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発表日時 表題
平成26年11月21日 企業会計基準委員会は実務対応報告公開草案第43号(実務対応報告第31号の改正案)
「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」を公表しました。
平成26年11月18日 企業会計基準委員会は企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」に関連する他の会計基準等の訂正について公表しました
平成26年11月12日 日本公認会計士協会は「会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」について公表しました。
平成26年11月12日 日本公認会計士協会は「金融商品会計に関するQ&A」の改正について公表しました。
平成26年11月7日 日本公認会計士協会は上場会社監査事務所登録制度一部改正要綱案(公開草案)の公表について公表しました。
平成26年11月7日 日本公認会計士協会は「会計制度委員会報告第15号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」の改正について」及び「「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A」の改正について」並びに「公開草案に対するコメントの概要及び対応」について公表しました。

トピック解説

 
 

租税調査会研究報告「組織再編等に係る会社と株主との取引をめぐる税務上の論点整理」の公表について

1.はじめに

日本公認会計士協会は「租税調査会研究報告第29 号「組織再編等に係る会社と株主との取引をめぐる税務上の論点整理」」を公表しました。本研究報告は、平成22 年度税制改正におけるグループ法人税制の創設等といった、実務上難解な論点について整理を行ったものです。本ニュースレターでは主に改正点に絞って解説させていただきます。

2.具体的内容

[1] 組織再編成等が行われた場合の所得計算上の株式投資額の取扱い

(1)合併

金銭等交付型の非適格合併について、抱合株式への投資簿価は、課税所得計算上は譲渡対価を譲渡原価とすることで譲渡損益は生じさせず、資本金等の額から減額されることとなりました。

(2)分割型分割

分割承継法人における分割法人株式への投資簿価は、課税所得計算上譲渡対価を譲渡原価とすることで譲渡損益は生じさせず、資本金等の額から減額されることになりました。

(3) 解散による残余財産の分配

投資先との間で完全支配関係がある場合、以下のような取扱いになりました。

①譲渡対価の額をその直前の帳簿価額相当額とし、譲渡損益相当額は資本金等の額の増減とする

②完全支配関係がある子法人の残余財産が確定した場合、当該子法人の株主は、一定の場合を除いてその子法人の未処理欠損金の引継ぎが認められる

 

[2] 自己株式の取得・譲渡の課税上の取扱い

自己株式の取扱いにつき、みなし配当取引についての課税の適正化の観点から、以下のような改正が行われました。

(1) 取得予定の自己株式のみなし配当の受取配当等について、益金不算入制度の対象外とする

(2) 100%グループ内の自己株式取得の場合の譲渡損益については損金・益金不算入とし、譲渡損益相当額は資本金等の増減項目とする

 

[3] 非適格合併における抱合株式の譲渡利益譲渡損失額の不計上

上記[1](1)のとおり、抱合株式に係る譲渡損益は計上せず、抱合株式の譲渡損益相当額については、合併法人の増加資本金等の額の計算上、資本金等の額を増減させることとなりました。

 

[4] 平成22 年度税制改正における主な資本金等の額と利益積立金額の改正点

(1) 適格合併等において被合併法人の移転した資産、負債及び資本金等の額が引き継がれることとされ、利益積立金額はそれらの差額であるとされました。

(2) 完全支配関係がある内国法人間の寄附金について、その全額が損金不算入とされ、受贈益についてその全額が益金不算入とされるとともに、受贈側において同額の利益積立金を増加させることとなりました。

(3) 法人が有する子法人の株式又は出資について寄附修正事由が生じる場合、受贈益の額に寄附修正事由に係る持分割合を乗じた額から、寄附金の額に当該持分割合を乗じた額を減算した額を利益積立金額に加算することとなりました。

(4) 一定要件を満たす適格現物分配を組織再編の一形態として位置付け、現物資産を帳簿価額で分配したものとして利益積立金を減額するとともに、被現物分配法人において、交付を受けた資産直前の帳簿価額相当額を利益積立金額に加算することとなりました。

