今回の金商法改正は、上場企業や新興企業のみならず、我々公認会計士や監査法人にとっても業務上密接に関わってくる改正であるため、法改正の趣旨を踏まえて理解を深め、実際に直面した際に対応できるようにする必要があります。

 
執筆者:鳥山昌悟
 

 

「投資法人税制に関する調査研究」報告書の公表について

1.はじめに

金融庁においては、自助努力に基づく資産形成を支援・促進し、成長マネーの供給・拡大を図ることを通じて、わが国金融・資本市場の魅力を高める観点から、様々な税制改正要望を行っています。

今後の金融庁における税制改正要望等の参考とするため、「投資法人税制に関する調査研究」報告書を税理士法人プライスウォーターハウスクーパースに委託しました。当該報告書は「投資法人(REIT)税制について」及び「みなし配当の考え方について」の2点について調査・報告したものです。その概要は以下の通りです。

2.投資法人(REIT)税制について

(1)米国におけるREITの運用資産と課税関係

(a) REITの法形式

US-REIT は、法人、トラスト、組合(リミテッドパートナーシップ、有限責任会社(LLC)など含む)の形態で組成され、各州の会社法、トラスト法の規制を受けます。

 

(b) 資産の保有形態

US-REIT は、完全所有子会社(適格REIT 子会社)、有限責任会社(LLC)、パートナーシップを通じて資産を間接保有することが出来ます。

 

(c) REIT(ビークル)の税制(法人課税について)

US-REIT については、一定の要件を満たす場合にペイスルー課税が適用され、配当した収益の額について損金算入が認められるとともに、未配当の収益について法人段階で課税されます。大半の州では連邦の取扱いに従うものの、一部の州では支払配当の損金算入を制限する法律が制定されています。

また、一定の配当要件を満たさない場合には、4%の課徴金(Excise Tax)が課せられます。

 

(2)オーストラリアにおけるREITの運用資産と課税関係

(a) REITの法形式

A-REIT は、上場または非上場のトラストです。オーストラリアにはREIT 独自の特別法は設けられておらず、1998 年に会社法に導入されたManaged Investment Scheme(MIS)ルールが、REIT を含めた投資ビークルを包括的に規制しています。

 

(b) 資産の保有形態

A-REIT は、直接投資またはSPV を通じた間接投資により資産を保有することができます。また、A-REIT には、国外資産の所有に制限はありません。

 

(c) REIT(ビークル)の税制(法人課税について)

A-REIT については、一定の要件を満たす場合にパススルー課税が適用され、トラスト段階での課税は行われず、投資家段階での課税のみが行われます。なお、損失はパススルーの対象となりません。

 

(3)シンガポールおけるREITの運用資産と課税関係

(a) REITの法形式

S-REIT はトラストの一種であるユニットトラストとして組成されており、集団投資スキーム法およびこれに付随する不動産ファンドガイドラインの規制が適用されます。

 

(b) 資産の保有形態

資産はSPV 等を通じて間接的に所有されるのが一般的です。

S-REIT に国外資産の所有に制限はありません。国外資産を所有する場合の形態は、国外資産所有SPV を通じて保有するか、シンガポールSPC を通じて保有するかのいずれかです。

 

(c) REIT(ビークル)の税制(法人課税について)

シンガポール歳入庁(IRAS)からのタックスルーリングを取得することを条件に、S-REIT は導管(taxtransparent)の取扱いを享受することができます。持分所有者に分配された特定所得についてS-REIT 段階では課税されません。一方、特定所得のうち未分配のものや特定所得以外の所得はS-REIT 段階で最終課税されます。

 

(4)カナダおけるREITの運用資産と課税関係

(a) REITの法形式

カナダのREIT(C-REIT)は、トラストの一種であるMFT形態で組成されます。MFTはクローズドエンド型ファンドまたはオープンエンド型ファンドです。C-REIT については、一般トラスト税法規定等およびSIFT 規制が適用されます。

 

(b) 資産の保有形態

C-REIT は、一般的にはパートナーシップを通じて資産を間接保有します。

なお、クローズドエンド型のC-REIT は、国外資産の保有について一定の制約があり、オープンエンド型のC-REIT については、国外資産の保有についての制限はありません。

 

(c) REIT(ビークル)の税制(法人課税について)

C-REIT は、一定の要件を満たす場合、SIFT 規制の対象外とされ、法人課税主体とされるが、その課税所得の計算上、投資家に行った分配金を損金算入することができます。C-REIT レベルでの課税を回避するためには、すべての課税所得(課税キャピタルゲインを含む)を毎年投資家に分配しなければなりません。未分配の課税所得についてC-REIT は連邦税および地方税に服します。この場合の税率は42%から50%程度となります。

3.諸外国との対比による考察及びまとめ

諸外国の制度との対比による考察として、本報告書は以下のような結論を導いています。

「米国型と同様のペイスルー型REIT税制を採用しているものの、税法上の配当概念がペイスルー型に合っていないことが現在の日本の投資法人における税務問題を引きおこしているといえます。

米国ではREIT の配当概念について特例措置を設けて課税所得と配当概念が近くなるようにしています。米国等の諸外国の例を参考に、投資法人については配当概念に一定の調整を行うことが必要と考えられます。

 
執筆者:古田 まゆみ
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第43回 IFRIC第12号「サービス委譲契約」

