明誠グループニュースレター
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発表日時 表題
平成27年10月22日 金融庁は会計監査の在り方に関する懇談会(第1回)議事要旨(平成27年10月6日開催)を公表しました。
平成27年10月15日 日本監査役協会は改定版「監査報告のひな型」について公表しました。
平成27年10月15日 日本監査役協会は改定版「監査委員会監査基準」及び「内部統制システムに係る監査委員会監査の実施基準」について公表しました。
平成27年10月6日 日本公認会計士協会は「IT委員会実務指針第7号「受託業務のセキュリティ・可用性・処理のインテグリティ・機密保持に係る内部統制の保証報告書」及びIT委員会研究報告第45号「IT委員会実務指針第7号「受託業務のセキュリティ・可用性・処理のインテグリティ・機密保持に係る内部統制の保証報告書」の実施上の留意点」の改正」並びに「公開草案に対するコメントの概要と対応」について公表しました。
平成27年10月6日 日本公認会計士協会は公認会計士制度委員会研究資料第2号「会社法監査に関する実態調査-不正リスク対応基準の導入を受けて-」について公表しました。
平成27年10月2日 中小企業の会計に関する指針作成検討委員会は 「中小企業の会計に関する指針」の改正に関する公開草案等について公表しました。
平成27年10月1日 日本税理士会連合会は特定個人情報等の適正な取扱いに関する基本方針について公表しました。

トピック解説

 
 

品質管理レビュー制度Q&A

1.はじめに

平成27年5月の改正会社法の施行、平成27年6月のコーポレート・ガバナンスコードの適用開始に伴い、会計監査人と監査役や監査役会、監査等委員会、監査委員会(以下「監査役等」)との間で連携を強化することが求められるようになっています。両者が協力することによりコーポレート・ガバナンスの強化が図られることが期待されますが、そのためには監査役等に会計監査人の事を理解してもらう必要があります。そこで、日本公認会計士協会はこの一環として平成27年10月に「品質管理レビュー制度Q&A」を公表しました。

 今回は平成27年7月1日以降に実施される新しい品質管理レビュー制度を中心に、品質管理レビュー制度について見ていきたいと思います。

2.品質管理レビューとは

品質管理レビュー制度は、監査業務の公共性に鑑み、日本公認会計士協会会員の監査業務の適切な質的水準の維持、向上を図り、監査に対する社会的信頼を維持、確保することを目的として、社会的影響のある上場会社を監査する公認会計士又は監査法人(以下「監査事務所」という)が行う監査の品質管理状況を日本公認会計士協会がレビューする制度です(日本公認会計士協会会則第122条1項)。

この制度は、平成11年から自主規制として運用が開始され、その後も改正が繰り返されています。

改正の中で大きなものを挙げると以下の表になります。
年度 位置付け 備考
平成11年度 日本公認会計士協会の自主規制として運用開始 大規模監査法人のみに実施
平成13年度 上場会社を監査している監査事務所に適用開始
平成16年度 公認会計士法の下での制度 社会的影響の大きい会社等(公認会計士法上の大会社等)を監査している監査事務所を追加
平成19年度 上場会社監査事務所登録制度を導入
平成22年度

東京証券取引所が、

(1)上場会社については、上場会社監査事務所名簿等に登録している監査事務所の監査を義務付け

(2)新規上場会社については、品質管理レビューを受けた監査事務所の監査を義務付け

(『品質管理レビュー制度Q&A』 5ページ目より筆者が加筆修正)

 

上表の中の「上場会社監査事務所登録制度」とは、社会的影響力のある上場会社と監査契約を締結している監査事務所に対して品質管理レビューを行った結果、良好な品質管理の状況にある監査事務所の名称を公表する制度です。平成22年度に東京証券取引所がこの名簿にある監査事務所の監査を上場するための条件としたことで品質管理レビューの役割は大きなものとなりました。