(5) 100%グループ内で自己株式の取得等みなし配当事由が生じた場合、譲渡損益相当額を資本金等の額の増減項目とすることとなりました。

 

[5]平成22 年度税制改正後における配当と寄附

(1) 完全親子会社間における配当について、以下のような改正がなされました(子から親への配当と仮定)。

①配当法人側
金銭以外の資産を配当する場合、適格現物分配として譲渡損益を認識せず、簿価相当額の利益積立金を減少させ、源泉徴収も行わない

②株主側
a. 金銭の交付を受ける場合、受取配当等の益金不算入における負債利子控除ができない
b. 金銭以外の資産の交付を受ける場合、適格現物分配の規定により、益金不算入となるとともに、資産の取得価額は簿価となる

(2)完全親子会社間における寄附について、以下のような改正がなされました(子から親への寄附と仮定)。

①寄附法人
a. 金銭の寄附の場合、全額が損金不算入とされた
b. 金銭以外の資産の場合、グループ法人税制適用により時価譲渡のうえ課税が繰延べされるとともに、時価相当額の寄附金が計上され、全額が損金不算入とされた

②受贈法人
金銭・金銭以外の受贈の両方の場合において受贈益を認識するが、全額益金不算入とされ、親法人において子法人株式の簿価の修正を行う(寄附修正)

 

[6]グループ法人税制における「寄附修正」と連結納税制度における「投資簿価修正」の相違

寄附修正と連結納税における投資簿価修正は、いずれも株式の帳簿価額を増減させてその後生じ得る譲渡損益の額を調整するという点では類似していますが、以下の点で大きく異なるとしています。

寄附修正は、平成22年度税制改正において完全支配関係のある親子会社間の寄附金は全額損金不算入、受贈益は全額益金不算入とされたことを利用し、意図的に子法人株式の譲渡損を作出することによる租税回避を防止する目的ですが、投資簿価修正は、連結法人の個別所得金額は既に課税済みであるから、連結法人の株式が譲渡された場合の譲渡益との二重課税を排除する目的です。

 

[7]平成22 年度税制改正と無対価組織再編

(1)平成22 年度税制改正による無対価組織再編の取扱い

平成22年度税制改正において、税制適格となる無対価組織再編の要件等が規定上明確化され、税制適格の要件として、組織再編の対価が実際に交付されたと仮定した場合と比して当事者間の資本関係・株主構成に変化が生じない場合、すなわち組織再編前に以下のような一定の資本関係にある場合に限られました。

①いずれか一方の法人による完全支配関係がある場合

②一の者が再編当事法人の発行済株式等の全部を保有する関係

③ 一方の再編当事法人と、当該法人の発行済株式等の全部を保有する者が他方の再編当事法人の発行済株式等の全部を保有する関係

(2)適格無対価組織再編を行った再編法人及び株主での処理

①被合併法人、分割法人、株式交換完全子法人の処理

いずれの場合も株式の譲渡損益は計上されないとともに、分割型分割を行った分割法人では資産・負債の分割承継法人への移転による減少に加え、資本金等の額を減少させ、分社型分割を行った分割法人では分割承継法人へ移転した資産・負債の簿価純資産価額が、分割承継法人の株式等に置き換えられます。

②合併法人、分割承継法人、株式交換完全親法人の処理

適格合併の合併法人の増加する資本金等の額は、無対価の合併では増加資本金額等がないため、被合併法人の最終事業年度の資本金等の額となり、合併法人が抱合株式を有する場合には被併法人の最終事業年度の資本金等の額より、合併直前の抱合株式の簿価を減算した金額とされます。増加する利益積立金額は、移転純資産価額より増加資本金等の額と合併法人が抱合株式を有する場合は合併直前の抱合株式の簿価を減算した金額とされます。