1.はじめに

今回は、IFRIC第12号「サービス委譲契約」(以下、IFRIC第12号という。)について紹介します。

2.背景及び適用範囲

 多くの国において、道路やトンネル、病院、空港等の公共サービスに関するインフラの開発、資金繰り、運営及び保守について、民間からの参加を招くようなサービスの契約による取決めを導入しています。IFRIC第12号では、以下に該当する「官から民」へのサービス委譲契約に関する民間の営業者の会計処理についてのガイダンスを提供しています。

【1】営業者がインフラによってどのようなサービスを、だれに対して、どのような価格で提供しなければならないかについて、委譲者(政府等公共機関)が支配又は規制している。

【2】契約期間の終了時点において委譲者が、所有権、受益権又はその他の権利を通じて、インフラに対する重要な残余持分を有している。

3.会計処理

IFRIC第12号ではまず、サービス委譲契約は、公共サービスのためのインフラの使用を支配する権利を営業者に譲渡しないことから、IFRIC第12号の範囲に含まれるインフラは、営業者の有形固定資産として認識してはならず、契約に定められた特定の条件に従い、委譲者の代わりに公共サービスを提供するため、インフラを運営する権利を有しているとしています。

【1】収益認識

営業者は、建設又は改修サービスに関する収益及び費用については、IAS第11号「工事契約」に基づいて認識・

測定し、運営サービスに関する収益及び費用については、IAS第18号「収益」に基づいて認識・測定を行います。

【2】委譲者が営業者に与える対価

営業者が建設又は改修サービスを提供する場合、受領した又は受領する対価は、その公正価値で認識し、以下のいずれかのモデルを使用します。

 

(a)金融資産

建設サービスと引き換えに、委譲者の指図で現金その他の金融資産を受け取る無条件の契約上の権利を有する範囲で、金融資産を認識しなければなりません。例えば、特定された又は特定可能な金額を受領する場合や、公共サービスの利用者から受け取る金額と特定された又は特定可能な金額との差額を委譲者が支払うことを保証している場合が挙げられます。

(b)無形資産

公共サービスの利用者に課金する権利を得る範囲で、無形資産を認識しなければなりません。営業者が受け取る金額は利用者がサービスを利用する程度に左右されることから、現金を受け取る無条件の権利ではないためです。

 (c)金融資産及び無形資産

建設サービスについて、その対価の一部を金融資産で、一部を無形資産で支払いを受ける場合には、営業者の対価のそれぞれの構成要素を個別に会計処理しなければなりません。

4.その他の論点

【1】インフラの有用性を一定の水準にまで回復させる契約上の義務

インフラを一定の使用可能な水準に維持する、又はサービス契約の終了時点で委譲者に引き渡す前に、インフラを特定の状況に回復させる契約上の義務を負っている場合には、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従って、認識及び測定しなければならないとされています。

【2】営業者に発生した借入コスト

契約に起因する借入コストは、営業者が無形資産を受け取る契約上の権利を有している場合を除き、発生時に費用処理しなければなりません。営業者が無形資産を受け取る権利を有している場合には、建設段階で発生した借入コストをIAS第23号「借入コスト」に従って資産化しなければなりません。

 

参考文献
IFRIC第12号「サービス委譲契約」

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報10 「雇用調整助成金」

1.はじめに

今回は、中小企業お役立ち情報9「平成26年度中小企業支援制度」で挙げた雇用関係助成金の中から、雇用調整助成金について解説します。

2.雇用調整助成金とは

雇用調整助成金制度は、景気の変動、産業構造の変化、その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、その雇用する労働者を対象に休業等または出向を実施する事業者に対して、休業手当、賃金または出向労働者に係る賃金負担額相当の一部を助成することにより、労働者の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的としています。

3.主な受給要件

(1)雇用保険の適用事業主であること。

(2)売上高、生産量などの事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が前年同期に比べ10%以上減少していること。

(3)雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者の最近3か月間の月平均値が前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと。

(4)実施する休業等および出向が労使間の協定に基づくものであること。

(5)過去に雇用調整助成金または中小企業緊急雇用安定助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。

4.受給額

受給額は、休業等を実施した場合に支給対象者に対して支払われた休業手当または賃金相当額に1/2(中小企業の場合は3/2)を乗じた額です。なお、1人1日当たり7,830円が上限となっています。また、教育訓練を実施した場合には、訓練費として、1人1日当たり1,200円が加算されます。

支給日数は、休業等の場合、その初日から1年間で100日(3年間で150日)が限度となっています。

5.受給手続き

休業等を実施した場合に本助成金を受給するためには、次の(1)〜(2)の順に手続が必要です。

(1)休業等実施計画届の提出

受給しようとする事業主は、支給対象期間(1〜3か月単位)ごとに、当該支給対象期間の前日までに、当該期間に係る「雇用調整助成金休業等実施計画(変更)届」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局またはハローワークに提出します。

ただし、初めて休業等実施計画(変更)届を提出する場合は、「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」および「雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書」を添付した上で、休業等を開始する日の2週間前をめどに提出することが求められています。

(2)支給申請

受給を受けようとする事業主は、支給対象期間ごとに、当該支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内に、「雇用調整助成金(休業等)支給申請書」に必要な書類を添えて、管轄の都道府県労働局またはハローワークに提出します。

6.おわりに

詳細については、下記の雇用調整助成金ガイドブックをご参照いただくか、最寄りのハローワークまたは都道府県労働局にお問い合わせください。

 

参考文献

雇用調整助成金ガイドブック
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a05-1.html

 
執筆者:公認会計士 松浦 政文
 


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  明誠ニュースレター vol.45
2014年7月7日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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