明誠グループニュースレター
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発表日時 表題
平成27年2月26日 日本公認会計士協会は監査基準委員会研究報告「監査品質の枠組み」の公開草案について公表しました。
平成27年2月26日 日本公認会計士協会は監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」の改正並びに当該改正に関連する品質管理基準委員会報告書及び監査基準委員会報告書の一部改正の公開草案について公表しました。
平成27年2月13日 日本公認会計士協会は監査・保証実務委員会実務指針「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(公開草案)を公表しました。
平成27年2月10日 日本公認会計士協会は「業種別委員会実務指針第14号「投資信託及び投資法人における監査上の取扱い」の改正について」(公開草案)を公表しました。
平成27年2月6日 日本公認会計士協会は会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」及び「金融商品会計に関するQ&A」の改正について(公開草案)を公表しました。
平成27年2月4日 金融庁は、会社法の一部改正等に伴う金融庁関係内閣府令の整備に関する内閣府令(案)等を公表しました。

トピック解説

 
 

平成27年度税制改正大綱の解説

1.はじめに

平成27年1月14日に平成27 年度税制改正の大綱が閣議決定されました。今回のニューズレターでは当税制改正のうち法人に関わりのある法人税・地方税・消費税にかかる改正の主だったものについて解説致します。

2.法人税

【1】法人税率の変更

平成27年4月1日以後に開始する事業年度について法人税率が従来の25.5%から23.9%に引き下げられました。一方で中小法人の軽減税率の特例(所得金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%)の適用期限は2年間延長され平成29年3月31日までとなりました。

 

【2】欠損金の取り扱いの変更

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度等における控除限度額について、以下の通り段階的に引き下げることとなりました。

事業年度開始日 控除限度額
現行 所得金額の80%
平成27年4月1日~平成29年3月31日 所得金額の65%
平成29年4月1日~ 所得金額の50%

中小法人等や、更生手続開始の決定等があった法人等については、上記に関わらずこれまで通り所得金額の100%を控除することができることとされています。ただし、更生手続開始の決定等があった法人のうち金融商品取引所への再上場等を行った法人については、その再上場された日等以後に終了する事業年度は当該特例の対象外とされています。

 

【3】受取配当金益金不算入の変更

(1)国内の株式にかかる配当

現行

区分 不算入割合 負債利子控除
完全子法人株式等(株式等保有割合100%) 配当額の100分の100 なし
関係法人株式等(株式等保有割合25%以上) あり
上記以外の株式等 配当額の100分の50 あり

 

改正案

区分 不算入割合 負債利子控除
完全子法人株式等(株式等保有割合100%) 配当額の100分の100 なし
関係法人株式等(株式等保有割合3分の1超) あり
上記以外の株式等(株式等保有割合3分の1以下5%超) 配当額の100分の50 なし
非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下) 配当額の100分の20 なし

 

(2) 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配

公社債投資信託以外の証券投資信託の種類 益金不算入額
現行 改正案
外貨建証券等又は株式以外の資産の投資割合 50%以下 収益の分配額の2分の1 益金不算入額なし
50%超75%以下 収益の分配額の4分の1
75%超 益金不算入額なし
特定株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除く) 収益の分配額の100分の100 収益の分配額の100分の20

 

(3) 外国子会社(持分割合25%以上等の要件を満たす外国法人)からの配当

外国子会社からの配当の益金不算入につき、国際的二重課税の解消のため以下の様な改正がなされました。

外国子会社の本店所在地国の法令において配当等の額を損金の額に算入できるか否か 益金不算入額
現行 改正案
損金算入不可 配当(源泉税控除前)の95% 配当(源泉税控除前)の95%
損金算入可 益金不算入額なし

 

【4】試験研究費の取り扱いの変更

(1)総額型の税額控除上限の変更

制度名 税額控除の上限額
現行 改正案
試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制 法人税額の30% 法人税額の25%
特別試験研究費の額にかかる税額控除制度 法人税額の5%

