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発表日時 表題
平成26年10月24日 日本公認会計士協会は学校会計委員会報告第22号「補助活動事業に関する会計処理及び表示並びに監査上の取扱いについて」の改正について公表しました。
平成26年10月14日 企業会計基準委員会は「企業結合に関する会計基準」等を早期適用した場合の四半期報告書作成上の留意点 について公表しました。
四半期連結財務諸表における暫定的な会計処理の確定の取り扱い関して留意すべきとしています。
平成26年10月8日 日本公認会計士協会は中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」を公表しました。
平成26年10月7日 日本公認会計士協会はIT委員会研究報告第35号「ITに係る内部統制の枠組み~自動化された業務処理統制等と全般統制~」の廃止について公表しました。
平成26年10月7日 日本公認会計士協会はIT委員会研究報告第46号「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」及び「公開草案に対するコメントの概要とその対応」を公表しました。

トピック解説

 
 

伊藤レポートについて

1.概要・背景

現在、金融危機の反省から、欧米諸国を中心に、投資家や企業の短期主義是正やコーポレート・ガバナンスの強化とともに、企業と投資家の対話(エンゲージメント)や企業開示・報告のあり方の見直し等が、国際的な議論となっています。日本においてもマクロ経済環境が好転しつつある中、企業が中長期的な収益構造を確固たるものにし、企業への投資を通じて資本市場においても持続的な利益を得られるような好循環を生み出すことは、今後の成長課題となっています。また、グローバルに投資を行う海外機関投資家等も、日本市場に関心と期待をもって情報収集に努めています。

このような国際的な課題を、日本の文脈で捉えて検討し、世界に向けた積極的な問いかけにより日本市場の魅力を適切に発信することが必要であることから、今般、経済産業省が取り組むプロジェクトから、企業経営者や長期投資家、市場関係者等の参加による議論を経て、平成26年8月6日に「「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト最終報告書(伊藤レポート)」が公表されました。

2.本報告の主なメッセージ

[1] 持続的成長への経営改革に向けて

(1)問題意識と現状

世界で最もイノベーティブな国として、日本は有力国の一つとして挙げられる一方で、20年にわたる持続的低収益性のパラドックスに陥ってきました。日本の経営者は、短期的な資本市場の変動に惑わされず長期的視野での設備投資や人材育成等を行っているとの主張もなされてきましたが、資本効率という経営規律や長期的な企業価値向上という指針がなく、比較的短期で経営者が交替する企業においては、短期主義的な経営判断が行われているとの懸念があり、このような企業においては長期的なイノベーションに向けた投資も行われにくくなります。また、競争力の源泉であるイノベーション創出のためには、長期的な資金が市場に流入する必要があります。

(2)主な提言・推奨

持続的成長とは、中長期的に企業価値を高めることであり、それは中長期的に資本コストを上回るパフォーマンスをあげることによって実現されます。投資家はこうした価値創造に期待して長期投資を行い、企業の内部留保が再投資の成長原資として役立てられることを期待しています。つまり、持続的な企業価値創造は企業と株主との協創(協調)の成果と捉えるべきであり、株主が成長の後押しをする存在であることを経営者が認識することが必要です。また、投資家側においても、株主価値を独立で捉えるのではなく、企業による顧客価値、従業員価値、取引先価値、社会コミュニティ価値等を長期的な株主価値の向上に繋げていくという認識をもって、企業の持続的な価値創造力を評価することが必要です。

ROEを現場の経営指標に落とし込むことで高いモチベーションを引き出し、中長期的にROEの向上を目指すことが必要です。資本コストを上回る利益を生む企業が価値創造企業であり、その水準は個々に異なるものの、グローバルな投資家との対話によると、8%を上回るROEを最低ラインとし、より高い水準を目指すべきとしています。

 

