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修正国際基準

1.はじめに

2015年6月30日に、企業会計基準委員会(以下、ASBJ)から、「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」が公表されました。

修正国際基準は、2016年3月31日以後修正する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用することができます。これにより、日本の資本市場で企業が認められる会計基準は、従来から認められていた日本基準、米国基準、国際会計基準(以下、IFRS)の3つに、修正国際基準を加えた4つとなります。

2.修正国際基準

修正国際基準は、国際会計基準審議会(以下、IASB)が公表したIFRSを構成する会計基準等のうち、ASBJが日本において受け入れることができると判断した会計基準等とそのままでは受け入れることができないと判断し一部を「削除または修正」した会計基準等で構成されます。

今回の公表にあたっては、2012年12月31日現在でIASBにより公表されている会計基準等(国際財務報告基準13本、国際会計基準28本、IFRIC解釈指針17本、SIC解釈指針8本)が検討された結果、「のれんの会計処理」及び「その他の包括利益の会計処理」について「削除または修正」が行われ、採択されました。

 

「のれんの会計処理」

IFRSでは、のれんの耐用年数及び減価のパターンは、予測不能であり、恣意的な期間で償却を行っても有用な情報を提供することはできないと考え、のれんの償却を禁止し減損のみを行うこととしています。

これに対して、ASBJは、のれんは、投資原価の一部であり、企業結合後の成果に対応させて費用計上すべきものであると考え、修正国際基準では、のれんを20年以内の期間で規則的に償却することとしました。

 

「その他の包括利益の会計処理」

IFRSでは、次の項目について、その他の包括利益に計上した後に、当期純利益に組替調整(リサイクリング処理)しない会計処理(ノンリサイクリング処理)を採用しています。

(1) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動

(2) 純損益を通じて公正価値で測定する起因雄夫妻の発行者自身の信用リスク起因する公正価値の変動

(3) 確定給付負債又は資産の再測定

(4) 有形固定資産及び無形固定資産の再評価モデルに係る再評価剰余金

IFRSでは、投資に対する利得及び損失の認識は一度だけとすべきであり、その他の包括利益に利得又は損失を認識した後、純損益に振り替えるのは不適切であると考え、ノンサイクリング処理が採用されています。

これに対して、ASBJは、これらのノンリサイクリング処理によって、当期純利益の総合的な業績指標としての有用性が低下すると考え、④を除く3つの項目についてリサイクリング処理することとしました。

3.おわりに

現在、IFRSを適用する大手企業が増えてきています。米国基準を採用していた(株)日立製作所や(株)本田技研工業、日本基準を適用していたヤフー(株)やコニカミノルタ(株)などもIFRSへ変更し、東証1部の時価総額上位100位のうち、既に21社がIFRSを用いています。こういった動きの背景には、海外にある多数の子会社を含め、単一の基準をもちいることで経営管理を行いやすくしたい、海外投資家への説明を行いやすくし資金調達に繋げたいといった経営者の考えがあるようです。

一方、東証による開示内容の調査によると、調査対象会社2,374社のうち、2015年8月31日までにIFRS適用済の会社は68社、IFRSの適用を決定した会社は23社、決定はされていないがIFRSの適用を予定している会社は21社であり、IFRS適用済の会社、適用を決定した会社、適用予定の会社を合計しても、調査対象会社の5%にも達しておらず、日本企業全体ではIFRS化が進んでいないことがわかります。

修正国際基準は、日本企業のIFRSの適用を促進させ、また、日本が受け入れ可能な会計基準等の開発をIASBに促すための意見発信を行うために設けられました。比較可能性を向上させ、財務諸表の有用性を高めるためにも単一で高品質な国際基準の早期の誕生が望まれます。

 

参考文献
株式会社東京証券取引所 「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析

 
執筆者:公認会計士 中戸 大介
 

 