 

(2)特別試験研究費の税額控除率の変更

種類 税額控除の上限
現行 改正案
特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究 12% 30%
上記以外 20%

 

(3)特別試験研究費の範囲の変更

除外されるもの 追加されるもの
特別試験研究機関等のうち試験研究独立行政法人の範囲から国立研究開発法人以外の法人を除外する。

(1)特定中小企業者に対する委託研究の対象となる委託先の範囲に公益法人等、地方公共団体の機関、地方独立行政法人等を追加する。

(2)特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料を追加する。

 

【5】雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度の要件の変更

事業年度開始日 雇用者給与等支給増加割合
現行 改正案
大企業 中小企業者等
~平成27年3月31日 2%以上 2%以上 2%以上
平成27年4月1日~平成28年3月31日 3%以上 3%以上 3%以上
平成28年4月1日~平成29年3月31日 5%以上 4%以上 3%以上
平成29年4月1日~平成30年3月31日 5%以上 5%以上 3%以上

3.地方税の変更

【1】資本金1億円超の法人の地方税率・法定実効税率の変更

  現行 (改正案)
事業年度開始日
平成27年4月1日~ 平成28年4月1日~
事業税所得割*1 年400万円以下の所得 3.8%
(2.2%)
3.1%
(1.6%)
2.5%
(0.9%)

年400万円超800万円

以下の所得
5.5%
(3.2%)
4.6%
(2.3%)
3.7%
(1.4%)
年800万円超の所得 7.2%
(4.3%)
6.0%
(3.1%)
4.8%
(1.9%)
事業税付加価値割 0.48% 0.72% 0.96%
事業税資本割 0.2% 0.3% 0.4%
地方法人特別税 67.40% 93.50% 152.60%

*1 事業税所得割

事業税所得割の税率下段のカッコ内の率は、地方法人特別税等に関する暫定措置法適用後の税率を表しています。

 

【2】資本割の課税標準の見直し等

組織再編等により資本金等の額が「資本金+資本準備金」の額を下回る法人があります。このような法人につき事業税資本割の計算や住民税均等割の税率区分の判定を行う際に従来資本金等の額を用いてきました。今回の税制改正により「資本金+資本準備金」の額を用いることとなります。

 

【3】付加価値割における所得拡大促進税制の導入

以下の要件(1)~(3)を満たす場合、事業税付加価値割の課税標準から雇用者給与等支給増加額を控除することができるようになりました。

 

(1)雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が以下の割合以上であること

事業年度開始日 雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合
平成27年4月1日~平成28年3月31日 3%
平成28年4月1日~平成29年3月31日 4%
平成29年4月1日~平成30年3月31日 5%

(2)雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額以上であること

(3)平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を上回ること

 

【4】法人事業税の税率の改正に伴う負担変動軽減措置

以下に示す事項に該当する場合、一定額を事業税額から控除する措置が出来ました。

(1)平成27年4月1日~平成28年3月31日までの間に開始する事業年度の場合

要件 対象法人 控除額

「当事業年度の事業税額」が    

「平成27年3月31日現在の付加価値割、資本割及び所得割の税率を当該事業年度のそれぞれの課税標準に乗じて計算した額」を超える場合
付加価値額が30億円以下の法人 超える額に2分の1を乗じた額
付加価値額が30億円超40億円未満の法人 超える額に付加価値額に応じて2分の1から0の間の割合を乗じた額

 

(2)平成28円4月1日~平成29年3月31日までの間に開始する事業年度の場合

要件 対象法人 控除額

「当事業年度の事業税額」が    

「平成28年3月31日現在の付加価値割、資本割及び所得割の税率を当該事業年度のそれぞれの課税標準に乗じて計算した額」を超える場合
付加価値額が30億円以下の法人 超える額に2分の1を乗じた額
付加価値額が30億円超40億円未満の法人 超える額に付加価値額に応じて2分の1から0の間の割合を乗じた額

