明誠グループニュースレター
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発表日時 表題
平成26年7月31日 企業会計基準委員会 は公開草案「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)(案)」を公表しました。
平成26年7月30日 日本公認会計士協会は「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」並びに「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A【公営企業型版】」の一部改訂を公表しました。
平成26年7月29日 日本公認会計士協会は「IT委員会研究報告 「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」(公開草案)」を公表しました。
平成26年7月24日 日本公認会計士協会は非営利法人委員会研究報告第27号「社会福祉法人の経営指標〜経営状況の分析とガバナンス改善に向けて〜」を公表しました。
平成26年7月14日 公認会計士・監査審査会は「監査事務所検査結果事例集」を公表しました。
平成26年7月9日 日本公認会計士協会は「監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」の改正について」 (公開草案)を公表しました。
平成26年7月1日 日本公認会計士協会は「監査提言集」を公表しました。

トピック解説

 
 

日本に対するFATFによるマネーロンダリング対策の要請とマネーロンダリングの現状

1.最初に

FATF(The Financial Action Task Force、金融活動作業部会)は2014年6月27日に日本に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ対策の国際基準を満たしていないとして、迅速な法整備等を求める声明文を発表しました。

FATFは1989年に設立された国際機関で、マネーロンダリングやテロ資金供与への対策等の分野で国際協調を推進するため、国際的な指針の作成や提言を行っています。また、定期的にマネーロンダリング対策に重大な欠陥がある国を「ハイリスク・非協力国リスト」として公表し、金融機関に注意喚起を行っています。FATFには現在、34ヶ国・地域と2つの地域機関が加盟しています。

日本は2008年に、FATFから法整備の不足を指摘されましたが、現在まで目立った進展がなかったことから今回の声明文の発表につながりました。

2.声明文の内容

FATFの今回の声明文は、日本において特に以下のような欠陥があると指摘し、その改善を求めたものです。

(1)テロ資金の犯罪化を完全に防ぐ状態になっていないこと

(2)金融機関その他の機関で、犯罪防止のための顧客管理が徹底されていないこと

(3)テロリストの資産凍結のためのメカニズムが不完全であること

 

今回の声明文は、2008年にFATFから出された対日相互審査結果(Mutual Evaluation of Japan)において既に欠陥が指摘されていたものの、それらが十分に改善されていないためになされたものです。

2008年の対日相互審査結果によれば、日本は概ねマネーロンダリングやテロ資金供与についての法整備は整っているものの、以下のような点では国際的基準に照らして対策が遅れていると指摘されていました。

(1)テロリスト資産の凍結や押収についての法令等は整えられているものの、それらを実行するための十分な仕組みが確立されていないこと。

(2)テロリスト資産の凍結は資金に限られ、その他の資産については対応がなされていないこと。

(3)日本のFIU(Financial Intelligence Unit、金融情報機関)、すなわち資金洗浄捜査の端緒となる情報の受理・分析を行い捜査当局へ提供する組織について、さらなる体制強化が必要であること。

(4)金融機関による対策が顧客確認に偏重しているため、さらに包括的な対策が必要であること。

(5)銀行、保険、証券以外の金融機関におけるマネーロンダリング等の調査が不十分であること。

 

海外では、銀行の顧客が通常と異なる資金移動を行った際に取引を継続的に監視するなど、マネーロンダリングを予防する法的な仕組みが整っている国がありますが、日本ではまだ対策が不足しているとして今回指摘がなされたものです。

3.マネーロンダリングとは

マネーロンダリング(資金洗浄)とは、複数の金融機関を利用するなどして、違法な手段で得た収益やテロ資金等を隠匿する行為をいいます。

例えば、テロリストなど国際犯罪組織が資金を海外へ送金するような場合、コンピュータを利用した資金のやり取りは、データさえ手に入れば送金経路を追跡することができます。これだと資金のやり取りから犯罪行為等の証拠が残ってしまうことになります。そのため、犯罪行為を隠匿するには資金の移動等を隠匿する必要があり、これを様々な手法で行うことをマネーロンダリングと言います。