我が国の財務諸表の表示・開示に関する検討

1.国際的な動向を踏まえた公表経緯

我が国において、2014年12月に東京証券取引所と金融庁は、「『日本再興戦略』 改訂2014」に基づき、我が国の成長戦略の一環として、コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議を開催し、コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)「コーポレートガバナンス・コード原案~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」を公表しました。(詳細についてはニュースレターVol.52「コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)「コーポレートガバナンス・コード原案」公表について」を参照)

その中の5つの基本原則の中の一つに、「適切な情報開示と透明性の確保」が掲げられており、上場会社に、財務情報や経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むことを求めています。その際、取締役会には、情報の利用者にとって有益な記載となるよう積極的に関与していくが求められています。

さらに経済産業省が2014年9月に立ち上げた「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会」においても、企業と投資家が対話を通じて相互理解を深め、持続的成長や中長期的な企業価値の向上を達成するために質の高い対話つまり、企業情報開示や監査等の質を高めることが重要であると指摘されています。

また国際会計基準審議会(IASB)においては2014年12月に「開示に関する取組み」を、米国会計基準審議会(FASB)では2014年7月に討議資料「開示フレームワーク」が公表されています。

上記の様に企業の情報開示について活発に議論がなされている中で日本公認会計士協会は我が国における会計基準の必要性の検討を行うこととし、国内外の幅広い観点から我が国の財務諸表の表示・検討について調査・研究を行い現時点における考えについて取りまとめ、我が国の財務諸表の表示・検討に関する会計基準の必要性について最終的な結論を得るために、財務諸表の作成者や利用者、市場関係者等から広く意見を募集するため我が国の財務諸表の表示・開示に関する検討が公表されました。

2.意見募集の概要

現在、世界各国の会計基準設定主体等において財務諸表における開示に関する議論が活発に行われています。上記に記載した国際会計基準審議会(IASB)や米国会計基準審議会(FASB)の他に、2014年7月において英国財務報告協議会(FRC)が公表したレポート「会計方針及び関連する財務情報の統合」において、財務諸表利用者は重要な会計方針の開示を改善し、開示の質を高める事に関して様々な意見を持っており、重要な会計方針に関しては、その会計方針の選択や選択に当たっての重要な判断、経営者の重要な見積もりが必要とされる分野について、開示が行われているべきであると日本公認会計士協会は考えています。

国際的な議論において、より開示を充実させるべきとする意見の一方で、会計基準から抽出した決まり文句(boilerplate text)の記述は財務諸表利用者には付加価値が殆ど、あるいは全くない場合も多く、財務諸表に対し付加価値を与えることができなくなるだけでなく、企業固有の情報から注意をそらしてしまう可能性があるため財務諸表の全体的な透明性を低下させる等、財務諸表の開示の在り方について見直すべきという意見があります。

また、我が国おいては複数の法制度の下で異なる財務諸表の開示が求められる実務に関して極めて煩雑であるという意見もあります。我が国における財務諸表の表示・開示に関する取扱いは、この点について国際的な議論から異なる観点から我が国の開示の義務を煩雑にしているものといえます。そのため我が国の議論においては国際的な議論をそのまま当てはめることは必ずしも適当でなく、まず我が国の制度による開示の現状を分析する必要があると日本公認会計士協会は考えています。

日本公認会計士協会では財務諸表の表示・開示に関する会計基準の必要性の検討に当たり、我が国の会計基準に基づく財務諸表の表示・開示に関する調査・研究をこれまでの調査・研究の結果を踏まえ会計制度委員会研究資料として取りまとめました。以上のような調査・研究を進めていくことにより、我が国の表示・開示の会計基準を検討する場合には優先すべき事項として、注記情報の開示と財務諸表本表の二つに分け検討する必要があると考えています。

 