4.法定実効税率の変更

法人税や地方税の税率が変更されることにより法定実効税率も以下の様に変更されます。

  現行 (改正案)
事業年度開始日
平成27年4月1日~ 平成28年4月1日~
法定実効税率 34.62% 32.11% 31.33%

 

上記の法定実効税率はそれぞれ以下の様に算出されます。

計算式:(法人税率+法人税率×住民税率+事業税率) / (1+事業税率)
現行:(25.5%+25.5%×17.3%+7.2%) / (1+7.2%) = 34.62%
平成27年4月1日~:(23.9%+23.9%×17.3%+6.0%) / (1+6.0%) = 32.11%
平成28年4月1日~:(23.9%+23.9%×17.3%+4.8%) / (1+4.8%) = 31.33%

5.消費税

消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日が平成29年4月1日に変更されました。また請負工事などに係る適用税率の経過措置の指定日を平成28年10月1日とする等の改正が行われました。

 
参考文献

「平成27年度税制改正の大綱」

 
執筆者:公認会計士 石川 裕也
 

 

シリーズ国際課税 税に関する自動的情報交換について

1.最初に

経済協力開発機構(OECD)は、国際的な税に関する「自動的情報交換」の制度を開発していましたが、2014年7月に国際基準を公表しました。これに基づき、2014年10月に93ヶ国が金融口座の自動的情報交換の多国間協定(以下、「本協定」といいます。)に賛同し、うち51ヶ国がこの協定に調印しました。今回のニュースレターでは、自動的情報交換の内容の紹介と、この協定の内容についての解説を行います。

2.税に関する自動的情報交換とは

日本はまだ本協定に署名をしておらず、賛同国の一つとなっています。しかし、日本はすでに既存の租税条約等に基づく情報交換を積極的に行っています。国税庁の資料によれば、自動的情報交換により平成25年度に国税庁から外国の税務当局に提供した情報の件数は、約12万6千件とされています。

税に関する情報交換とは、税務当局が主に国際的な取引に関する課税事実を把握しようとする際に、国内で入手する情報だけでは十分ではない場合に、租税条約等の締結相手国や外国の税務当局に情報の提供を要請するものです。税に関する情報交換には以下の3種類があります。

(1)要請に基づく情報交換…国税庁が課税上の問題を把握した場合に、外国税務当局に情報提供等を要請するもの

(2)自発的情報交換…国税庁が外国税務当局に一方的に情報を提供するもの

(3)自動的情報交換…国税庁が法定調書から情報を収集し、大量の情報を一括して外国税務当局に提供するもの

自動的情報交換により国税庁が外国税務当局に提供する情報は、非居住者に対する配当や利子、給与や報酬、非居住者の不動産所得に関する情報などとなっています。これにより、日本の居住者により国外での利子や配当の受取りや国外不動産の譲渡について申告がない場合でも、国税庁がその内容を把握し、必要によっては課税を行うことが可能となります。

本協定は、従来2国間での租税条約により情報交換を行っていたものを、国際的に共通の基準で行おうとするものです。

3. 協定成立の経緯と協定の内容

本協定は、OECD租税委員会が2014年7月に公表した「共通報告基準」に基づいています。

2012年よりOECDは、多国間及び二国間の自動的情報交換に関する国際基準の策定に着手していました。これは、2010年にアメリカでFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act、外国税務コンプライアンス法)が成立したことが契機でした。

なお、大企業等による国際的な租税回避が国際問題となる中、2013年11月には、「税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラム」(以下、「グローバル・フォーラム」といいます。)において、自動的情報国間に関する相互審査を実施することが合意されています。このグローバル・フォーラムには、OECD加盟国だけではなく、非加盟国を含む100以上の国・地域が参加しています。