3.平成27年7月から運用されている品質管理レビュー制度について

平成26年7月及び平成27年7月に日本公認会計士協会会則及び諸規則の変更が行われたことにより、品質管理レビューの制度がより精緻なものとなりました。順を追って簡潔に説明をさせていただきます。なお、『品質管理レビューQ&A』の本文で取り上げられている内容の中で、「準登録事務所名簿への登録申請要件の一部緩和」につきましては当法人が上場会社監査事務所であることから今回は割愛させていただきます。

 

[1]品質管理レビューの性格の変更

前述の通り、従来から品質管理レビュー制度は自主規制であるため「指導的性格」を持つに止まっていました。従って、品質管理基準に適合していない事項があった場合に改善勧告を行うことはあっても行政処分等が行われることはありません。しかし、監査業務に対する社会的信頼性を維持・確保し、監査制度の充実・発展を図るためには、品質管理の充実のための自助努力を促すとともにその状況を監督していく必要があることから、平成26年7月の日本公認会計士協会会則の改正により、品質管理レビュー制度の性格が「指導的性格」から「指導及び監督」に変更されました。しかし、「摘発若しくは懲戒又は監査事務所が表明した監査意見の形成に介入することを目的とするものではない」(日本公認会計士協会会則第122条3項)ということに変更はないため、今回の改正によっても日本公認会計士協会が監査事務所に対して行政処分を下すことはない点にはご留意ください。

 

[2]品質管理レビューの対象の拡大

従来の制度では、レビュー対象監査事務所とされたのは社会的影響の大きい会社等を監査している監査事務所でした。しかし、今回の改正により公認会計士法第2条第1項業務(監査業務)を行う全ての監査事務所がレビュー対象とされました。これによりレビュー対象が拡大したのですが、中核となるのは従来通り社会的影響の大きい会社等を監査している監査事務所となります。

 

[3]機動レビュー及び特別レビューの新設

従来の制度では、品質管理レビューは3年に1度(大手監査法人は2年に1度)行うことが原則とされていました。これを改正後は「定期レビュー」と呼ぶこととし、定期レビューを補完する必要がある場合に実施される「機動レビュー」制度が新設されました。機動レビューを実施することにより監査事務所の品質管理の状況を緊急に確認することができ、より機動性を持ったレビュー制度となりました。

また、監査事務所の業務管理体制の整備状況に関して法令違反の懸念がある場合など、監査に対する社会的信頼を損なうおそれがある事態に陥った場合に通常レビューとは別に臨時的に実施される特別レビュー制度が新設されました。

 

[4]品質管理レビューの結果の要約等を監査役等への提供の義務化

従来の制度では改善勧告を受けてもそれを外部に公表する義務はありませんでした。しかし、品質管理レビューの結果の要約等を監査役等へ提供することは会計監査人の監査の方法及び結果の相当性を判断する材料の一つとなります。監査事務所の品質管理の状況について両者の積極的なコミュニケーションが行われることにより監査役等とのより一層の連携が図られることが期待されるため、日本公認会計士協会は監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」を改正し、監査事務所の品質管理のシステムの整備・運用状況に関する監査人の伝達義務を明確化しました。

4.おわりに

公認会計士の監査業務に限らず、独占業務を有している職業的専門家団体は自主規制を設けています。問題のある構成員を排除できないような団体に対して一定の業務に係る独占権を与えることはできないからです。従って、自主規制は独りよがりなものではなく、一般の人々が見て十分な統制が取れていると判断できるものでなくてはなりません。

品質管理レビュー制度についても、公認会計士の監査業務に対する社会の期待に応じたものである必要があり、今回の改正はそれに応えることができるものであると筆者は感じています。

 

参考文献
日本公認会計士協会品質管理委員会 『品質管理レビューQ&A』 平成27年9月24日

 
執筆者:三宮 圭祐
 

 