[1] 注記情報について

我が国の会計基準とIFRSの注記情報を比較すると開示を求めるべきとする注記が2項目程あります。

開示を求めるべきとする項目は「経営者が会計方針を適用する過程で行った判断」及び「見積りの不確実性の発生要因」に関する注記です。これらの注記は財務諸表利用者が財務諸表の作成の前提や重要な不確実性を把握することにより、企業と質の高い対話を行うことが可能となり相互理解を通じ中長期的な企業価値創造を行うことができるためであると考えられます。

 

[2]財務諸表の表示について

現行の我が国の制度では、財務諸表本表に区分して表示すべき勘定科目に関して財務諸表等規則や会社計算規則等により規定されているが、金融商品取引法と会社法の開示では連結財務諸表において表示する勘定科目等が異なる場合があり、法制度の違いにより表示される勘定科目に差異が生じることに関して、表示に関する会計基準等の開発を検討する事が考えられます。

3.研究資料の概要

本研究資料は我が国の財務諸表の表示・開示に関する会計基準の必要性についての問題意識の共有化と共に今後、期待される活発な議論に資するものとして公表されたものあり、これまでの協会における調査・研究の結果及びこれを踏まえた現時点における考えを取りまとめたものです。そのため本研究資料において示されている総括は現時点における調査・研究の成果を踏まえた考察であり、最終的な結論ではなく、あくまでも現時点における一つの考え方を示したに過ぎません。したがって、本研究資料は、実務上の指針として位置づけられるものではなく、また拘束するものでもありません。

 

[1]日本基準とIFRSの表示及び開示規定の比較

我が国における財務諸表の表示及び開示に関する規定は金融商品取引法及び会社法の各法制度において、開示する財務諸表の種類が異なる点があります。その理由として金融商品取引法は投資家の判断に資する情報を提供することを目的としていますが、会社法においては株主や債権者に対する情報提供並びに利益剰余金分配の規制を目的とするものであることがあります。金融商品取引法と会社法においては想定する利害関係者の範囲の違いから開示が求められている範囲に差異が生じています。

それに対し、IFRSにおいて、財務諸表は「企業の財政状態と財務業績の体系的な表現」であり、その目的は「広範囲の利用者の経済的意思決定に有用となる企業の財政状態、財務業績及びキャッシュフローについての情報を提供することである」と定められ、「経営者に委託された資源に対する経営者の責務遂行の成果を示すものでもある」とされています。そしてこれらの目標を達成するために「完全な一組の財務諸表」の構成を定めています。

 

[2]開示事例等に基づく比較

日本基準とIFRSの表示及び開示規定の比較分析を受け、IFRSにおいて開示が求められている「経営者が会計方針を適用する過程で行った判断」に関する注記及び「見積りの不確実性の発生要因」に関する注記について、下記3つの項目に分け調査・分析が行われています。

 

(1) IFRS任意適用会社の開示事例からみた財務諸表の開示の分析

財務諸表利用者にとって有用な情報は財務諸表の前提や不確実性を把握できる情報であるため、IFRS任意適用会社の開示の方がより有用性が高いと考えられます。

 

(2) 日本企業の英文連結財務諸表の開示事例からみた財務諸表の開示の分析

我が国の公開会社の株主に占める外国人株主の比率も相応に高いため、開示される財務情報について言語に関わらず一元化するのが望ましいとされています。

このため、我が国の会計基準において要求する表示・開示内容について国際的なルールと同等の水準とすることにより、日本基準で作成した財務諸表を翻訳するだけで国際的にも利用可能なものとすることが可能となり利用者のニーズを満たすことが可能となると考えられます。

 

(3) 財務諸表の公表日からみた財務諸表の開示の分析

我が国の実務では同じ事業年度の財務諸表であるにも関わらず、公表日の異なる財務諸表が開示されることとなり、後発事項の取扱いなど、決算実務の効率化の観点から望ましいものではないと考えられるため、作成者の事務負担を上回る便益があるか否かについて意見を聴取する必要があると考えられます。

 

出展・参考文献

日本公認会計士協会 「意見募集 我が国の財務諸表の表示・開示に関する検討について」(2015年4月16日)