マネーロンダリングで一番シンプルかつ効果的な方法は、昔も今も現金のハンドキャリーと言われています。これは、人が直接資金を持って移動することで、うまくいけば証拠を残さず資金を移動させることができます。マネーロンダリングというと複雑な金融取引をイメージすることが多いですが、実際は非常にシンプルな行為も多いようです。

例えば、いわゆる「地下銀行」もマネーロンダリングの一種と言えると考えられます。地下銀行とは、例えば日本で働く外国人労働者が海外に資金を送金するために、送金手数料を抑えるために利用する私設の送金業者のことを言います。依頼人が日本の業者にお金を払うと、海外現地の代理店から家族にお金が渡される仕組みで、非常にシンプルかつ匿名性の高いシステムです。実際には依頼人のお金は移動していないところが、このシステムの肝です。

特に、世界各国に張り巡らされた施設送金網のなかで、イスラム系移民のための送金システムを「ハワラ」といいます。ハワラは9・11同地多発テロの際にアルカイダによって利用されました。ハワラを利用すれば、イスラムのネットワークを通じて世界中にコストをかけずに資金を送金でき、しかも捜査当局にとっては資金の流れを追跡する方法がほとんどありません。アメリカでは同時多発テロ以降、米国のハワラを閉鎖させるなどの対策を取りましたが、十分な対策をあげてはいないようです。

このようにマネーロンダリングとは、資金を隠ぺいして移動させようとするものと、それを予防・追跡しようとするものとの戦いの構図になっています。

4.マネーロンダリングと国際的租税回避との関係

現在は、マネーロンダリングと国際的な租税回避との境界も低くなっています。オフショア(税制などの優遇措置のある国際金融市場。狭義にはタックスヘイブンを指します。)を利用した租税回避とは、国内法人の利益を海外法人に移転することですが、国内法人の資金が犯罪収益であれば、これはそのままマネーロンダリングになります。

日本ではタックスヘイブン税制や移転価格税制などによって国際的租税回避を防止する法整備が整っていますが、それでも租税条約や非居住者の非課税の仕組みを利用するなど、租税回避スキームはますます複雑・高度化しています。特に近年は、オフショア法人の設立や法人名義の銀行・証券口座の開設が容易になっていますので、個人名を隠した匿名の取引を利用されることも多く、ますます資金の流れを追跡することが困難になっています。

5.日本の対策と今後

日本も国際的な要請に応えて、マネーロンダリングやテロ資金供与への対策を進めてきています。例えば、2008年のFATFの対日相互審査結果を踏まえて、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が改正され、2013年に施行されています。これは、従前の同法による本人特定事項確認のほかに、取引を行う目的や職業・事業内容等も追加で確認することになりました。

しかし、FATFによる基準や審査結果には、厳格な金融犯罪対策を求める米国の影響が強く反映されています。国際的なマネーロンダリング対策は米国が旗振り役となっており、これは特に9.11同時多発テロ以降、米国は各国に対策を進めるよう強く働きかけています。

しかし、日本ではもともと治安が良いことから、むしろ取引の迅速さや利便性を重視しています。そのため、国際的な水準に合わせたマネーロンダリング対策が十分に進んでいないという面も否定できません。今後は、マネーロンダリング対策と顧客サービスとのバランスをどのようにとっていくかが課題となっていくと思われます。

 
参考文献:橘玲著、「マネーロンダリング入門」、2006年、幻冬舎
 
執筆者:公認会計士・社会保険労務士 吉田 隆伸
 

 

会社法の改正

1.概要

平成26年6月20日に参院本会議で会社法の一部を改正する法律案が可決・成立しました。施行日は決まっていないものの、公布日(平成26年6月27日)から1年6か月以内の政令で定める日までに施行されることとなっています。以下主な改正点を解説していきます。

2.解説

(1) 監査等委員会設置会社の創設(会社法326条2項等)

監査・監督機能を有する機関を有する機関設計としては、これまで監査役会設置会社や委員会設置会社(今回の改正により指名委員会等設置会社に名称変更、以下指名委員会等設置会社)が存在しましたが、今回の改正により新たに監査等委員会を設置することが可能となりました。