適格分割型分割については対価を交付した適格分割型分割の場合と異なるところはないですが、分割承継法人が分割法人の株式を有する場合には、減少資本金等の額から、分割法人株式の簿価に分割純資産対応帳簿価額を乗じた金額を減算した金額が無対価分割承継法人の増加資本金等の額とされ、増加する利益積立金額は、移転純資産価額より増加資本金等の額と分割法人株式の簿価に分割純資産対応帳簿価額を乗じた金額を減算した金額とされます。

適格分社型分割の分割承継法人の増加する資本金等の額は、移転簿価純資産価額から増加資本金額等を減算した金額とされ、無対価の適格分社型分割では増加資本金額等がないため、移転純資産価額が増加する資本金等の額とされます。

③ 無対価組織再編を行った再編法人の株主の処理

無対価合併が行われた場合の株主の取扱いについては、合併法人が被合併法人の株主である場合において、合併法人が有する抱合株式についてはみなし割当ての規定が削除され、譲渡損益が計上されないこととされました。

(3)100%グループ内での非適格無対価組織再編

平成22年度の税制改正でグループ法人税制導入により、100%グループ内での譲渡損益繰延並びに非適格株式交換等における時価評価課税の非適用等が新たに規定されたことを受け、無対価組織再編が非適格とされた場合にも同様の取り扱いとされました。ただし、のれんについては譲渡損益調整資産や時価評価資産に含まれないため、含み益課税が生じると考えられます。また、非適格無対価組織再編における資産負債の移転については、無償譲渡等の取扱いになると考えられ、被合併法人等の株主においては、グループ法人税制により、株式の譲渡損益の課税がないものとして取り扱われます。

 
執筆者:公認会計士 鳥山昌悟
 

 

監査人が適切な判断を行うための5つの手順

1.最初に

米国のCAQ(The Center for Audit Quality、監査品質センター)は2014年8月に「専門的判断のための手順(Professional Judgment Resource)」という提言集(以下、「本提言集」といいます。)を公表しました。CAQは、ワシントンDCに本拠地を置き、監査に関連する政策などを提言する団体で、米国公認会計士協会(AICPA)の関連団体です。本提言集は、監査人が適切な判断を行うことが難しくなっている理由を挙げるとともに、監査人が適切な判断を行うための手順などを提言しています。

2.監査人を取り巻く環境

本提言集では、監査人が適切な判断を行うことが難しくなっている理由として、以下のような事情を挙げています。

(1) 会計基準や監査基準において原則主義が重視されてきており、類似する状況下では一貫した判断を行うことが求められるようになっていること。

(2) 国際化が進み、企業取引や経済的な意思決定における複雑さが増していること。

(3) 会計基準の複雑化に伴い、多面的なアプローチを行う必要があること。

(4) 財務報告において重要な会計方針や見積り、その他主観的な判断への注目が高まり、開示も要求されていること。

(5) 監査人の業務について、監督官庁等からの調査やレビューが要求されること。

以上のような状況に対して、監査人が職業的懐疑心を発揮して適切に監査上の判断を行うことの一助とするために、CAQは本提言集を公表したとしています。

3.意思決定における5つの手順

本提言集では、監査人による専門家としての判断は、以下のような要件を備えるべきとしています。

  • 判断がなされる際に知り得る事実や状況に基づいていること
  • 合理的な選択肢を考慮したあとになされていること
  • 当該判断に固有な不確実性の程度を考慮していること
  • 関連する規定や基準に準拠していること

そして、このような適切で効果的な意思決定を行うために、以下の5つの手順を経るべきとしています。

 

手順1: 問題を特定し、理解すること

手順2: 事実と情報を収集し、関連する資料等を把握すること

手順3: 分析をし、選択肢を把握すること

手順4: 意思決定すること

手順5: 意思決定のプロセスをレビューし文書化すること

 

●手順1:問題を特定し、理解すること

監査人は、意思決定プロセスの最初の手順として、時間をかけて慎重に問題を把握することから始めるべきとしています。この手順が不十分だと、不適切な判断や不完全な結論をしてしまうことになります。問題を把握するためには状況を慎重に分析することが必要で、多くの場合は理解を深めるために他人と相談や話合いをすることも必要になります。

