明誠グループニュースレター
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発表日時 表題
平成27年8月31日 金融庁は平成28年度税制改正要望について公表しました。
平成27年8月19日 日本公認会計士協会は監査実施報告書の様式変更について公表しました。
平成27年8月14日 日本公認会計士協会は監査基準委員会実務指針「保証業務実務指針2400「財務諸表のレビュー業務」」及び 監査基準委員会研究報告「保証業務実務指針2400「財務諸表のレビュー業務」に係るQ&A」の 公開草案について公表しました。
平成27年8月14日 日本公認会計士協会は監査基準委員会報告書810「要約財務諸表に関する報告業務」の公開草案について公表しました。
平成27年8月7日 日本公認会計士協会は法規委員会研究報告第4号「株主代表訴訟に関するQ&A」の改正について公表しました。
平成27年8月4日 日本監査役協会は改定版「監査役監査基準」及び「内部統制システムに係る監査の実施基準」について公表しました。

トピック解説

 
 

監査等委員会設置会社

1.はじめに

平成27年5月より施行された改正会社法により、株式会社の機関設計として「監査等委員会設置会社」が選択できるようになりました。これは、従来の監査役設置会社、委員会設置会社に続く第3のガバナンス形態であり、委員会設置会社に比べ機関設計の大幅な変更の必要がないため導入が容易であるという特徴があります。そのため、平成27年6月の株主総会では三菱重工業やコスモ石油など約180社が監査等委員会設置会社への移行を表明しています。そこで、今回は監査等委員会設置会社が導入された背景及び制度の概要について解説していきたいと思います。

2.監査役設置会社のガバナンスの問題点

明治時代に施行された商法はドイツの商法をモデルとして作成されました。そのため、取締役と監査役を別個に選任し、それぞれが代表取締役や業務執行取締役の業務執行を監督するという二層構造のガバナンス体制がとられました。これは、現行の会社法でも受け継がれており多くの会社が採用している機関構造でもあります。

この機関設計のメリットは取締役と監査役を別個に選任することにより、監査役の取締役からの独立性が確保できる点にあります。これにより、取締役同士の馴れ合いにより業務を執行する取締役に対する監督機能が失われても監査役が監督機能を発揮することが期待されました。

しかし、監査役は取締役に対して違法行為の差止請求権は有している(会社法第385条)ものの、人事権を有していないため監督機能に限界があります。また、監査役の能力に対して規定が設けられていないため法の要件を満たせば誰でも監査役になれます。そのため、会社の経営に詳しくない人、取締役の近親者や友人、元取締役といった取締役に対して積極的に監督機能を発揮することが期待できない人物が選任されることがありました。これらの問題により、監査役制度は形骸化しているとの指摘がなされました。これに加え、二層構造のガバナンス体制を採用している国が少ないために海外投資家から監査役の権限についてわかりにくいという指摘も受けました。このようにして、コーポレート・ガバナンスの水準を国際的なものに引き上げることを目的とする新たな機関構造の形態として委員会設置会社の制度が創設されました。

3.委員会設置会社のガバナンスの問題点

監査役設置会社の問題点から、2002年の商法改正によりアメリカのガバナンス形態を参考にした委員会設置会社が機関設計として導入されました。

これは、監査役を置くのではなく、取締役が自ら他の取締役を監督する一層構造のガバナンス体制です。具体的には、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の3つの委員会が取締役会の中に置かれる(会社法第404条)という組織形態です。

委員会設置会社のガバナンスの最大の特徴であるのは、各委員会の構成員は3名以上の取締役で構成され、その過半数が社外取締役でなければならない(会社法第400条1項3項)という点にあります。株式会社のガバナンスの中でも重要な機能である取締役の選任・解任、取締役等の報酬の決定、職務執行の監査について会社とは縁のない社外取締役が中心となって行うことにより、監査役設置会社で問題となった取締役との馴れ合いにより監督機能が失われることの防止が期待されました。また、取締役は経営の専門家であることが前提にあるので、取締役が執行役(会社法第402条)を監督することにより、適切な監督機能が発揮されるというメリットもあります。