持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会報告書について

1.はじめに

平成26年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014において謳われた持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進に関する検討を行うために開催した、持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会(以下、研究会という)において、統合的な企業情報開示や中長期の投資判断に有用な情報の充実、対話型の株主総会プロセスに向けた日程設定、電子化等により企業と投資家の質の高い対話を通じ相互理解を深めることにより中長期的な企業価値創造を行うための環境づくりを提言しています。

そこで議論の概要と現状の問題点の認識及び今後の方向・具体的な方策とに分け、主な内容をご紹介いたします。

2.概要

研究会においては持続的な企業価値の創造に向けて、企業と投資家が質の高い対話を行うための環境が整っているのかを念頭に、次の3点の要素について議論検討を行いました。

 

[1]企業情報開示のあり方

[2]株主総会プロセスのあり方

[3]対話を行う企業や投資家、それに関係する人々の意識や行動のあり方

3.現状の認識

近年においては、日本企業の株式保有比率について、海外の機関投資家の保有割合が増加しており、取締役会の構成やコーポレートガバナンスに関する議論が行われるようになってきており、企業の経営者に関しても自ら積極的に対応する傾向がみられます。

しかしこのような傾向がある一方、スチュワードシップ・コードによって求められる持続的成長に向けた対話はIR活動とは異なる面があるのではないかとの見解が示されています。例えば欧米の機関投資家はミーティング回数を増やし内容を全て開示するというものではなく、限られた機会で長期的な企業価値向上のための対話がなされているのではと提起されています。

そこで持続的な企業価値創造に向けて企業と投資家が質の高い対話を行うために①企業情報開示のあり方、②株主総会プロセスのあり方、並びに③対話を行う企業や投資家、それに関係する人々の意識や行動のあり方について議論、検討したものについて主要論点ごとにまとめました。

4.企業情報開示のあり方について

企業と投資家との対話に関して、企業の守りの開示、つまり企業がリスク回避的な観点から積極的な開示を行わない場合は持続的な成長に向けた対話が十分に行われず、機動的かつ積極的に現実感を持った対話ができません。また、企業が最小限の開示しか行わないのであれば、その企業は投資家から注目されず市場から排除されることになります。

上記のような問題ある中で、企業と投資家の対話を促進する観点からより良い企業情報開示を行うためには、適切なタイミングでかつ最も効果的な方法で提供されることです。開示の効率化を高めることは文章作成に係る費用や時間を節約するとともに投入している人材や時間を質の高い開示や投資家との対話に充てることができることを意味しています。

5.株主総会プロセスのあり方について

株主総会において、本来は企業と投資家との対話の一環であるにもかかわらず、現状は対話の場になっていないと指摘されています。例えば招集通知やその添付資料を作成・送付し、それが実際に投資家に届くまでに相応の時間が必要とされます。 しかし日本の企業の株主総会は通常決算日から3ヶ月以内に開催されることもあり、招集通知を受け取ってから議決権の行使のための検討期間が短く、また多くの企業が6月下旬に開催することから投資家の負担を高めているといった指摘が挙げられます。

そこで総会において議案検討や対話の質を高める観点から株主が実質的に検討し企業と株主の相互理解を深めるために必要な期間を十分に確保するため書類送付、情報展開等を効率的に行うことが重要と考えられています。

またグローバルな投資家の視点からは欧米等における通知期間である1か月前に通知を行うことが望ましいと考えられます。これには招集通知関係情報の早期Web開示や招集通知関係書類の電子化、議決権行使の電子化も併せて検討することが含められています。

6.企業と投資家の対話に向けた意識と行動

投資家は中長期の投資よりも短期志向になっているとの問題があり、企業もこの行動を止めることは市場の原理に反することになるため、規制することはできません。企業と投資家の対話の目的は持続的成長や中長期的な企業価値向上に向けた原資を確保することであり、お互いの目標達成に向けた方向性を共有することが必要であるとされています。 さらに機関投資家にとっては顧客利益最大化の観点から投資を行うことが重要です。