 

●手順2:事実と情報を収集し、関連する資料等を把握すること

問題を把握したら、次に関連する事実や情報を収集します。必要な事実や情報を収集するためには、他人や専門家等との議論が必要な場合もあります。事実や情報の例としては、取引の経済的実態、法的形式、他の関連する情報などが含まれます。なお、意思決定のプロセスにおいては、監査人は継続して事実と情報を集める必要があり、新たな情報を入手した場合にはそれが分析結果等に与える影響を考慮する必要があります。

 

●手順3:分析をし、選択肢を把握すること

この段階では、収集した事実や情報、関連する規定類、会社による判断等を分析することになります。その結果、監査人は複数の選択肢を導き出し、それぞれの選択肢の結果を評価することができるようになります。

有用な選択肢を特定できるかどうかは、問題をいかに適切に把握できるかにかかっています。多くの場合、選択肢を特定するためは、関連規定や監査法人の方針・ガイドライン等を考慮することが必要です。

なお、監査人に偏り・見落し・先入観があると、選択肢の幅を狭めることになるため注意することが必要です。例えば、監査人に過信があると、困難な選択肢や不快な選択肢を排除してしまうことにつながります。また、過去事例を過度に信頼したり、問題を早急に判断してしまうと、有用な選択肢を考慮できず不十分な判断につながることがあります。

 

●手順4:意思決定すること

分析が終わったあと、監査人は結論を下すことになります。監査人は、問題に対して一つの結論しかないと判断する場合もあるし、複数の対応が可能であると判断する場合もあります。

意思決定をした後、監査人は今までの過程を振り返り、大局的な視点から意思決定プロセスを評価し直すべきです。特に、意思決定プロセスを適切に行えていないと判断した場合には、入手した証拠とプロセスを再度考慮する必要があります。

 

●手順5:意思決定のプロセスをレビューし文書化すること

最後に意思決定のプロセスを調書等として文書化します。調書は、関連する情報と合理的な選択肢を考慮し、監査人が職業的懐疑心を発揮したことを示す証拠にもなります。文書化することで監査人は、判断の偏り・見落し・先入観が最終的な結論に与えている可能性を評価し、意思決定プロセスを見直すことができます。

監査基準においても、監査人は監査調書おいて、問題の性質等や到達した結論を明確にすることを求めています。適時に文書化して問題に対する考えを明確にし、結論に至ったプロセスを自己評価することは、監査の質を高めることにもなります。

4.偏り・見落し・先入観

本提言集では、監査人に偏り・見落し・先入観などがあると適切な意思決定ができなくなってしまうとしています。偏り・見落し・先入観の例としては、追認(初期判断に後の判断が引きずられること)、過信、アンカリング(初期の見積り数値に後の数値が影響を受けること)、容易さ(簡単に入手できる資料を偏重してしまうこと)などが挙げられています。

偏り・見落し・先入観があると認識した場合には、それらの影響を排除するか、職業的懐疑心をより強く発揮しなければなりません。ただし、これらの影響を完全に排除できる場合は多くありません。そのため、偏り・見落し・先入観の特徴を理解することで、その潜在的な影響を取り除くための対処方法を認識することができる場合があります。その他にも、結論に至るまでの過程を振り返ること、一つの結論にとらわれてしまわないよう他の選択肢を考慮すること、意思決定の理由を他人に話してみることなども、偏り・見落し・先入観などにとらわれず適切な判断を行うために役立つとされています。

 
執筆者:公認会計士・社会保険労務士 吉田 隆伸
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRS(国際財務報告基準)第48回 IFRS第15号「顧客との取引から生じる収益」(前編)

1.はじめに

今回は、IFRS第15号「顧客との取引から生じる収益」(以下、IFRS第15号という。)について紹介します。IFRS第15号は、IASBとFASBによる収益認識の共同プロジェクトの成果として公表され、2017年1月1日以降開始する事業年度から適用されます。なお、早期適用も認められています。