しかし、社外取締役の人材の確保が予想以上に困難であったこと、及び、取締役の選任や解任、報酬の決定において社外取締役が決定権を握っていることに対する抵抗感があったこと等の理由により、委員会設置会社を採用した会社は少数にとどまりました。

そこで、監査をする者に業務執行者の任免権を持たせることにより監督機能を確保したまま、かつ、会社にとって負担にならない形で社外取締役の機能を活用してもらうための制度として、監査等委員会設置会社の制度が創設されました。

なお、監査等委員会設置会社が創設されたことに伴い、従来の委員会設置会社は「指名委員会等設置会社」と改称され、改正後の会社法でも機関設計の一つとして選択可能です。以降は指名委員会等設置会社の名称を使用していきます。

4.監査等委員会設置会社の概要

上記のような背景から2014年の会社法改正により監査等委員会設置会社の制度が新設されました。

この制度は監査役設置会社と指名委員会等設置会社の両者の性格を併せ持った制度であると言えると思います。

以下、具体的に説明していきます。

 

[1]機関構造

次の機関は必ず設置することが求められています(会社法第329条1項3号、同条5項、第399条の13第3項)。

①株主総会②取締役会③代表取締役④監査等委員会⑤会計監査人

また、監査等委員会の設置に伴い、監査役の設置が禁止されます(会社法第327条4項)。

 

[2]監査等委員会について

監査等委員会は3人以上の取締役で構成され、その過半数は社外取締役でなければならないとされています(会社法第331条6項)。この点は指名委員会等設置会社の監査委員会と同様です。

監査等委員会の権限として、①取締役の職務執行の監査(会社法第399条の2第3項1号)②業務執行者を含む取締役の選任・解任及び報酬に関する株主総会における意見陳述権(会社法第342条の2第4項、第361条6項、第399条の2第3項3号)が大きなものとして挙げられます。一方、指名委員会等設置会社の監査委員会は執行役の職務執行の監査の権限はあります(会社法第404条2項1号)が、取締役の人事に関する権限は有していません。このように、監査等委員会は監査以外の権限を有していることから「監査等」という言葉が用いられることになりました。

しかし、監査等委員会が監査以外の権限を有しているとは言え、指名委員会や報酬委員会と同じ権限ではないため指名委員会等設置会社よりも業務執行者に対する統制が弱いということになります。従って、執行役は置かれず、監査役設置会社と同様に代表取締役及び業務執行取締役が会社の業務を執行します。この点について、指名委員会等設置会社と混同してはなりません。

 

[3]監査等委員について

監査等委員である取締役には監査等委員以外の取締役とは異なる規定が適用されます。具体的には、

①監査等委員である取締役は監査等委員以外の取締役とは区別して選任される(会社法第329条2項)。

②監査等委員である取締役の任期は2年であり定款又は株主総会の決議によっても短縮不可(会社法第332条4項)であるのに対し、監査等委員以外の取締役の任期は原則1年であり、短縮可能(会社法第332条3項)である。

③監査等委員である取締役に対する報酬は監査等委員以外の取締役とは区別して定める(会社法第361条2項)。

④監査等委員である取締役の解任は株主総会特別決議事項であるが、監査等委員以外の取締役は株主総会普通決議事項である(会社法第309条2項7号)。
が挙げられます。これらの規定はいずれも監査等委員の独立性を確保するためのものであり、監査役制度の特徴を引き継いだものであるといえます。
ただし、監査等委員は監査役会の監査役と異なり独任制の機関ではなく、監査役会のように常勤の監査等委員を選任する必要はありません。この点は指名委員会等設置会社の監査委員と同じです。

5.おわりに

今回は2014年改正会社法の特徴の一つである監査等委員会設置会社について取り上げました。新しい制度ができるとその内容ばかりに目が向いてしまいがちですが、今回の会社法改正の目的の一つはコーポレート・ガバナンスの強化であり、そのために社外取締役の機能を従来以上に活用していくことがねらいとなっています。制度の詳細の理解のみならず、改正が行われた理由についても理解していただきたいと思います。

また、コーポレート・ガバナンスの強化については、2015年6月に東京証券取引所がコーポレート・ガバナンス・コードを適用したこともあり、この機会に一度きちんと理解しておく必要があると筆者は考えています。