そして、2014年1月にはOECD租税委員会が共通報告基準を承認し、G20財務大臣・中央銀行総裁会議もこれを支持しました。さらに、共通報告基準の統一的適用を確保するための細目や情報の通信手段等の必要な技術的な側面が決定され、改訂された共通報告基準が2014年7月に公表されました。

本協定による自動的情報交換制度がスタートすることで、共通報告基準に基づき各国の税務当局間で金融口座についての情報が交換されることになります。本協定により、情報交換の対象となる非居住者の口座の特定方法や提供される情報の範囲等が各国で共通化されます。

実際の運用では、日本では、各金融機関が非居住者の口座を選別し、口座保有者の氏名や住所、口座残高、利子・配当等の受取総額等を国税庁に報告します。そして国税庁が、外国の税務当局に対してこれらの情報を年一回まとめて提供します。また、同様に海外からは、外国の金融機関に口座を有する日本居住者の氏名や住所、口座残高等の情報が国税庁に集まることになります。

なお、自動的情報交換の実施状況については、グローバル・フォーラムがモニタリングすることになっています。また、交換される情報の機密性を確保するために、共通報告基準には一定のルールと基準が設けられており、この基準をクリアできない国は本協定に参加することができないようになっています。

4. 本協定の課題

本協定の課題として、以下の2つが考えられます。

(1)米国の対応

アメリカでは、2010年3月に、米国市民による外国金融機関の口座を利用した脱税を防止するFATCAが成立し、2013年1月に施行されています。この法律に基づく情報交換が2015年から開始するとして、アメリカは本協定には署名していません。FATCAの内容は、各国の金融機関等がアメリカのIRS(内国歳入庁)に対して、米国人の口座情報を提供するというもので、本協定と内容が似ています。そのため、各国の税務当局にとっては、本協定とFATCAの二重の負担がかかるのではないかという懸念があります。

 

(2)発展途上国に対する対応

発展途上国には租税回避を取り締まるためのリソースが不足している場合もあるため、本協定による利益を十分享受できないのではないという懸念があります。そのため、グローバル・フォーラムは、OECDの租税委員会や世界銀行と協力して途上国の技術援助や環境整備に協力することになっています。さらには、G20諸国もグローバル・フォーラムと協力して、発展途上国が自動的情報交換に参加するためのロードマップを2014年9月の会合で示しており、発展途上国もスムーズに自動的情報交換制度に参加できることが意図されています。

5. 今後の展望

日本は本協定に賛同を表明し、2018年までに最初の自動的情報交換を開始することとしています。自動的情報交換制度にはまだ克服すべき課題がありますが、本制度が国際的にスタートすれば、外国の金融機関の口座を利用した租税回避を防止できるとともに、税負担のさらなる公平性が実現され、金融市場に対する国際的信頼がさらに高まると期待されています。

 

参考文献

国税庁、「平成25事務年度における租税条約等に基づく情報国間事績の概要」、平成26年11月

OECD、Automatic Exchange of Financial Account Information、平成26年10月

 
執筆者:公認会計士・社会保険労務士 吉田 隆伸
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRSの会計処理と開示例第1回 IAS第2号「棚卸資産」

1.はじめに

シリーズIFRS(国際財務報告基準)では、IFRSの基準解説を中心に紹介しておりましたが、今回より、各基準の主な論点の会計処理及び開示例について紹介いたします。

第1回目となる今回は、IAS第2号「棚卸資産」の主な論点の会計処理及び開示例について紹介します。

2.棚卸資産の評価及び戻し入れ

棚卸資産は原価と正味実現可能価額とのいずれか低い額で計上しなければなりません。正味実現可能価額は、以下の算式で算定されます。

正味実現可能価額 = 予想売価-見積追加原価-見積販売費用

また、評価減後の取り扱いについては、洗替法が採用されています。なお、評価減の原因となった要因が消滅した場合や経済的状況の変化により正味実現可能価額の増加が明らかである証拠がある場合には、前期以前に行った評価減の戻し入れを行うことが可能となっています。