2.適用範囲

IFRS第15号は、以下の契約を除く、顧客との契約に適用されます。

【1】リース契約

【2】保険契約

【3】金融商品

【4】同業他社との非貨幣性の交換取引

3.収益認識モデル

IFRS第15号は、企業は、約束した財又はサービスの顧客への移転を描写するように、それらの財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価を反映する金額を収益として認識することをコア原則とし、これを達成するため、以下の5つのステップを定めています。

ステップ1:顧客との契約の識別

ステップ2:契約における履行義務の識別

ステップ3:取引価格の算定

ステップ4:取引価格の履行義務への配分

ステップ5:履行義務の充足と収益認識

 

今回は、ステップ1~3について紹介します。

4.ステップ1:顧客との契約の識別

契約とは、強制可能な権利又は義務を生じさせる複数当事者間の合意をいい、次のすべての要件を満たす場合にIFRS第15号の適用対象となります。

【1】各契約当事者が契約を承認し、それぞれの義務を充足することを確約している。

【2】企業が、移転される財又はサービスに関する各契約当事者の権利を識別できる。

【3】企業が、移転される財又はサービスに関する支払条件を識別できる。

【4】契約に経済的実質がある。

【5】企業が、顧客に移転される財又はサービスと交換に権利を得ることとなる対価を回収する可能性が高い。

なお、同一の顧客と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約について、要件を満たす場合には、それらを結合し、単一の契約として会計処理します。

また、契約締結後に契約条件が変更された場合、契約変更について会計処理するためには、その変更内容が契約当事者に承認されていなければなりません。

5.ステップ2:契約における履行義務の識別

このステップでは、ステップ1で識別した契約が、いくつの履行義務から構成されているかを検討します。履行義務とは、顧客に移転するという顧客との契約における約束で、次のいずれかに該当するものを言います。

 

【1】区別できる財又はサービス

契約に含まれる財又はサービスが、以下の2つの要件を両方満たす場合には、別個の履行義務として識別することとしています。

(1) 顧客が、財又はサービスからの便益を、単独または顧客にとって容易に利用可能な他の資源と一緒に得ることができる。

(2) 財又はサービスを移転する約束が、同一契約内の他の約束と別個に識別できる。

【2】同質で顧客への移転のパターンが同一である一連の財又はサービス

顧客に継続して移転する財・又はサービスが同質であり、かつ移転のパターンが同一である場合は、その一連の財又はサービスを単一の履行義務とします。次の両方の要件を満たす場合、顧客への移転パターンが同一であるとされます。

(1) 一連の財又はサービスに含まれる個々の財又はサービスが、一定の期間にわたり充足される履行義務の要件を満たす。

(2) 一連の財又はサービスについて、顧客へ移転する履行義務の完全な充足に向けた、同じ進捗度の測定方法を用いている。

6.ステップ3:取引価格の算定

 取引価格とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額のことを言います。IFRS第15号では、取引価格の算定に際して、下記の4つについて考慮する必要があるとしています。

【1】変動対価

値引きや減額といった変動対価は、「期待値」と「最も発生可能性が高い金額」のうち、企業が対価の額を適切に予測できると見込む方法を用いて見積ります。ただし、取引価格に含めることのできる変動対価の見積りは、重大な戻入がその後に生じない可能性が非常に高い場合に限られます。

【2】契約における重大な財務要素の存在

契約における重大な財務要素が存在する場合、その取引価格を見積もる際に企業は約束した対価の金額を調整します。この目的は、財又はサービスが顧客に移転した時点で現金支払いをしていたとしたら顧客が支払ったであろう金額で収益を認識することにあります。用いられる割引率は、契約開始時点に企業と顧客との間で別個のファイナンス取引が行われると仮定した場合に用いられると考えられる利率です。