 

参考文献
一般財団法人 会計教育研修機構.2015.「これからの日本のコーポレート・ガバナンス」

坂本三郎.2015.「一問一答 平成26年 改正会社法[第2版]」.商事法務

日本経済新聞 2015年6月19日電子版 「監査、『欧米流』導入200社に迫る 内側から経営チェック」

 
執筆者:三宮 圭祐
 

 

工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱いについて

1.はじめに

日本公認会計士協会(JICPA)は平成27年4月30日付けで「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第91号、以下「実務指針」という)を公表しました。本実務指針は、工事進行基準により工事収益及び工事原価の認識を行っている企業の財務諸表の監査において適用されます。

2.経緯

平成25年3月に企業会計審議会から「監査における不正リスク対応基準」が公表され、不正による重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続をより慎重に実施することが求められている中、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」が幅広い業種で適用され、工事進行基準の適用に当たっては、会計上の見積りの要素が大きく、工事進行基準の適用に関連する不正事案が散見されることを踏まえ、関連する監査基準委員会報告書(以下、「監基報」という)の要求事項を適切に適用するための留意事項を適用指針として公表することになりました。

工事進行基準は、以下に示すように一般的に会計上の見積りの不確実性の程度が大きく、会計上の見積りに関する重要な虚偽表示リスクが高くなることが多いといわれています。

 

[1] 工事進行基準適用のリスク

(1) 実行予算に基づく工事損益率及び工事進捗度等の会計上の見積りが不可欠であること

(2) 工事進行途上の工事契約変更による金額の不確定性があること

(3) 工事契約内容の個別性が強く、工事原価総額の見積りに当たって画一的な判断尺度が得られにくく、専門的知識及び実務経験を有する工事契約の管理者による判断が恣意的に行われる可能性があること

(4) 監視活動は労務安全管理又は工程管理が重視される傾向にあること、また、原価管理について監視活動が実施されていても、工事進行基準の適用の妥当性という観点からは必ずしも十分に実施されていない可能性があるなどモニタリングが機能しないおそれがあること

(5) 工事の進行途上においては、外部環境の変化等によって工事収益総額や工事原価総額の見直しが必要となる場合があるが、見積担当部署が当該情報を適時かつ網羅的に収集できず、最新の状況を会計上の見積りに適時に反映できない可能性があること

 

[2] 不正リスク

(1) 意図的な工事契約の認識単位の設定による工事損益率の調整

(2) 注文書・契約書で未確定の工事収益総額の不適切な見積り

(3) 実現可能性の低い原価低減活動による工事原価総額の不適切な見積り

(4) 工事契約の管理者が故意に外注業者等と共謀し、①発生した工事原価を異なる工事の原価に付替える②原価を計上しない又は架空原価を計上する③作業実績時間等の操作を行うことによる工事原価の操作

3.当実務指針の概要

当実務指針には、監基報540「会計上の見積りの監査」、監基報240「財務諸表監査における不正」等の実務指針を踏まえ、上述したリスクを含む工事進行基準を適用する企業の財務諸表監査を行う上での具体的な手続及び留意事項が監査プロセスごとに記載されています。

なお、工事進行基準が適用されていない場合でも、請負契約や個別受注生産を行うような場合で個別原価計算を適用している企業の監査において参考となる事項(原価付替リスクや工事損失引当金への対応など)が記載されています。

I 本指針の適用範囲
  1. 適用範囲
  2. 背景
  3. 定義
II リスク評価手続とこれに関する活動
  1. 重要な虚偽表示リスクの検討
  2. 不正リスク要因の検討
  3. 内部統制の理解
  4. 前年度の会計上の見積りの確定額又は再見積額の検討
III リスク対応手続
  1. 評価した重要な虚偽表示リスクへの対応
  2. 評価した不正による重要な虚偽表示リスクへの対応
  3. 運用評価手続
  4. 実証手続等
IV 適用

平成27年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び中間監査から適用

4. おわりに

当ニュースレターでは概要等に止め内容は割愛しましたが、東芝が経営トップの関与による工事進行基準の不適切な適用などによる不正で第三者委員会を設置しており、当実務指針の位置づけはますます重要になってきています。