また対話を促進する方向に重点を置いた取組みを支援する対話支援産業により企業と投資家が対話を行うためのプロセスの徹底的な効率化、及び相互理解を深めるための情報媒介者として短期的な判断に資する情報ではなく中長期的な情報により分析・評価し投資家が適切に評価できるような形で提供する役割が重要となります。

7.おわりに

企業と投資家の対話は相互理解により企業の持続的成長に向け収益力を向上し、人材設備等の投資余力を高めることになります。長期的投資により持続的な収益を得られるようになり、日本の産業・経済を活発にさせることになります。そのためにも企業と投資家との質の高い対話を行える対話環境が今後非常に重要な課題になると考えます。

 

出展・参考文献

経済産業省「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会」報告書

 
執筆者:園山 隆幸
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRSの会計処理と開示例第8回 IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」

1.はじめに

今回は、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の、主な論点及び開示例について紹介します。なお、基準の説明については、ニュースレターVol.22のIFRS(国際財務報告基準)第21回 IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」をご確認ください。

2.リストラクチャリング引当金

日本基準においては明確な定めはありませんが、IAS第37号では、リストラクチャリング費用に関する引当金に関する規定 があります。ここで、リストラクチャリングとは、経営者が立案し統制している計画で、企業が従事する業務の範囲、事業を運営する方法のいずれかを大きく変更するものであり、一事業部門の売却や撤退、経営管理構造の変更等が例として挙げられています。

 

【1】認識

リストラクチャリング費用に関する引当金は、次に掲げる推定債務の条件を満たす場合に認識します。

(1)企業がリストラクチャリングについて、少なくとも以下の事項に関する詳細な公式計画を有している。

(a) 関係する事業

(b) 主たる影響を受ける事業所

(c) 雇用契約終結により補償対象となる従業員の勤務地、職種及び概数

(d) 企業が負担する支出

(e) 当該計画の実施時期

 

(2)企業がリストラクチャリング計画を開始又は、リストラクチャリングの影響を受ける人々に主要な内容を公表することによって、リストラクチャリングの実行に関する合理的な期待を生じさせている。

なお、リストラクチャリング計画が推定的債務としての要件を満たすためには、リストラクチャリングをなるべく早く開始し、計画に対する重要な変更が生じ得ないような期間内に完了するように計画されている必要があります。

 

【2】引当金に含まれるコスト

リストラクチャリング引当金に含めるコストは、次の2つの条件を満たすものでなければなりません。

(1)リストラクチャリングに必然的に伴うもの。

(2)企業の継続的な活動に関連しない。

なお、雇用を継続する従業員の再教育や配置転換コスト等は、将来の事業遂行に関連するものであるため、リストラクチャリング引当金に含めてはなりません。

3.不利な契約

リストラクチャリング引当金と同様に、日本基準においては明確な定めはありませんが、企業が不利な契約を有している場合には、その契約による現在の債務を引当金として測定・認識しなければなりません。ここで、不利な契約とは、契約による義務を履行するための不可避的なコストが、当該契約により受け取ると見込まれる額を上回る契約をいいます。

例えば、日常的な購買注文のような多くの契約については、相手に対し補償金を支払うことなく解約することができるため、不利な契約には該当しませんが、IAS第37号では、例として、企業が新しい工場に移転した後も、オペレーティング・リースにより継続的に賃貸している旧工場について、解約不能、かつ、工場を他の利用者に転貸することもできない契約を不利な契約に挙げています。

4.開示

IAS第37号における開示事項は以下の通りです。

【1】引当金

(1)期首と期末における引当金の計上金額

(2)既存の引当金の増加も含む、期中の引当金増加額

(3)期中に使用された金額

(4)期中に未使用で取り崩された金額

(5)現在価値で計上されている引当金について、時間の経過によって発生した期中増加額及び割引率の変更による影響額

(6)債務の内容についての簡潔な説明及び経済的便益の流出が予測される次期

(7)流出の金額及び時期に関する不確実性の内容

(8)予想されている補填の金額、予想されている補填について認識されている資産の金額

 