新日本有限責任監査法人「開示の有効性の改善に向けて(Improving disclosure effectiveness)2014年7月」

 
執筆者:園山 隆幸
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRSの会計処理と開示例第7回 IAS第11号「工事契約」

1.はじめに

今回は、IAS第11号「工事契約」の、主な論点及び開示例について紹介します。なお、基準の説明については、ニュースレターVol.15のIFRS(国際財務報告基準)第14回 IAS第11号「工事契約」をご確認ください。

2.工事契約の結合及び分割

IAS第11号の要求事項については、通常、個々の工事契約に個別に適用されますが、特定の状況下における実質を反映させるため、IAS第11号では工事契約の結合及び分割の考えが示されています。

(1)単一の契約が多数の資産を対象としている場合、以下の条件をすべて満たす場合は、個々の資産の建設は別個の工事契約として取り扱う。

① 個々の資産に個別の見積書が提示されている。

② 個々の資産について個別に取り決められており、個々の資産に関する契約の関連部分について施行者及び発注者が受諾又は拒絶することができる。

③ 個々の資産の原価と収益が区分できる。

(2)発注者が単独であるか複数であるかに関わらず、以下の条件をすべて満たす場合は、一群の契約を単一の契約として取り扱う。

① 一群の契約が一括して取り決められている。

② 一群の契約が非常に密接に相互関連しているため、事実上、全体としての利益率が定められた単一のプロジェクトの一部になっている。

③ 一群の契約が同時に又は連続的に進行する。

(3)発注者のオプションにより、追加資産の建設工事を行う場合や、追加資産の建設工事を含めるために契約が修正される場合、以下の条件のいずれかを満たす場合には、別個の契約として取り扱う。

① 追加資産が、その設計、技術又は機能において、当初の契約の対象となる資産又は資産群と著しく異なる。

② 追加資産の価格が、当初の契約価格と無関係に取り決められる。

3.工事契約収益及び費用の認識

IAS第11号では、工事契約の結果が信頼性をもって見積る事が出来る場合、工事進行基準を適用し、信頼性をもって見積もることが出来ない場合は、見積ることを妨げていた不確実性が存在しなくなるまで、工事原価回収基準を適用します。信頼性のある見積りについては、以下の3つを定めた契約をしなければ通常できないとされており、更に、企業が有効な財務予算や報告システムを有することも必要とされています。

(1)建設される資産に関する当事者の執行可能な権利

(2)交換される対価

(3)決済の方法及び条件

次に、工事進行基準を採用する際の、契約の進捗度については、その性質によりさまざまな方法が考えられますが、IAS第11号では以下の3つが挙げられています。

(1)実施した工事に対してその時点までに発生した工事契約原価が、契約の見積工事契約総原価に占める割合

(2)実施した工事の調査

(3)契約に基づく工事の物理的な完成割合

 

設例1:以下の条件における工事進捗率と、工事契約利益を求めなさい。
  ×1期 ×2期 ×3期
見積工事契約収益(①) 300,000,000円 330,000,000円 330,000,000円
発生した工事契約原価(②) 80,000,000円 110,000,000円 95,000,000円
累計工事契約原価(③) 80,000,000円 190,000,000円 285,000,000円
見積総工事契約原価(④) 270,000,000円 285,000,000円 285,000,000円

 

(1)工事進捗率(③/④)

×1期 80,000,000円/270,000,000円≒30%
×2期 190,000,000円/285,000,000円≒66.7%
×3期 285,000,000円/285,000,000円=100%

(2)工事契約利益

×1期 工事契約収益(300,000,000円×30%)=90,000,000円
  90,000,000円-80,000,000円=10,000,000円
×2期 工事契約収益:(330,000,000円×66.7%)-90,000,000円=130,110,000円
  130,110,000円-110,000,000円=20,110,000円
×3期 工事契約収益:330,000,000円-130,110,000円-90,000,000円=109,890,000円
  109,890,000円-95,000,000円=14,890,000円