なお、実務上の簡便法として、財又はサービスを移転する時点と顧客が対価を支払う時点の差が1年以内の場合は調整する必要はないとしています。

【3】現金以外の対価

受け取る対価が現金以外の場合は、その対価を公正価値で測定します。公正価値を合理的に見積もることができない場合は、現金以外の対価と交換に移転される財又はサービスの独立販売価格を参照して、間接的に測定します。

【4】顧客に支払われる対価

企業が顧客に対価を支払う場合について、それが取引価格の減額の場合は、取引価格から控除し、他の区別できる財又はサービスに対する支払である場合は、原則として仕入れ先からの他の購入方法と同様に会計処理を行います。

 
参考文献

IFRS第15号「顧客との取引から生じる収益」
詳細解説 IFRS実務適用ガイドブック 中央経済社 あずさ監査法人

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報_15 海外展開お役立ち情報

現在日本では人口減少等で国内市場が縮小しており、中小企業・小規模事業者が販路を更に開拓し更なる発展を遂げるための海外進出も重要な選択肢の1つとなっています。しかし、海外では用いる言語も商慣習も法律も異なり、中小企業・小規模事業者にとっては非常にリスクが高いものとなっています。こうした現状を受けて、中小企業・小規模事業者の海外展開支援を行うことが非常に重要となりました。現在国や支援機関等が行っている中小企業・小規模事業者に対する海外支援策を以下にまとめました。

 

支援策 主な内容
1. 中小企業・小規模事業者海外展開支援事業
  1. 独立行政法人日本貿易振興機構(以下「ジェトロ」という。)及び中小機構が連携して海外販路開拓の支援を実施する。(海外販路や技術等を有する外国企業とのマッチングやASEAN等での展示会・商談会の開催等を通じて行う。)
  2. 中小企業海外展開現地支援プラットフォームにより行われる海外での法務・労務等の課題解決や移転・撤退等の支援を実施する。
  3. 中小機構により行われる認定支援機関などの民間支援機関に対する海外展開支援研修や、優れた支援機関へのインターンシップによる実践的な支援ノウハウの習得を図る研修を実施する。
2. 中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業

ジェトロ及び中小機構が連携して、以下のような中小企業の海外展開を支援する。

  1. 中小機構が、海外展開を目指す中小企業の裾野拡大のため、海外展開戦略策定支援や実現可能性調査支援等、海外展開に向けた準備支援や多数の海外バイヤーが訪れる国内見本市における支援の実施。
  2. ジェトロによる広範なネットワークを活用した中小企業に対する海外見本市への出展支援や海外バイヤーを招へいした商談会の開催、海外における常設展示場の設置、ビジネスマッチングの機会提供、海外市場等に関する各種情報の提供や現地における各種支援等の実施。
3. 海外情報提供事業

日本・台湾間の産業協力を促進するために以下の事項を実施する。

  1. 交流協会が行う台湾企業の情報収集・提供
  2. 日台間の企業連携のためのセミナー・商談会の支援。
4. 新興市場開拓人材育成支援事業 開発途上国の経済発展と我が国企業の海外事業展開を支援するため、経営・製造・オペレーション等に従事する開発途上国の管理者・技術者等に対し、官民連携の下、日本への受入研修、専門家派遣による指導等を支援する。
5. 貿易投資促進事業