[2] インベストメント・チェーンの全体最適に向けて

(1) 問題意識と現状

日本企業における長年の間接金融中心の資金調達や現預金中心の金融資産形成という構造が、日本の資本市場の層が薄い理由として挙げられています。日本の資本市場は、企業の中長期的な企業価値創造を支え、長期的な金融資産の形成に寄与するものとなっているか、また、資本市場あるいは投資家の短期志向(ショートターミズム)化やそれによる企業経営の短期志向化の問題について検討されました。

(2)主な提言・推奨

インベストメント・チェーン(資金の拠出者から、資金を最終的に事業活動に使う企業までの経路)の弱さや短期化等の問題を克服し、全体最適に向けて変革することは、日本の国富を豊かにすることに繋がります。

持続的成長企業への投資を中長期的な家計資産形成に繋げるための環境づくりが重要です。日本企業を支える資本市場のプレイヤーについて、機関投資家(年金、保険、投資信託等)と個人投資家それぞれのインセンティブ構造や課題をもとに、中長期的な投資に向けたインセンティブへの転換を図ることが必要です。

また、日本の個人資産に占める預貯金割合は5割を超え、その額は800兆円にのぼります。この潜在的な投資家層が、長期的かつ本格的な株主として株式市場に移動するために、制度上の改善や金融リテラシー向上への取り組みが重要です。

 

[3] 企業と投資家の対話を通じた企業価値向上に向けて

(1) 問題意識と現状

企業のイノベーション創出能力が収益性や資本効率の向上につながり、それを評価する投資家が長期資金を供給することで更なるイノベーション投資が行われるという好循環を実現することが、長期的な企業価値向上、持続的成長への鍵となっています。

日本企業は、顧客市場においては世界一厳しい消費者に鍛えられたと言われますが、企業価値は、資本市場との対話を深め、市場における競争力を同時に高めていくことで生まれます。企業の持続的成長に寄与するような質の高い対話を実践するには何が必要か、また、企業と投資家の中長期的な視点からのコミュニケーションを促進するための開示等の枠組みの問題について検討されました。

(2) 主な提言・推奨

企業と投資家の信頼関係を構築する上で、短期的な業績のみに偏ることなく、非財務情報も含めた企業の現状や将来の企業価値創造プロセスを伝える開示と建設的で質の高い対話・エンゲージメントが重要です。企業と投資家側が双方の考え方を示し、企業価値概念に対する認識ギャップを解消していくことには大きな意義があります。

「日本版スチュワードシップ・コード」を契機に、機関投資家の意識改革が求められている一方で、企業にとっても、投資家との対話の意義を理解し、有意義なものとするために、自社の組織体制や運営方法を見直す契機となることが想定されます。このため、各国における「コーポレート・ガバナンス・コード」等の対話を促進する取り組みについて、その目的や内容、策定・実施プロセス、果たしている役割等を検証し、日本の制度や実態を踏まえた導入の検討が必要です。

産業界と投資家、市場関係者、関係機関等から成る「経営者・投資家フォーラム(Management-Investor Forum :MIF)」を創設すべきであり、そこでは、中長期的な情報開示や統合報告のあり方、建設的な対話促進の方策等を継続的に協議し、実現に向けた制度上、実務上の方策が検討されることが期待されます。

 
執筆者:公認会計士 町出 知則
 

 

「修正国際基準(案)」の公表について

1.はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2014年7月31日「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」(以下、「修正国際基準」)に関する公開草案を公表しました。

この公開草案は、2013年6月に、企業会計審議会より「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」が公表されたことを受け、企業会計基準委員会において「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」を設置し、検討及び審議が行われてきたものです。

エンドースメント手続は、国際会計基準審議会(IASB)により公表された会計基準及び解釈指針について、我が国で受け入れ可能か否かを判断したうえで、必要に応じて、一部の会計基準等について「削除又は修正」して採択する仕組みとされています。このエンドースメント手続は指定国際会計基準の指定とは別の制度として行われ、エンドースメント手続を経て「削除又は修正」を加えた会計基準等は修正国際基準として公表されます。