 

参考文献

監査・保証実務委員会実務指針第91号「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」

 
執筆者:中澤 泰明
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRSの会計処理と開示例第6回 IAS第36号「資産の減損」(後編)

1.はじめに

今回は、前回に続いて、IAS第36号「資産の減損」の、主な論点及び開示例について紹介します。なお、基準の説明については、ニュースレターVol.21のIFRS(国際財務報告基準)第20回 IAS第36号「資産の減損」をご確認ください。

2.のれん

企業結合により生じたのれんについては、企業結合による経済的便益が期待される資金生成単位または資金生成単位グループに配分する必要があります。 配分される資金生成単位又は資金生成単位グループは、次のようなものでなければなりません。

(a) のれんが内部管理目的で監視している企業内の最小レベルを表している。かつ、

(b) 集約前におけるIFRS第8号「事業セグメント」で定義された事業セグメントよりも大きくない。

のれんが配分された資金生成単位の減損テストを行うにあたっては、まず、のれんが資金生成単位に関連するものの、合理的かつ継続的に当該単位に配分できない場合には、当該単位について減損の兆候がある場合は常にのれんを除く資金生成単位と回収可能価額とを比較して減損の有無を検討します。一方、のれんが配分された資金生成単位については、毎年、兆候がある場合にはその都度、のれんを含む当該単位の帳簿価額と回収可能価額とを比較し、当該単位の帳簿価額が回収可能価額を上回っている場合には減損損失を認識する必要があります。

なお、次の要件すべてが満たされる場合には、当期の減損テストの結果に、直近の計算結果を利用することができます。

(a) 当該単位を構成する資産及び負債が、直近の回収可能価額の計算の時から著しく変化していないこと

(b) 直近の回収可能価額の計算の結果、当該単位の回収可能価額が帳簿価額に比して相当程度大きいこと

(c) 直近の回収可能価額の計算時点以降に発生した事象及び変化のあった状況の変化を分析した結果、当該資金生成単位についての現在の回収可能価額が、現在の帳簿価額を下回る可能性が極めて低い。

 

【2】回収可能価額の算定

回収可能価額は、資産または資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額をいいます。売却費用については、法的費用、印紙税及び類似の取引税、資産の除去費用並びに資産を売却可能状態にするための直接増分費用が挙げられています。

回収可能価額を算定する際に考慮する事項は以下の通りです。

(1) 売却費用控除後の公正価値と使用価値の双方を算定することは、常に必要とは限らず、どちらか1つでも帳簿価額を超過する場合には、もう一方の金額を見積もる必要はない。

(2) 測定日現在で、市場参加者間の秩序ある取引において資産を売却するために受け取るであろう価格又は負債を移転するために支払うであろう価格の信頼し得る見積りを得る基礎がないため、売却費用控除後の公正価値を測定することが困難な場合には、使用価値を用いることができる。

(3) 資産の使用価値が処分費用控除後の公正価値を著しく超過していると考えられる理由がない場合には、処分費用控除後の公正価値が回収可能価額として用いられる。これには、処分や売却を予定している資産が該当します。

3.全社資産

全社資産は、個別のキャッシュ・インフローを生み出さない資産であり、減損の兆候が見られても、処分が決定された場合を除き、単独で回収可能価額の測定はできません。そのためIAS第36号では、全社資産を合理的かつ首尾一貫した基準により資金生成単位に配分し、回収可能価額を決定しなければならないとしています。

 

設例1:以下の条件における、認識すべき減損損失の額を求めなさい。
  帳簿価額 回収可能価額 減損の兆候
全社資産A 10,000,000円 -
資金生成単位B 50,000,000円 55,000,000円
資金生成単位C 30,000,000円 25,000,000円
資金生成単位D 40,000,000円 48,000,000円
合計 130,000,000円 128,000,000円  
  • 全社資産Aは3つの資金生成単位に関連するものである。
  • 会社は、全社資産Aの人数比による配分が合理的と判断している(B:C:D)=(2:5:3)

解答:

①全社資産A配分後の資金生成単位Cの帳簿価額 30,000,000円+5,000,000円=35,000,000円

②減損損失 35,000,000円-25,000,000円=10,000,000円

 

設例2:設例1のうち、人数比による配分が合理的ではなく、その他の配分基準が見いだせない場合の減損損失の額を求めなさい。

解答:5,000,000円

解説:

①ステップ1として、全社資産を除く、資金生成単位ごとに減損テストを実施する。

この結果、Cについて、5,000,000円の減損損失が計上される。

②ステップ2として、全社資産が配分された最小の資金生成単位グループに対して減損テストを実施する。

この結果、減損後のA~Dの帳簿価額合計125,000,000円(130,000,000円-5,000,000円)<回収可能価額128,000,000円となり、ステップ2における減損損失の計上はない。

4.開示

IAS第36号における開示事項は以下の通りです。

(a)資産の種類ごとに、

①減損損失の金額と表示項目

②戻し入れた減損損失の金額と表示項目

③再評価資産に係る減損損失の金額

④再評価資産に係る減損損失の戻入れの金額

⑤セグメントごとの減損損失と戻入れの金額

 

(b)財務諸表全体にとって重要な減損損失の認識又は戻入れをした場合、

①当該状況に至った事象及び状況

②認識又は戻入れをした減損損失の金額

③個別資産について、当該資産の性質と所属する報告セグメント

④資金生成単位について、その性質(例えば、生産ライン、工場)と資産の種類ごとの減損損失、戻入れの金額

⑤回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値又は使用価値のどちらであるか

⑥売却費用控除後の公正価値である場合、測定するために使用された基礎

⑦使用価値である場合、使用価値の現在及び以前の見積りに用いた割引率

 

(c)当期中に認識又は戻し入れた減損損失の合計が重要ではなく、(b)の開示を行っていない場合、

①減損損失又は戻入れの影響を受ける主な資産の種類

②減損損失の認識及び戻入れを生じさせた主な事象及び状況

 

(d)のれんが資金生成単位に配分されていない場合には、金額及び理由

(e)資金生成単位に配分されたのれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額が、企業全体ののれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額に比して重要な場合、

①資金生成単位に配分されたのれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額

②回収可能価額の算定基礎(使用価値か処分費用控除後の公正価値か)

③使用価値の場合、

ア)直近の予算等におけるキャッシュ・フロー予測の基礎となった主要な仮定

イ)主要な仮定に割り当てた値

ウ)キャッシュ・フローの予測期間

エ)直近の予算・予測が対象としている期間を超えてキャッシュ・フロー予測を推定するために用いた成長率等

オ)キャッシュ・フロー予測に適用した割引率

④処分費用控除後の公正価値の場合、

ア)主要な仮定

イ)主要な仮定に割り当てた値

ウ)公正価値ヒエラルキーにおけるレベル

エ)評価技法の変更があった場合には、その旨及び理由

⑤処分費用控除後の公正価値が割引キャッシュ・フロー予測を用いて予測されている場合、

ア)キャッシュ・フローを予測した期間

イ)キャッシュ・フローを延長するために用いた成長率

ウ)キャッシュ・フロー予測に適用した割引率

 

(f)のれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額の一部又は全部が、複合的な資金生成単位に配分される場合で、かつ、配分された金額が企業全体ののれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額に比して重要ではない場合

①資金生成単位に配分されたのれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額

②主要な仮定

③主要な仮定に割り当てた値を算定した手法

 

(g)(e)(f)における、主要な仮定に係る合理的な変更の可能性があり、それにより帳簿価額が回収可能価額を上回ることに

なる場合、

①上回っている金額

②主要な仮定に割り当てた値

③回収可能価額と帳簿価額が等しくなるためには、主要な仮定に割り当てた値がどれだけ変わらなければならないか

 

開示例

重要な会計方針

減損

当社グループでは、各連結会計年度末に有形固定資産及び無形資産の帳簿価額について、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候がある場合には、その資産又はその資産の属する資金生成単位ごとの回収可能価額の見積りを行い、減損テストを行っております。