監査等委員会設置会社と監査役会設置会社、指名委員会等設置会社との違いは以下の様になります。

  監査等委員会設置会社 監査役会設置会社 指名委員会等設置会社
監査機関 監査等委員会 監査役会 監査委員会
監査役の有無
指名委員会、報酬委員会の設置義務 設置不可
執行役の有無

 

(2) 社外取締役・社外監査役の要件の見直し(会社法2条15項、16項)

社外取締役・社外監査役の要件については、今回の会社法の改正により緩和された部分と要件が厳しくなった部分があります。

  改正前 改正後
社外取締役 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等となったことがないものを社外取締役と定義していました。 (要件緩和)
改正前は一度業務執取締役等になった者は社外取締役となりことはできませんでしたが、会社法改正により就任前10年業務執行取締役等でない場合社外取締役になることができるようになりました。
(要件厳格化)
親会社の取締役等一定の場合社外取締役となることができなくなりました。
社外監査役 過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「取締役・会計参与等」という。)となったことがないものを社外監査役と定義していました。 (要件緩和)
改正前は一度取締役・会計参与等となった者は社外監査役となりことはできませんでしたが、会社法改正により就任前10年取締役・会計参与等でない場合社外監査役になることができるようになりました。
(要件厳格化)
親会社の取締役等や当該株式会社の取締役等の配偶者等一定の場合社外監査役となることができなくなりました。

 

(3) 社外取締役を置いていない場合の理由の開示(会社法327条)

事業年度の末日において一定の会社(*1)が社外取締役を置いていない場合、その事業年度に関する定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないこととなりました。

 

*1 監査役設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であってその発行する株式について有価証券報告書の提出義務が課されるもの

 

(4) 会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定(会社法344条)

監査役設置会社(監査役会設置会社)において、株主総会に提出する会計監査人の選任・解任等に関する議案の内容の決定は以下の様に変更になりました。

改正前 改正後
取締役が決定
(監査役(監査役会)の同意が必要)
監査役(監査役会)が決定

(5) 第三者割当増資における規制強化(会社法206条2)

今回の改正により、公開会社がある引受人に募集株式の割り当てを行う場合で一定の場合(*2)には、払込期日の2週間前までに株主に対しその引受人の氏名・名称等を通知又は公告する必要があります。


*2 引受人が増資後総株主の議決権の過半数を有することとなる場合。

 

(6) 最終完全親会社等の株主による責任追及の訴え制度の創設(会社法847条の3第1項、第7項)

これまで取締役等に対する責任追及等の訴えの提起を請求することができたのは当該会社の株主のみで、親会社の株主は子会社の役員に対し行うことはできませんでした。今回の改正により親会社の株主も原則一定の場合(*3)子会社の役員に対し責任追及等の訴えの提起を請求することができるようになりました。

 

*3 6か月前から引き続き株式会社の最終完全親会社等の総株主の議決権の1%以上の議決権を有している場合又は当該最終完全親会社等の発行済株式(自己株式を除く。)の1%以上の数の株式を有している場合。

 

(7) 親会社による子会社の株式等の譲渡の制限(会社法467 条1項2号の2)

親会社が子会社株式を譲渡する場合で、かつ以下の場合は、その効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議による承認を受けなければならないこととなりました。

イ. 譲り渡す株式の帳簿価額が当該株式会社の総資産額の20%を超えるとき。

ロ. 当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。

 

(8) 特別支配株主の株式等売渡請求(会社法179条)

総株主の議決権の90%以上の議決権を有する株主(特別支配株主)は、他の株主全員(以下売渡株主等)に対して、その有する株式の全部を売り渡すことを請求することができることとなりました。(当該会社の取締役会の決議による承認が必要。)

これに対し売渡株主等は、以下の事項を実施することが出来ます。

1. 一定の場合で不利益を受けるおそれがあるときは、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求すること。

2. 価格に不満がある場合は、裁判所に対して、価格決定の申立てを行うこと。

 

(9) 株主による組織再編等の差止請求制度の拡充(会社法784条の2)