 

設例

 

(1)20×0年期末
A社が取り扱っている商品の原価及び正味売却可能価額に関する情報は以下の通りである。
①商品原価:120円
②予想売価:140円
③見積追加原価:30円
④見積販売費用:20円
必要な仕訳
(商品評価損) 30円 / (商品) 30円
(※)正味実現可能価額:140円-30円-20円=90円
商品評価損:120円-90円=30円

 

(2)20×1年期末
前期に30円の評価減を行った商品について、市況の回復による予想売価の上昇により、正味実現可能価額が110円となったため、戻し入れの処理を行う。
必要な仕訳
(商品)   20円 / (商品評価損) 20円

3.原材料の評価

原材料については、それらが組み込まれる製品が原価以上の価格で販売されると見込まれる場合には評価減を行う必要はありません。しかし、原材料の価格の下落により、当該原材料が組み込まれる製品の正味実現可能価額が原価より低下している場合には、その原材料は正味実現可能価額まで評価減されることになります。そのような場合、原材料について再調達原価を使うことも認められています。

設例

 

(1)以下の条件において、原材料の正味実現可能価額を求めなさい。
①原材料の組み込まれる製品の原価:100円
②製品の加工費:60円 原材料価格:40円
③製品の売価:110円
④見積販売費用:20円
解答 30円
(※)製品の正味実現可能価額:110円-20円=90円
原材料の正味実現可能価額:90円-60円=30円

4.開示

IAS第2号における開示事項は以下の通りです。

(1)原価の算定方式を含む棚卸資産の評価に関する会計方針

(2)棚卸資産の帳簿価額合計及び分類ごとの帳簿価額

(3)公正価値から販売費を控除した価額で計上されている棚卸資産の帳簿価額

(4)当期に費用として認識した棚卸資産の金額

(5)当期に費用として認識した棚卸資産の評価減の金額

(6)当期に戻し入れられた評価減の金額

(7)棚卸資産の評価減を戻し入れるに至った状況や事象

(8)負債の担保に供されている棚卸資産の金額

 

上記のうち、(2)の棚卸資産の帳簿価額合計、(3)、(4)、(6)及び(7)については、我が国における会計基準では要求されておりません。

 

開示例

重要な会計方針

棚卸資産

棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上しております。原価は棚卸資産の性質に応じて、先入先出法又は移動平均法に基づいて測定されております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および販売に要する見積費用を控除した額であります。

 

棚卸資産の注記

  前連結会計年度
(20×0年3月)
当連結会計年度
(20×1年3月)
商品 10,000 12,000
原材料 20,000 25,000
仕掛品 8,000 9,500
製品 30,000 24,000
棚卸資産合計 68,000 70,500
うち、負債の担保に供されている棚卸資産の金額 5,000 6,000

(注)1.費用として認識した棚卸資産の金額は、前連結会計年度100,000千円、当連結会計年度110,000千円であります。

  2.費用として認識した棚卸資産の評価減の金額は、前連結会計年1,000千円、当連結会計年度800千円であります。

 
参考文献

IAS第2号「棚卸資産」

詳細解説 IFRS実務適用ガイドブック 中央経済社 あずさ監査法人

IFRS会計学基本テキスト 中央経済社

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報_18 「下請け企業お役立ち情報」

1.はじめに

下請け企業は親事業者の経営方針の影響を強く受け、親事業者への依存度が高くなるほど取引において弱い立場に置かれるため無理な要求でも飲まざるを得ません。その結果、親事業者の業績が改善しても下請け企業の業績が上がらないという問題があります。そこで、中小企業庁を中心に下請け企業を守るべく様々な施策が行われています。今回は、それらの制度の中で特徴的なものを2つご紹介します。