 

本公開草案は以下の通りの構成となっています。

  • コメントの募集及び概要
  • 「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」の公開草案の公表にあたって
  • 修正国際基準の適用(案)
  • 企業会計基準委員会による修正会計基準公開草案第1号「のれんの会計処理(案)」
  • 企業会計基準委員会による修正会計基準公開草案第2号「その他の包括利益の会計処理(案)」

以下、修正会計基準公開草案第1号及び第2号の内容を紹介します。

2.修正会計基準公開草案第1号「のれんの会計処理(案)」

[1] 企業結合で取得したのれん

IFRS 第3 号「企業結合」では、企業結合で取得したのれんの償却を禁止すると同時に毎年の減損テストを要求することとされていました。今回、修正会計基準公開草案第1号では企業結合で取得したのれんの非償却に関する規定について、下記の理由により、企業結合後の利益計算に与える重要性に鑑み、のれんの償却を要求するように「削除又は修正」することを提案しています。

①のれんは企業結合において資産及び負債を取得するために支払う投資原価の一部である。企業結合後における企業の利益は、投資原価を超えて回収された超過額であると考えられるため、当該投資原価と企業結合後の収益との間で適切な期間対応を図る観点から、投資原価の一部であるのれんについて償却を行うことが必要である。

②のれんの構成要素の一部が超過収益力を示すとすると、競争の進展によって通常はその価値が減少するものであり、のれんの償却を行わないとその減価を無視することになる。

 

[2] 関連会社又は共同支配企業に対する投資に係るのれん

関連会社又は共同支配企業に対する投資に係るのれんについても同様に償却するようにIAS 第28 号を「削除又は修正」することを提案しています。

 

[3] のれんの償却に関する開示

企業結合で取得したのれんの償却を要求するように会計処理を「削除又は修正」する一方、償却方法及び耐用年数並びにのれんの償却費が含まれている包括利益計算書の表示科目の開示を要求することとし、また、報告期間の期首と期末におけるのれんの帳簿価額の調整表に関する開示規定について見直しを行っています。

 

[4] 関連する論点

企業結合で取得したのれんの償却を要求することに関連して、次の項目についても検討を行ったうえで、「削除又は修正」を行わないことを提案しています。

(1) 毎年におけるのれんの減損テスト

(2) 企業結合で取得した無形資産の識別

(3) 耐用年数を確定できない無形資産の非償却

3.修正会計基準公開草案第2号「その他の包括利益の会計処理(案)」

現行のIFRS においては、その他の包括利益に認識する項目に関してリサイクリング処理とノンリサイクリング処理が混在しています。次のその他の包括利益に認識する項目については、ノンリサイクリング処理が要求されています。

(1)IFRS第9号におけるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動

(2)IFRS第9号における純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動

(3) IAS 第19 号における確定給付負債又は資産(純額)の再測定

(4) IAS 第16 号「有形固定資産」及びIAS 第38 号「無形資産」における再評価モデルに係る再評価剰余金

 

本公開草案では、純損益は包括的な指標であるべきであり、その他の包括利益に含まれた項目はすべて、その後、純損益へのリサイクリング処理が必要であるとの考え方に立っています。そのため、原則として、上記(4)を除くすべてのノンリサイクリング処理をリサイクリング処理に変更するように「削除又は修正」を行うことを提案しています。

具体的には、以下の通りです。

[1] その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することを選択した資本性金融商品への投資について、当該投資の認識の中止を行う際には、過去にその他の包括利益に認識した利得又は損失の累計額を、その他の包括利益累計額から純損益に組替調整額として振り替えることとしています。また、当該投資が減損しているという客観的な証拠がある場合には、過去にその他の包括利益に認識した損失の累計額は、その他の包括利益累計額から純損益に組替調整額として振り替えることとしています。

 