【2】偶発負債

報告期間の末日における偶発負債の種類ごとに、内容についての簡潔な説明実行可能な場合には、

(1)偶発負債の財務上の影響の見積額

(2)流入の金額又は時期に関する不確実性の内容

(3)補填の可能性

 

【3】偶発資産

(1)報告期間の末日における偶発資産の簡潔な内容

(2)実行可能な場合には、偶発資産の財務上の影響の見積額

 

開示例

重要な会計方針

引当金

引当金は、過去の事象の結果として法的又は推定的な現在の債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額につき信頼性のある見積りができる場合に計上しています。

貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、引当金額は債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で測定しています。

 

連結財務諸表注記

引当金

(1)調整表及び内訳

 (単位:千円)
  返品調整引当金 その他の引当金 合計
平成×1年4月1日残高 5,000 7,000 12,000
期中増加額 7,300 4,000 11,300
期中減少額(目的使用) △5,000 △3,500 △8,500
期中減少額(戻入) △2,000 △2,000

 

  返品調整引当金 その他の引当金 合計
平成×2年3月31日残高 7,300 5,500 12,800
期中増加額 6,000 3,000 9,000
期中減少額(目的使用) △7,300 △2,000 △9,300
期中減少額(戻入) △3,000 △3,000
平成×3年3月31日残高 6,000 3,500 9,500

 

平成×2年3月31日残高 返品調整引当金 その他の引当金 合計
流動負債 7,300 2,500 9,800
非流動負債 - 3,000 3,000
合計 7,300 5,500 12,800

平成×3年3月31日残高 返品調整引当金 その他の引当金 合計
流動負債 6,000 1,500 7,500
非流動負債 - 1,200 2,000
合計 6,000 3,500 9,500

 

(2)引当金の概要及び経済的便益の流出が予測される時期等

当社グループが計上している引当金の概要及び経済的便益の流出が予測される時期は以下の通りであります。

 

①返品調整引当金

期末日に予測される売上返品による損失に備えるため、過去の返品率等を勘案し、将来の返品に伴う損失予測額を計上しております。

主に1年以内に支払われることが見込まれております。

 
参考文献

IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」

詳細解説IFRS実務適用ガイドブック 中央経済社 あずさ監査法人

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報24 中小企業労働環境向上助成金

1.概要

今回は、中小企業労働環境向上助成金について解説していきます。

中小企業労働環境向上助成金は、雇用管理制度(評価・処遇制度、研修体系制度、健康づくり制度)の導入などを行う健康・環境・農林漁業分野等の事業を営む中小企業事業主(重点分野関連事業主)に対して助成するもので、雇用管理改善を推進し、人材の定着・確保を図ることを目的とするものです。

このうち介護関連事業主の場合は、介護福祉機器の導入も助成対象となります。

2.助成金の概要

種類 雇用関係
管轄 厚生労働省
業種・形態 厚生労働省が指定する重点分野等の事業を営む事業主
※詳細は下記記載
助成金額
雇用管理制度助成:

①40万円以下

②30万円以下

③30万円以下

助成率:雇用管理制度助成:定額
介護福祉機器等助成:300万円以下 介護福祉機器等助成:1/2以内
公募時期 随時
要件・条件の概要

【雇用管理制度助成】

中小企業事業主が、労働者の労働環境の向上を図るために、雇用管理改善につながる制度等を導入し、適切に実施した場合を対象に、導入した制度(下記記載の措置)に応じた定額を支給します。