会社が吸収合併等を行い、当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合等一定の場合、消滅会社等の株主は不利益を受ける恐れがあるならば消滅株式会社に対し吸収合併等を止めることを請求することができるようになりました。

 

(10) 詐害的な会社分割における分割会社の債権者保護のための規定の新設(759条6項等)

分割会社が承継会社等に承継されない債務の債権者(以下「残存債権者」という。)を害することを知って会社分割をした場合には、残存債権者は承継会社等に対して承継した財産の価額を限度として当該債務の履行を請求することができることとなりました。

 

参考文献:会社法の一部を改正する法律案(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00151.html)

 
執筆者:石川 裕也
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第44回 IFRIC第13号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」

1.はじめに

今回は、IFRIC第13号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」(以下、IFRIC第13号という。)について紹介します。

2.カスタマー・ロイヤルティ・プログラムとは

カスタマー・ロイヤルティ・プログラムは、企業の財又はサービスを購入するインセンティブを顧客に与えるために企業が利用しています。顧客が財又はサービスを購入した場合に、企業が顧客にポイントを与え、そのポイントを無償又は割引価格の財又はサービスなどの特典に交換することができます。例としては、航空会社のマイレージやコンビニエンスストアや家電量販店のポイントプログラム等が挙げられます。

3.会計処理

企業は、販売取引で受領したか又は受領し得る対価の一部をポイントに配分し、収益の認識を繰り延べる方法を適用しなければなりません。ポイントへの配分額は、将来交換される特典の公正価値で評価します。

次に、繰り延べたポイント部分の収益の認識については、以下のようになります。

企業が特典を自ら提供する場合 第三者が特典を提供する場合
ポイントが交換されたときに、ポイントに配分された対価を収益として認識

(1)企業が自己の計算で回収を行っている場合

収益をポイントに配分された対価の総額で、当該特典に関する義務を履行した時に認識

(2)企業が第三者に代わって回収を行っている場合

純額で測定し、第三者が特典を提供する義務を負い、それに対する対価を受け取る権利を得た時に認識

また、特典を提供するためのコストが、当初取引時にポイントに配分された対価を超える場合には、その超過額に対して引当金を認識しなければなりません。

 

参考文献
IFRIC第13号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報11 「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金・受入れ人材育成支援奨励金)」

1.はじめに

今年6月号のニュースレターで中小企業等が利用できる各種支援制度等を紹介させていただきましが、今回は、平成26年3月1日付で拡充された「再就職支援奨励金」と創設された「受け入れ人材育成奨励金」の内容について説明します。

この制度は、離職側の事業主及び離職者の受け入れ側の事業主の双方を支援することで離職者の円滑な労働移動を可能とするためのものです。

2.再就職支援助成金

[1]概要

再就職支援助成金は、事業規模縮小等にともない離職を余儀なくされる労働者等に対し(1)から(4)の支援を行う事業者に対し助成するものです。

(1)離職する労働者の再就職支援を職業紹介事象者(注1)に委託した場合(再就職支援)

(2)(1)の再就職支援の一部として委託先の職業紹介事業者又は当該職業紹介事業者からの再委託によりに職業訓練を行わせた場合(訓練加算)

(3)(1)の再就職支援の一部として委託先の職業紹介事業者グループワークによる職業訓練を行わせた場合(グループワーク加算)

(4)離職する労働者に対し求職活動のための休暇を与えた場合(休暇付与支援)

 

[2]助成金の支給対象者

支給対象者は次の(1)から(4)のすべてを満たすことが必要です。

(1)「再就職援助計画」(注2)又は「求職活動支援書」(注3)の対象者であること。

(2)雇用保険の一般被保険者として申請事業主に1年以上継続雇用されていたこと。

(3)申請事業主の事業所への復帰見込みがないこと。

(4)再就職先が未定であるかこれに準ずる状況にあること。

 