[2] 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動

純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定し、発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動をその他の包括利益に表示することが要求されている金融負債の認識の中止を行う際には、過去にその他の包括利益に認識した利得又は損失の累計額を、その他の包括利益累計額から純損益に組替調整額として振り替えることとしています。

 

[3] 確定給付負債又は資産(純額)の再測定

その他の包括利益に認識し資本の独立の区分に累積していた確定給付負債又は資産(純額)の再測定は、原則として各期の発生額について、平均残存勤務期間(予想される退職時から現在までの平均的な期間)で按分した額を、毎期その他の包括利益累計額から純損益に組替調整額として振り替えることとしています。また、開示については、その他の包括利益に認識し資本の独立の区分に累積していた確定給付負債又は資産(純額)の再測定の累計額を、その他の包括利益累計額から純損益に組替調整額として振り替える年数を開示することとしています。

 

[4] 有形固定資産及び無形資産の再評価モデルに係る再評価剰余金

有形固定資産及び無形資産の再評価モデルに係る再評価剰余金については、実体資本維持の概念に基づくものかどうか議論されているものであり、この項目以外のその他の包括利益に認識する項目のノンリサイクリング処理とは異なる側面が見受けられるため、「削除又は修正」を行わないこととしています。

4.おわりに

制度の適用対象となる企業、制度の適用時期、または修正国際基準、日本基準及び指定国際会計基準の間の差異に関する記載の要否については、修正国際基準が金融庁により制度化される段階で定められる見込みとなります。

 
執筆者:公認会計士 古田 まゆみ
 

 

IT委員会研究報告第46号の公表について

1.はじめに

日本公認会計士協会は、すでに公表されているIT委員会研究報告第35号「ITに係る内部統制の枠組み ~自動化された業務処理統制等と全般統制~」(以下IT研35号)に置き換わる研究報告として、IT委員会研究報告第46号「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」(以下IT研46号)を公表しました。IT研46号は、IT委員会実務指針第6号(以下IT実6号)の公表に伴い、IT研35号の見直しの成果として公表されたものです。またIT研46号の公表により、IT研35号は廃止となりました。

IT研46号の大きな特徴といたしましては、業務処理統制に関する記述が削除されたことと、全般統制の解説がより実務的になったことです。この理由について、日本公認会計士協会は公開草案の前書の中で、業務処理統制についてはIT実6号に充分な記載があるためであり、全般統制については実務的なわかりやすさを考慮したと説明しています。

IT研46号にはこのような背景があることから、本記事では全般統制に関するIT研35号との差異に着目しながら、IT研46号についてご紹介いたします。

2.全般統制の分類

IT研46号では、

(1) 開発・変更に係る全般統制

(2) システムの運用に係る全般統制

(3) 情報セキュリティに係る全般統制

(4) 外部委託業務に係る全般統制

の4種に分類して解説されています。この分類はIT実6号ともIT研35号とも異なり、IT委員会報告第3号(以下IT3号)7(2)のものに準じた形式となっているのが特徴的です。この点についてはIT3号でも同様の注釈がついていますが、企業が採用するITのフレームワークに合わせると上記の区分の方が分類しやすいという趣旨になっています。いずれの文書でもこの分類は例示とされていることから、リスクを軽減するための統制であるという点を踏まえた上で、実務に合わせて柔軟に対応してよいものと思われます。

3.グループ監査

IT実6号では第8項にてグループ監査という概念が強調されるようになりました。それに合わせてIT研46号でも、連結プロセス(連結のためにITがどのように利用されているか)を理解することを、新たに求めています。グループ監査については監査基準委員会報告書600にて詳細に定められています。

4.分類ごとの統制の解説

IT研46号では、IT研35号と比べて「機能しなかった事例」「用語の解説」といった内容が追加されています。個別の例示について本記事では触れませんが、実務的なわかりやすさをもとめたIT研46号の特徴といえます。