 

設例2:設例1の条件下において、工事契約の成果を信頼性をもって見積もることが出来ない場合の、各年度の工事契約収益、工事契約原価及び工事契約利益を求めなさい。なお、回収可能性については問題がないものとする。

 

  ×1期 ×2期 ×3期
工事契約収益 80,000,000円 110,000,000円 140,000,000円※
工事契約原価 80,000,000円 110,000,000円 95,000,000円
工事契約利益 0円 0円 45,000,000円
※330,000,000円-80,000,000円-110,000,000円

5.開示

企業は、次の事項を開示する必要があります。

(1)会計期間の収益として認識された工事契約収益の額

(2)会計期間に認識した工事契約収益を算定するために用いた方法

(3)進行中の工事契約の進捗度を決定するために用いられた方法

また、報告期間末日時点で進行中の工事契約については次の事項を開示する必要があります。

(1)発生した原価及び認識した利益の現在までの総額

(2)前受金の額

(3)保留金の額

 

開示例

重要な会計方針

工事契約

工事契約の成果が信頼性をもって見積もることが出来る場合は、工事契約収益と工事契約原価は工事進行基準を適用しております。工事進行基準に従い、実施した工事に対してその時点までに発生した工事契約原価が、契約の見積工事契約総原価に占める割合に基づいて収益を認識しております。

工事契約の成果が信頼性をもって見積もることが出来ない場合は、工事契約収益は発生した工事契約原価のうち回収される可能性が高い範囲でのみ認識しております。

 

連結財務諸表注記

工事契約

前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した工事契約収益は、それぞれ、35,000百万円及び38,500百万円です。

前連結会計年度及び当連結会計年度における進行中の工事契約の発生した原価及び認識した利益の総額、及び前受金の額は次の通りです。

(単位:百万円)
  前連結会計年度 当連結会計年度
発生した原価及び認識した利益の総額 20,000 17,000
前受金の額 1,500 800
 
参考文献

IAS第11号「工事契約」

詳細解説IFRS実務適用ガイドブック 中央経済社 あずさ監査法人

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報23 新連携支援

1.概要

新連携とは、中小企業が事業の分野を異にする事業者と連携し、その経営資源(技術、マーケティング、商品化等)を有効に組み合わせて新事業活動を行うことにより、新市場創出、製品・サービスの高付加価値化を目指す取り組みをいいます。

今回は、こうした中小企業による新連携を支援することを目的とした制度の内、代表的なものをいくつか紹介します。また、新連携支援制度は、単に連携体を構築するのみならず、連携体の行う新たな事業をビジネスとして成功させ、成功事例をお手本として世に輩出することにより、我が国の中小企業を活性化することも目的としています。新連携計画(異分野連携新事業分野開拓計画)について、中小企業新事業活動促進法の規定に基づき、経済産業局長等の認定を受けることにより、様々な支援措置を受けることができます。

2.新連携支援について

[1] 新連携の要件

イ.異分野の中小企業が2社以上集まっていること
異分野とは日本標準産業分類の細分類が異なるものをいいますが、同分類であっても持ち寄る経営資源が異なれば異分野とします。

ロ.新事業活動を行っていること
新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売方式の導入、役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動が該当します。

ハ.需要が相当程度開拓されること
事業として成り立つ可能性が高いことと、事業の継続性が求められています。

ニ.計画期間
3~5年

ホ.財務面
当該事業において、持続的なキャッシュフローを確保し、10年以内に融資返済や投資回収が可能であり、資金調達コストも含め一定の利益をあげることが必要です。

 

[2]連携体の条件

イ.中核となる中小企業(コア企業)が存在すること

ロ.2社以上の中小企業者が参加すること

ハ.参加事業者間での規約等により、役割分担、責任体制等が明確化していること

 