今後の急成長が見込まれる新興国市場獲得のため、以下2事業を実施する。

  1. インフラ受注率を高めるための、我が国技術等の優位性の理解促進を目的とした研修及び専門家派遣
  2. 中小企業の海外展開やインフラビジネス獲得に向けた「国際即戦力人材」育成のための、我が国若手人材の海外インターンシップ
6. 青年海外協力隊事業の活用及び民間連携ボランティア制度
  1. 国際協力機構においては青年海外協力隊事業を活用し、特定の途上国を熟知した人材と企業が必要とする人材のマッチング促進。
  2. グローバル社会で活躍できる人材の育成。(民間連携ボランティア制度を活用して、社員を途上国に派遣することを通じて育成する。)
7. 海外展開資金 経済の構造的変化に適応するために海外展開をすることが経営上必要な中小企業の資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)による融資を実施する。
8. 海外子会社の資金調達支援等(中小企業経営力強化支援法による) 株式会社日本政策金融公庫は、中小企業者の海外子会社等が現地金融機関から長期の借入れを行う際に債務保証を実施し支援を行う。
独立行政法人日本貿易保険(以下「NEXI」という。)は、中小企業者の外国関係法人等が現地の金融機関から短期の借入れを行う際に、中小企業者からの保険引き受け相談に基づき、地銀等の保証に加えて海外事業資金貸付保険を付保することで信用補完し支援を行う。
信用保証協会は、中小企業が金融機関から海外直接投資事業に要する資金の融資を受ける際、債務保証を行うことにより支援を行う。(中小企業経営力強化支援法にかかる法改正により海外で事業を行う中小企業者等には保証限度額が増額された。)
9. 中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置 中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際に必要な取引先の信用情報の提供について、NEXIがその費用を負担する措置を実施する。
10. 中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動 中小企業による貿易保険の利用を促進するため、NEXIが主催するセミナーや個別相談会を開催するとともに、中小企業関係機関等が主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会などにNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行う。
11. 貿易保険へのアクセス改善 中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、平成23年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足。両者が提携して全国的なネットワークを形成することを通じて、地域の中小企業の貿易保険へのアクセス改善等、利便性の向上を図る。
12. 安全保障貿易管理の支援 外国為替及び外国貿易法が求める安全保障上懸念のある貨物の輸出や技術の提供についての管理の実効性向上のため説明会の開催や、中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業等と連携した専門家派遣等を通じ、大量破壊兵器等の開発等に転用可能な製品・技術を有する中小企業における安全保障貿易管理に係る自主管理体制の整備を支援する。
13. BOPビジネスの推進 BOPビジネス(低所得層を対象とする国際的な事業活動)を推進するために、事業フェーズに応じた支援(ニーズ調査、試行展開等)の提供、現地コーディネーターの拡充を通じて、企業への個別支援を強化する。また、視察ミッションや試験販売を企画し、BOPビジネスへの積極的な参入を促進する。さらに、アフリカに拠点設立を目指す企業を支援するための、実証事業を新たに実施する。
14. 中小企業製品・技術とODAのマッチング事業

下記事項について開発途上国とのマッチングをODAが行う。

  1. ニーズ調査
  2. 案件化調査
  3. 普及・実証事業
15. 中小企業海外高度人材育成確保支援事業 中小企業・小規模事業者の優秀な現地人材の確保のため、タイ、ベトナム、インドネシアの大学・高専等との連携による現地でのジョブフェア、企業文化講座を実施する。
16. 中堅・中小・小規模事業者新興国進出支援専門家派遣事業 新興国進出に取り組もうとする中堅・中小・小規模事業者に対し、新興国でのビジネス経験・ノウハウが豊富な企業OB等のシニア人材を派遣し、事業リスクの高い新興国への進出支援を行う。
17. 中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力 我が国の中小企業の製品を途上国への供与。途上国で当該製品が使われることで、認知度の向上などの効果も期待できる。
18. グローバルニッチトップ支援貸付制度 特定分野に優れ世界で存在感を示す企業(グローバルニッチトップ企業)を目指す中堅・中小企業等に対して、戦略的な海外展開を支援するために、商工中金がグローバルニッチトップ支援貸付制度を創設し、長期・一括返済・成功利払い型の融資を実施する。
 

参考文献

2014年版 中小企業白書

中小企業経営力強化支援法が本日施行されます

(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/2012/0830Kaigai-kaisei.htm)

 
執筆者:公認会計士 石川 裕也
 


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  明誠ニュースレター vol.50
2014年12月5日発行
発行責任者:武田剛
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
※このニュースレターに含まれる文章、画像の無断転載はご遠慮ください。