5.終わりに

筆者の個人的感想となりますが、今回のIT研46号は、新しい概念の紹介よりも、既存の実務指針の読み解き方の解説に重みが置かれているように思われます。IT委員会研究報告第42号とともに、全般統制の評価の各段階において適宜参照されると、「具体的に何をすべきか」という点についての理解が深まるものと考えております。

 
執筆者:公認情報システム監査人 月見 典史
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第47回 SIC解釈指針第32号「無形資産-ウェブサイトのコスト」

1.はじめに

今回は、 SIC解釈指針第32号「無形資産-ウェブサイトのコスト」(以下、SIC第32号という。)について紹介します。なお、SICとは解釈指針委員会(Standing Interpretations Committee)のことであり、前回まで紹介していたIFRICの前身であった委員会です。

2.範囲及び論点

SIC第32号は、社内又は社外アクセス用の企業自身のウェブサイトの開発及び運営に係る社内費用について会計処理を行う場合の以下の論点について規定されています。

【1】そのウェブサイトがIAS第38号「無形資産」(以下、IAS第38号という。)の要求事項の対象となる自己創設無形資産に該当するかどうか

【2】そのような支出の適切な会計処理

 

なお、SIC第32号では、ウェブサイトの開発過程を次のように示しています。

【1】企画段階:フィージビリティ・スタディの実行や目的と仕様書の作成など

【2】開発段階

(ア)アプリケーションとインフラストラクチャーの開発:ドメイン名の取得やハードウェアとオペレーティング・ソフトウェアの調達と開発など

(イ)グラフィック・デザインの開発:ウェブ・ページの外観のデザインなど

(ウ)コンテンツの開発:ウェブサイトに載せるためのテキストまたはグラフィック情報の作成、準備及び設定など

【3】運営段階:アプリケーション、インフラストラクチャー、グラフィック・デザインやコンテンツのメンテナンスなど

3.会計処理

SIC第32号は、企業自身のウェブサイトで、開発によって生じ、社内又は社外のアクセスのためのものは、IAS第38号の対象となる自己創設無形固定資産であるとしたうえで、以下の要件をすべて満たした場合に、無形資産として認識しなければならないとしています。

【1】資産に起因する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い

【2】資産の取得原価を、信頼性を持って測定できる

【3】開発費資産化要件

(a)使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性

(b)無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという意思

(c)無形資産を使用又は売却できる能力

(d)無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法。

(e)無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するため必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性

(d)開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力

そしてSIC第32号では、上述したウェブサイトの開発過程ごとに、以下の会計処理を規定しています。

 

【1】そ企画段階

発生した時点で費用として認識します。

【2】開発段階

開発費資産化要件を充たす場合、コンテンツが企業の自己の製品とサービスの宣伝広告及び販売促進以外の目的で開発される範囲について、資産として計上し、それ以外は発生した時点で費用として認識します。

【3】運営段階

開発費資産化要件を充たす場合は資産として計上し、それ以外は発生した時点で費用として認識します。

 

 

参考文献
SIC解釈指針第32号「無形資産-ウェブサイトのコスト」

IAS第38号「無形資産」

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報_14 「中小企業両立支援助成金」

1.はじめに

今回は、中小企業お役立ち情報9「平成26年度中小企業支援制度」で挙げた雇用関係助成金の中から、中小企業両立支援助成金について解説します。

2.中小企業両立支援助成金とは

中小企業両立支援助成金は、労働者の職業生活と家庭生活を両立させるための制度を導入し、利用を促進した中小企業事業主等に対して、助成金を支給することにより、職業生活と家庭生活の両立支援に対する中小企業事業主等の取組を促し、もってその労働者の雇用の安定に資することを目的とするものです。

本助成金は次の3つのコースに分けられます。

I. 代替要員確保コース

II. 期間雇用者継続就業支援コース

III.育休復帰支援プラン助成金

なお、従来ありました休業中能力アップコースは平成26年3月31日までに育児休業又は介護休業を開始し、平成26年9月30日までに休業を終了した労働者までが対象となり、本コースは廃止となっております。また、これに伴い育児休業取得者への休業中・復職後の能力開発への支援を更に強化するため、キャリア形成促進助成金に育休中・復職後等能力アップコースが創設されています。