合理的であり一貫性のある配分方法が識別できる場合、全社資産(のれん以外の資産で検討の対象である資金生成単位と他の資金生成単位の双方のキャッシュ・フローに寄与する資産)もまた、個々の資金生成単位又は資金生成単位のグループに配分されております。

回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と、使用価値のいずれか高い方の金額で算定しております。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を使用して、現在価値に割り引くことにより測定しております。

資産(又は資金生成単位)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、資産(又は資金生成単位)の帳簿価額は回収可能価額まで切り下げられます。

減損損失を認識後に戻し入れる場合、当該資産(又は資金生成単位)の帳簿価額は、改訂後の見積回収可能価額まで増額いたします。ただし、当該減損の戻入は、戻入時点における資産(又は資金生成単位)が、仮に減損損失を認識していなかった場合の帳簿価額を超えない金額を上限として行われます。

 

連結財務諸表注記

減損損失

減損損失の種類別の内訳は以下の通りです。

 

(単位:千円)
報告セグメント 種類 前連結会計年度 当連結会計年度
A事業 建物及び構築物 20,000 15,000
工具器具備品 8,000 5,000
合計   28,000 20,000
減損損失は、連結損益計算書の「その他の収益及びその他の費用」に含めて表示しております。

 

A事業

有形固定資産は、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成させる最小の資金生成単位として主に工場ごとに資産のグルーピングを行っており、収益性の低下に伴い一部の工場について減損損失を計上しております。

回収可能価額は、経営者によって承認された経営計画を基礎として、将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いた使用価値を採用しております。測定に使用した割引率は、前連結会計年度は5.5%、当連結会計年度は5.8%であります。また、減損テストに用いた主要な過程が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、当該資金生成単位において、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しております。

 
参考文献

IAS第36号「資産の減損」

詳細解説IFRS実務適用ガイドブック 中央経済社 あずさ監査法人

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報22 中小企業技術革新制度(SBIR制度)について

1.はじめに

今回は、中小企業技術革新制度(SBIR制度)について紹介します。

SBIR制度は、中小企業者の方及び事業を営んでいない個人の方(以下、「中小企業者等」)の新たな事業活動の促進を図る目的で創設された制度であり、研究開発とその成果の事業化を一貫して支援するものです。

2.制度の概要

[1] SBIR特定補助金等

研究開発のための補助金・委託費等の中から、中小企業者等の方が活用でき、その研究開発成果を活用して事業を行えるものが選ばれ、SBIR特定補助金等として指定されています。

 

<平成27年度特定補助金等への指定が予定されている事業>

 

総務省関係

  • 戦略的情報通信研究開発推進事業に係る委託費
  • エネルギー・産業基盤災害対応のための消防ロボットの研究開発
  • 巨大データ流通を支える次世代ネットワーク技術の研究開発に係る委託費

 

文部科学省関係

  • 社会システム改革と研究開発の一体開発推進のうち安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラムに係る補助金
  • 医療分野研究成果展開事業(研究成果最適展開支援プログラム及び先端計測分析技術・機器開発プログラム)に係る助成金

 

農林水産省関係

  • レギュラトリーサイエンス新技術開発事業に係る委託費
  • 農地等の放射性物質の除去・低減技術の開発事業に係る委託費

 

厚生労働省関係

  • 障害者自立支援機器等開発促進事業に係る補助金
  • 希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器・希少疾病用再生医療等製品試験研究助成金

 

経済産業省関係

  • グローバル農商工連携推進事業に係る補助金
  • 伝統的工芸品産業支援補助金

 

国土交通省関係

  • 建設技術研究開発助成制度に係る補助金
  • 交通運輸技術開発推進制度に係る委託費

 

環境省関係

  • CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業に係る委託費及び補助金
  • 環境研究総合推進費に係る委託費及び補助金

 

(記載している補助金等は、予定されている事業の一部ですので詳細は、下記HPを参照ください。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/2015/150630sbir.pdf

 