①評価・処遇制度の導入

評価・処遇制度、昇進・昇格基準、賃金体系制度、諸手当制度のいずれかの制度を導入すること。

②研修体系制度の導入

職務の遂行に必要な能力等を付与するため、カリキュラム内容、時間等を定めた職業訓練・研修制度を導入すること。

③健康づくり制度の導入

人間ドック、生活習慣病予防検診、腰痛健康診断、メンタルヘルス相談のいずれかの制度を導入すること。

 

【介護福祉機器等助成】

介護関連事業主が、介護労働者の身体的負担を軽減するために、新たに介護福祉機器を導入し、適切な運用を行うことにより、労働環境の改善がみられた場合を対象に、 介護福祉機器の導入費用の1/2を支給します。

重点分野等の事業

本助成の対象となる健康・環境・農林漁業分野等の事業(以下、「重点分野等の事業」といいます。)を営む事業主とは、下表に掲げる分野の事業を営む事業主をいいます。なお、他の事業と兼業していても差し支えありません。
大分類A-農業・林業
大分類B-漁業
大分類D-建設業(うち健康・環境・農林漁業分野に関する建築物を建築しているもの)
大分類E-製造業(うち健康・環境・農林漁業分野に関する製品を製造しているもの、またはこの分野に関する事業を行う事業所と取引関係にあるもの)
大分類F-電気・ガス・熱供給・水道業の中の中分類33-電気業
大分類G-情報通信業
大分類H-運輸業・郵便業

大分類L → 中分類71-学術・開発研究機関

(このうち、健康、環境、農林漁業分野に関連する技術開発を行っているもの)

大分類N → 中分類80 → 小分類804-スポーツ施設提供業 (例)フィットネスクラブ

大分類O → 中分類82 → 小分類824 → 細分類8246-スポーツ・健康教授業

(例)スイミングスクール

大分類P-医療、福祉
大分類R → 中分類88- 廃棄物処理業 (例)ごみ処分業
介護福祉機器等の導入が助成対象となる介護関連事業主

本助成金のうち、介護福祉機器等の導入が助成対象となる事業主は、導入する事業所において以下のような介護サービスの提供を業として行う事業主になります。なお、他の事業と兼業していても差し支えありません。

 

<都道府県が指定・監督>

居宅サービス 施設サービス

・訪問介護

・訪問入浴介護など

・介護福祉施設サービス

・介護保健施設サービス

居宅介護支援 介護予防サービス
・居宅介護支援

・介護予防訪問介護

・介護予防訪問入浴介護など

 

<市町村が指定・監督>

地域密着型サービス 地域密着型介護予防サービス

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護

・夜間対応型訪問介護など

・介護予防認知症対応型通所介護

・介護予防小規模多機能型居宅介護など

介護予防支援  
・介護予防支援

 

 

<その他サービス>

・障害福祉サービス

・その他、厚生労働大臣が定める福祉サービスまたは保健医療サービスなど

 

なお、上記に記載しているものは、対象となる介護サービスの一部ですので詳細は、末尾の参考文献等に記載した厚生労働省のパンフレットを参照ください。

助成金の支給までの流れの概要

助成金の支給までの手続きの概要

「雇用管理制度助成」の申請から支給までの手続き 「介護福祉機器等助成」の申請から支給までの手続き
①「雇用管理制度整備計画」を作成し、労働局に提出 ① 「導入・運用計画」を作成し、労働局に提出
②認定された「雇用管理制度整備計画」に基づき、雇用管理制度を導入 ② 認定された「導入・運用計画」に基づき、介護福祉機器の導入、運用
③雇用管理制度の実施 ③ 介護福祉機器の導入効果を把握
④支給申請手続き ④ 支給申請手続き

3.おわりに

助成金の支給手続きにおける各種計画に記載するべき内容・提出書類の様式など、本文では割愛させていただきました詳細については下記を参照ください。

 

参考文献

中小企業労働環境向上助成金のご案内

 
執筆者:竹内 史明
 


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  明誠ニュースレター vol.60
2015年12月15日発行
発行責任者:武田剛
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