[3]新連携計画の認定から事業化までの流れ

戦略会議事務局において、新連携を考えている中小企業者から相談される計画内容のうち、有望案件と判断されるものについては、個別支援チームが結成され、中小企業者とともに新連携計画を磨き上げ、計画が認定されるようサポートします。さらに、認定後においても、新連携計画に基づき確実な事業化が図られているかをフォローアップします。

戦略会議事務局には、新連携事業にあたっての相談を受け、事業計画の作成から、事業化までの一貫した支援を行うプロジェクトマネージャー等が配置されます。また、必要に応じ、中小企業診断士や販売戦略アドバイザー、技術士、税理士、公認会計士、弁護士、弁理士、商社OB、メーカー出身者などの専門家及び金融機関を含めた個別支援チームを組成し支援しています。

 

[4]代表的な新連携支援

新連携支援事業(補助金)

(1)商業・サービス競争力強化連携支援事業

支援内容 中小企業・小規模事業者が、他の事業者及び大学・公的研究機関等と連携して行う革新的なサービス開発の経費(機械装置費、人件費、マーケティング調査費等)の一部を補助します。
補助金額 初年度30百万円(2年目は初年度と同額を上限として補助)
補助率 2/3以内

 

融資の優遇措置

(2)政府系金融機関による低利融資制度

認定を受けた事業計画に基づく設備資金及び運転資金について、政府系金融機関が優遇金利で融資を行います。

貸付限度額
日本政策金融公庫(中小企業事業) 設備資金720百万円(うち運転資金250百万円)
日本政策金融公庫(国民生活事業) 設備資金72百万円(うち運転資金48百万円)
貸付利率 基準金利-0.9%
※基準利率(平成27年3月末時点、貸付期間5年の場合)
中小企業事業1.40%
国民生活事業1.65%
貸付期間 設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金7年以内(うち据置期間3年以内)
保証条件 一定の要件を満たす場合、経営責任者の個人保証を免除する制度を利用できる(中小企業事業の場合、個人保証を猶予する制度もある。)。

 

(3)高度化融資制度

4者以上が連携して行う事業に必要な生産・加工施設等の設備資金について、中小企業基盤整備機構が都道府県と協力して融資を行います。

貸付利率 無利子
貸付期間 20年以内(うち据置3年以内)
貸付割合 80%

 

信用保証の優遇措置

(4)信用保証の特例

中小企業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が債務保証する制度で、保証の特例を受けるためには、新連携計画の認定を受ける必要があります。

1) 各種保証の別枠化(それぞれ更に別枠で同額の保証を受けることができます。)

種類 保証限度額 別枠
普通保証 企業 200百万円 200百万円
組合 400百万円 400百万円
無担保保証 80百万円 80百万円
特別小口保証 12. 5百万円 12. 5百万円
売掛金債権担保保証 100百万円 100百万円

 

2) 新事業開拓保証の限度枠拡大

  保証限度額 枠拡大
新事業開拓保証 企業 200百万円 400百万円
組合 400百万円 600百万円

 

 

その他の優遇措置

(5)中小企業投資育成株式会社の特例

事業を行う中小企業者が増資等を行う場合、資本金3億円を超える株式会社であっても投資育成会社の投資対象に追加されます。

 

(6)特許料等の減免措置

技術に関する研究開発事業による成果について、中小企業が特許出願を行った場合、審査請求料・特許料(第1〜10年)を半額に軽減できます。

3.さいごに

関東経済産業局のリリースによれば、平成27年8月付けで、中小企業新事業活動促進法に基づいて、新たに7件の新連携計画が認定され、これにより、平成17年4月の同法施行以降、関東管内の認定件数は246件となったと発表しています。新たな認定計画の推進により、地域経済の更なる発展が図られるものと期待されます。

 

参考文献

平成27年度 中小企業施策利用ガイドブック

中小企業の新たな事業活動を支援します平成27年度 中小企業庁支援策のご案内

 
執筆者:公認会計士 町出 知則
 


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  明誠ニュースレター vol.59
2015年11月11日発行
発行責任者:武田剛
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