[2] 事業化支援策

SBIR特定補助金等の交付を受けた中小企業者等が、SBIR特定補助金等を受けて研究開発を行い、その成果を事業化する際に、様々な支援策を受けることができます。

①低利融資

②特例処置として、国等の入札への参加

③SBIR特設サイトにおいて研究開発の成果や技術・商品など制度活用の方のPR情報の掲示

④特許料等の減免

⑤中小企業信用保険法の特例措置

⑥中小企業投資育成株式会社法の特例の適用

⑦小規模事業者設備導入資金助成法の特例の適用


①低利融資について

日本政策金融公庫において、低利(特別利率)での特別融資を受けることが可能となります。

融資の対象は、SBIR特定補助金等の研究開発成果を活用した事業において、必要となる設備資金、運転資金が貸付対象となります。

(融資を受けるためには、所定の審査が必要となりますのでご留意ください。)

 

以下で融資対象の一部をご紹介します。

 

○新企業育成貸付

  • 新事業育成資金(中小企業事業)
貸付限度 6億円  
貸付利率 貸付後5年間 特別利率(上限3%)
  6年目以降 基準利率+0.2%(上限3%)
  社債及び新株予約権付貸付:基準金利

なお、信用リスク、貸付期間等に応じて、所定の利率が適用されることになります。

貸付期間 (中小事業) 設備資金:15年以内(うち据置期間5年以内))
    運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
    社債及び新株予約権付貸付:7年以内

 

このほかにも、新企業育成貸付には

  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 新規開業資金(国民生活事業)
  • 新事業活動促進資金(国民生活事業)など、様々なものがあります。

○食品貸付(国民生活事業)
資金使途 食品関係の小売・製造小売または花き小売業を営む方が必要な設備資金
貸付対象 食品関係の小売・製造小売りまたは花き小売業を営む方
貸付利率 設備資金:基準利率、特別利率A、特別利率B、特別利率C(技術・ノウハウ等に新規性がみられる方の設備資金(土地に係る資金を除く)は特別利率C)
貸付期間 設備資金:原則13年以内 <据置期間原則2年以内>
資金説明ページ 資金に関する説明については以下を参照下さい。
http://www.jfc.go.jp/k/yuushi/atarasiku/03_syokuhinkasituke_m.html

②特例処置として、国等の入札への参加

SBIR特定補助金等の交付を受けた中小企業者等については、参加しようとする入札物件等の分野における技術力を証明することができれば、入札参加資格のランクや過去の納入実績にかかわらず、入札参加が可能となります。

 

③SBIR専用サイトでの、研究開発成果等の事業PR

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業支援ポータルサイト「J-NET21」
にSBIR特設サイトが開設されています。当サイトにおいて、SBIR特定補助金等を交付された中小企業者等の方それぞれの専用ページを設け、研究開発成果や、その事業化・商品化情報などを自由に掲載しPRすることができます。

 

④特許料の減免

SBIR特定補助金等の交付を受けて行う研究開発事業の成果における発明特許について、特許料の減免を受けることができます。

 

⑤中小企業信用保険法の特例措置

SBIR特定補助金等の交付を受けた中小企業者等は、中小企業信用保険制度のうち新事業開拓保険制度において、債務保証枠の拡大や担保・第三者保証人が不要な特別枠を利用することが可能となります。

 

⑥中小企業投資育成株式会社法の特例

中小企業投資育成会社からの投資対象について、以下の方であっても投資を受けることができるようになります。

  • 資本の額が3億円を超える株式会社を設立する場合
  • 資本の額が3億円を超える株式会社が事業活動をするために必要とする資金の調達をする場合

 

⑦小規模事業者設備導入資金助成法の特例

貸与機関が実施する小規模企業設備資金制度の貸与割合が拡充されます。

  • 貸与割合  1/2→2/3

なお、当制度に関する問合せ先は以下となります。
財団法人全国中小企業取引振興協会 03-5541-6688

3.おわりに

本文では紹介できなかった制度及び各制度の詳細、事業資金相談等の問い合わせ先等については、下記を参照下さい。

 

出典・参考文献

中小企業庁「中小企業者技術革新制度(SBIRについて)」

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/sbir/24fy/0711SBIR.htm

 
執筆者:竹内 史明
 


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  明誠ニュースレター vol.58
2015年11月11日発行
発行責任者:武田剛
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