また、継続就業支援コースについても、平成25年3月31日までに育児休業を終了し、原職復帰した労働者までが対象となり、本コースは廃止となっております。

3.主な受給要件と受給額

I.代替要員確保コース

本コースは、育児休業取得者の代替要員を確保するとともに、育児休業取得者を原職復帰させた事業主に対して助成金を支給するものであり、育児を行う労働者が安心して育児休業を取得しやすく、職場に復帰しやすい環境の整備を図ることを目的としています。

(1)主な受給要件

以下に当てはまる中小企業事業主に支給されます。

①育児休業取得者を、育児休業終了後に原職等に復帰させる旨の取扱いを、申請予定の労働者の復帰より前に、労働協約または就業規則に規定する。

②育児休業取得者の代替要員を確保する。

③育児休業取得者を就業規則等の規定に基づき原職または原職相当職に復帰させる。

 

(2)受給額

受給額は、育児休業取得者1人当たり15万円です。なお、1企業当たり、1年度延べ10人までとなっています。さらに、両立支援の実効性を高めるため、女性の活躍促進について事業主が数値目標を含む内容の目標を宣言し、当該数値目標を達成した場合は、1企業当たり5万円が加算支給されます。

 

(3)受給の手続き

本助成金を受給しようとする事業主は、育児休業取得者の育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に、支給申請書に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に支給申請を行います。

 

II.期間雇用者継続就業支援コース

本コースは、有期契約労働者(期間雇用者)について、通常の労働者と同等の要件で育児休業を取得させて育児休業終了後復帰させ、あわせて職業生活と家庭生活との両立を支援するための研修を実施する事業主に対して、助成金を支給するものであり、期間雇用者の継続就業を支援することを目的としています。

(1)主な受給要件

以下に当てはまる中小企業事業主に支給されます。

①期間雇用者と正社員が同等の要件で利用できる育児休業制度、育児短時間勤務制度を就業規則等に規定する。

②期間雇用者の育児休業取得者を原職または原職相当職に復帰させ、6か月以上継続して雇用する。

③育児休業制度、育児のための短時間勤務制度その他職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度の内容の理解と利用促進のための研修を実施する。

 

(2)受給額

育児休業取得者 支給額 期間雇用者を、休業終了後正社員として復職させた場合の加算
1人目 40万円 10万円加算
2人目から5人目まで 15万円 5万円加算

上記に加え、女性の活躍促進について事業主が数値目標を含む内容の目標を宣言し、当該数値目標を達成した場合は、1企業当たり5万円が加算支給されます。

 

(3)受給の手続き

本助成金を受給しようとする事業主は、育児休業取得者の育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に、支給申請書に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に支給申請を行います。

 

III.育休復帰支援プラン助成金

本助成金は、全国の商工会議所などの中小企業団体に配置された「育休プランナー」による支援のもと「育休復帰支援プラン」を策定及び導入し、対象労働者が育休を取得した場合、及び、当該育休取得者が復帰した場合にそれぞれ30万円が支給されるものです。

本制度の実施は当初平成26年10月からの予定でしたが、11月4日現在においても制度の詳細が固まっていない状態です。近日中に厚生労働省のホームページにて、詳細が発表予定とのことですのでそちらを参照ください。

4.おわりに

本助成金の詳細については、下記の助成金パンフレットをご参照いただくか、管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。

 

参考文献

平成26年度両立支援等助成金のご案内

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000059698.pdf

 

支給申請の手引き(平成26年度版)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000059701.pdf

 
執筆者:公認会計士 松浦 政文
 


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  明誠ニュースレター vol.49
2014年11月11日発行
発行責任者:武田剛
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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