[3]支給申請時期及び支給額

再就職支援奨励金の助成対象者事業者は、従来は、中小企業事業主のみだったものが大企業についても支給されることとなりました。

支給申請時期及び申請対象等、事業者区分別の支給額を次のように定めています。

支給申請時期及び申請対象等 事業者区分別支給額
大企業 中小企業
再就職支援委託分の申請→委託契約日の翌日から2か月以内に申請 再就職支援 支給対象となる労働者の支援を民間の支援事業者に委託した時に支給申請を行う分 10万円(実際に委託費を支払っていることが条件。委託費用が20万円に満たない場合の支給は委託費用×1/2)
再就職実現時→(離職から6か月(45歳以上は9か月))実現日の後の翌日から2か月以内に申請 支給対象となる労働者の再就職支援を職業紹介事業者に委託し、対象者の再就職が実現時に支給申請を行う分 委託費用※1×1/2−10万円 45歳以上は、委託費用×2/3−10万円 委託費用※1×2/3−10万円 45歳以上は、委託費用×4/5−10万円
訓練加算 再就職支援の一環として訓練を職業紹介事業者に委託した場合 6万円/月額を上乗せして加算
(上限は3か月分)
グループワーク加算 再就職支援の一環としてグループワークを職業紹介事業者に委託した場合 1万円/月額を上乗せした加算
(3回以上のグループワークを行った場合)
休暇付与支援※2 在職中から再就職活動が行えるよう休暇を付与した場合 4,000円/1日※3 7,000円/1日※3

※1訓練加算・グループワーク加算がある場合の委託費用:委託総額−訓練加算−グループワーク加算

※2休暇付与支援は、就職支援会社に再就職支援を委託しなかった場合でも支給申請できます。

※3対象者1人当たり90日分が上限。また、1年間1事業所につき500人分が上限

 

[4]支給までの流れ

再就職援助計画又は求職支援書(以下計画等という)を作成し、管轄の公共職業安定所長等に提出し認定を受ける
提出した計画等に基づき対象被保険者の就職支援を職業紹介事業者に委託
就職活動のための休暇付与
対象被保険者の離職
対象被保険者の再就職の実現
再就職支援奨励金の支給を管轄労働局長また公共職業安定所長に申請(再就職の実現日の翌日から2か月以内)
再就職支援奨励金の支給

3.受入れ人材育成支援奨励金

[1]概要

今回から創設された受入れ人材育成支援奨励金は、支給対象者を雇用し、訓練(Off-JT または Off-JT+OJT)を実施した事業者に対し支給するものです。

 

[2]支給対象者

支給対象者は、(1)から(3)のいずれかに該当し、かつ(4)から(6)を満たすものです。

(1)離職日から1年以内に、期間の定めのない労働者として雇い入れられる者(雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがなく、離職時に「再就職援助計画」又は「求職活動支援書」の対象者)

(2)移籍により、移籍元事業主での離職日から6か月以内に、期間の定めのない労働者として受け入れられる者 (移籍元事業主の事業所への復帰の見込みがなく、離職時に「再就職援助計画」又は「求職活動支援書」の対象者であるか移籍元事業主のもとで1年以上雇用保険の一般被保険者として雇用されていた者))

(3)在籍出向から6か月以内に移籍に切り換えて、期間の定めのない労働者として受け入れられる者(移籍元事業主の事業所への復帰の見込みがなく、離職時に「再就職援助計画」又は「求職活動支援書」の対象者であるか移籍元事業主のもとで1年以上雇用保険の一般被保険者として雇用されていた者))

(4)職業訓練計画に基づいた訓練を受講した者

(5)助成対象となる訓練時間の8割以上を受講した者

(6)雇用保険の被保険者である者

 