2.下請かけこみ寺

[1]制度の目的

この制度は、中小企業庁が下請け取引の適正化を推進することを目的として行っている委託事業です。

[2]制度の概要

下請かけこみ寺は全国47都道府県に1つずつ設置されており、本部である全国中小企業取引振興協会と合わせて全国に48ヵ所あります。取引上の相談と裁判外紛争処理(以下ADR)手続による調停の実施を主に行っています。ADR手続とは、弁護士等の第三者を介在させることにより裁判を起こすことなく取引上の問題の解決を図るものです。相談もADR手続も無料で行うことができるので、親事業者に比べ資金面で劣る下請け企業にとって大きな味方になってくれると思われます。相談件数も年々増加傾向にあります。
(中小企業庁のホームページよりhttp://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi_jissekih26.htm

[3]注意点

下請かけこみ寺で解決を図ることができるのは取引に関する問題だけで、経営や財務、税務の相談はここでは扱っておりません。これらに関しては中小企業庁ホームページにて様々なサポートの紹介がなされていますのでそちらをご参照ください。

3.下請中小企業・小規模事業者自立化支援対策費補助金

[1]制度の目的

この制度には「下請中小企業自立化基盤構築事業」と「下請小規模事業者等新分野需要開拓支援事業」の2種類があり、制度の背景は異なりますが、どちらも取引先の多様化を図り下請企業の振興と経営の安定に寄与することを目的としています。

 

[2]制度の概要

どちらの制度も、取引先の拡大に要する経費である交際費や広告宣伝費、研究開発費の一部について補助を受けることができます。平成27年度の概要は以下の通りです。

(1)下請中小企業自立化基盤構築事業

補助率 補助対象経費の3分の2以内
補助限度額 認定事業計画1件当たり2,000万円
交付決定下限額 100万円

 

(2)下請小規模事業者等新分野需要開拓支援事業

補助率 補助対象経費の3分の2以内
補助限度額 1件当たり500万円
交付決定下限額 100万円

 

[3]注意点

この制度の補助対象者はそれぞれの目的に応じて定められています。従って、補助を受けるための要件を満たしているかの確認が必要です。さらに、事業計画を国に提出し認定を受ける必要がありますが、各事業とも詳細な計画を立てる必要があります。詳細は中小企業庁のホームページを参照してください。

また、申し込みのできる期限も定められています。例年2次募集があるようですが、平成27年度の両制度の1次募集の受付期間は2月23日(月)~5月22日(金)です。あわせてご注意ください。

3.おわりに

中小企業庁のホームページによれば、日本の企業のうち99.7%が中小企業・小規模事業者であり、小規模事業者だけでも全体の86.5%に及ぶそうです。つまり、少数の大企業を支えているのは多くの下請け企業ということになります。これを踏まえて政府も平成27年度予算において小規模事業者を中心に平成26年度の倍の予算の対策費を計上しています。ご紹介した2つの例の他に、小規模事業者であっても銀行からの融資を受けられやすくする『小規模事業者経営改善資金融資事業』、中小企業・小規模事業者の人材確保を支援する『中小企業・小規模事業者人材対策支援事業』など、多くの支援策が講じられています。しかし、これらの制度が下請け企業に対して周知徹底が出来ていないのが実情だと思われます。

そこで、下請け企業の経営者の方々に対しては、経営に行き詰ったら中小企業庁や経済産業省の各地方経済局に相談してみることをお勧めします。国からの補助や支援が受けられるかもしれません。

 

参考文献

1.下請かけこみ寺(http://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/

2.中小企業庁ホームページ(http://www.chusho.meti.go.jp/index.html

3.平成27年度経済産業省概算予算請求
『中小企業関係概算要求等の概要』資料5.(http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2015/pdf/05.pdf
『〃』資料6.(http://www.meti.go.jp/committee/chuki/kihonseisaku/pdf/009_06_00.pdf

 
執筆者:三宮 圭祐
 


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  明誠ニュースレター vol.53
2015年3月18日発行
発行責任者:武田剛
制作:株式会社ゼラス 佐々木景子
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