[3]OFF-JT及びOJTを実施した場合の支給額及び支給対象訓練については、次のとおりです。

区分 支給額等 支給対象訓練
OFF-JT 賃金助成 対象者1人1時間当たり800円 上限:1人当たり1,200時間/年 @訓練内容が次のすべて該当するもの
ア.職業に関する知識と技能等を高め職場への適正を高めるものである
イ.趣味・教養と区別がつくもの
ウ.通信教育・eラーニングでないこと
A一つの支給対象訓練あたりOFF-JTの訓練時間が10時間以上であること
B経費の全額を負担すること
C訓練の適切な実施とその確認について責任を負い、実施状況について証明を行うものであること
@次のア、イのいずれか又は両方によって行うもの
ア.事業内容訓練(申請事業者が主催し、事業所内の集合形式で行うもの等)
イ.事業外訓練(様々な教育機関等が主催する訓練)に該当すること
A次のア、イのいずれか又は両方に該当するもの
ア.技能習得に係る訓練等のように支給対象者の職務の遂行に必要となる技能・知識の向上を図るもの
イ.キャリア形成に役立つ事項に係る技能・知識の向上や理解の促進を図るもの
経費助成 訓練経費の実費相当額(上限30万円) 対象範囲
@事業内訓練・外部講師の謝金・手当(1時間当たり3万円が上限)・施設・設備の借上費用
A事業外訓練・受講に必要な入学金、受講料、教科書代等実費
OJT 実施助成 支給対象者1人1時間当たり700円 上限:1人当たり680時間/年 @次のアからウの要件を満たすこと
ア.訓練時間が支給対象訓練の9割以下
イ.支給対象者が従事する職務に関し専門的な知識又は技能を有する者により行われること
ウ.訓練の成果について評価が行われること
A訓練の成果を活用して支給対象者が従事する予定の職務や、OFF-JTの訓練内容と相互に密接に関連するものであること

※事業年度1事業所あたり5000万円が支給上限

.

[4]支給までの流れ

対象者の雇用・受け入れ
職業訓練計画の作成・職業能力開発推進者の選任
受給資格認定申請書を所轄の労働局に提出・認定(職業訓練計画開始日の前日から1カ月前までに申請)
助成対象者の職業訓練の実施(訓練期間は、1年以内)
受入れ人材育成支援奨励金の支給を管轄労働局長また公共職業安定所長に申請(職業訓練計画の終了の翌日から2か月以内)
受入れ人材育成支援奨励金の支給

4.助成金対象事業者の要件

再就職支援奨励金及び受入れ人材育成支援奨励金の助成金申請をする事業者は、@雇用保険適用事業所の事業主であること。A支給のための審査に協力すること。B[3]で記述した期限内に申請すること、のすべての条件満たす必要があります。

さらに、再就職支援奨励金申請事業者、受入れ人材育成支援奨励金申請事業者は、下表のそれぞれの奨励金の対応項目に該当しないことが必要です。

再就職支援奨励金 受入れ人材育成支援奨励金
(1)支給対象者の再就職先との資本的、経済的、組織的関係性から緊密な関係にある場合 (1)雇用する雇用被保険者を事業主都合により解雇(勧奨退職を含む)したことがある場合(受給資格認定申請申請書の提出の日の前日から6か月前の日から支給申請書の提出までの期間に限る)
(2)不正受給をしてから3年以内に支給申請をした場合、あるいは支給申請後、支給決定日までに不正受給をした場合 同左
(3)労働保険料の未納がある事業者(支給申請日の翌日から2か月以内に納付を行った場合を除く) 同左
(4)労働関係法令の違反がある事業者(支給申請日の前日から1年以内) 同左
(5)性風俗関係、接待等を伴う飲食営業等を行う事業者 同左
(6)暴力団関係者 同左
(7)支給申請日または支給決定日時点で倒産している事業者

 

(注1)職業紹介事象者:職業安定法に基づき厚生労働大臣の認可を受け、「雇用関係奨励金の取扱いに係る同意書」をその主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長あてに提出し、職業安定局長が定める標識を事務所の見やすい場所に掲示している者

(注2)再就職援助計画書:一つの事業者所の相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小を行う場合、事業主が、公共職業安定所の長の認定を受けるために作成する計画書のこと

(注3)求職活動支援書:解雇等により離職することとなっている45歳以上65歳未満の者が、再就職を希望する場合、事業主が再就職援助のために作成し、交付する書面

 

 

 

 

参考文献:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 労働移動支援助成金の各種ご案内

 
執筆者:公認会計士 市原 豊
 


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  明誠ニュースレター vol.46
2014年8月8日発行
発行責任者:武田剛 プロダクトマネジャー:村田博明
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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