明誠グループニュースレター
情報フラッシュ

[ 連載記事 ]

[ トピック解説 ]

 
 

情報フラッシュ

 
発表日時 表題
平成28年4月21日 日本公認会計士協会は「監査基準委員会研究報告第1号「監査ツール」の改正について」の公開草案を公表しました。
平成28年4月22日 企業会計基準委員会は実務対応報告公開草案第46号「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)」について公表しました。
平成28年4月27日 日本公認会計士協会は専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」について公表しました。
平成28年4月27日 日本公認会計士協会は監査・保証実務委員会研究報告「専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」に係るQ&A」の公開草案について公表しました。
平成28年4月27日 中小企業の会計に関する指針作成検討委員会は改正「中小企業の会計に関する指針」について公表しました。
平成28年4月28日 日本公認会計士協会は倫理委員会研究報告第1号「監査人の独立性チェックリスト」及び同第2号「監査法人監査における監査人の独立性チェックリスト」の改正について公表しました。
平成28年5月26日 企業会計基準委員会は企業会計基準適用指針公開草案第54号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」について公表しました。
平成28年5月27日 日本公認会計士協会は「IT委員会実務指針第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」」及び「IT委員会研究報告第34号「IT委員会実務指針第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」Q&A」」の公開草案について公表しました。
平成28年6月1日 日本公認会計士協会は「職業倫理ガイドブック」について公表しました。
平成28年6月2日 企業会計基準委員会は実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等について公表しました。
平成28年6月10日 日本公認会計士協会は業種別委員会実務指針「金融商品取引業者における顧客資産の分別管理の法令遵守に関する保証業務に関する実務指針」の公開草案について公表しました。
平成28年6月14日 日本公認会計士協会は「職業倫理に関する必携ガイド」について公表しました。
平成28年6月21日 日本公認会計士協会は監査基準委員会研究報告第1号「監査ツール」の改正について公表しました。
平成28年6月24日 日本公認会計士協会は「品質管理レビューの概要(平成27年度)」について公表しました。

トピック解説

 
 

収益認識に関する包括的な会計基準の開発の意見の募集について (後編)

平成28年2月4日に企業会計基準委員会(以下、ASBJ)は、「収益認識に関する包括的な会計基準の開発の意見の募集」(以下、本意見募集)を公表しました。ニュースレター前編では、仮にIFRS第15号に基づき収益認識を行った場合の主要な影響15項目のうち7項目につき確認を行いました。ニュースレター後編では残りの8項目につき確認を行います。

 

論点8 独立販売価格に基づく配分

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 複数の履行義務を識別する取引
具体例

① 機械の販売と据付サービスや保守サービス、ソフトウェア開発とその後のサポート・サービスの複合契約

② 商品の販売やサービスの提供に伴いポイントを付与する取引

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 日本基準では、工事契約とソフトウェア取引を除いて、取引の会計処理単位への分割に関する一般的な定めはなく、取引価格の配分についても一般的な定めはない。 契約開始時に企業は、顧客との契約に含まれる財又はサービスの提供について評価し、顧客に別個の財又はサービスを移転する約束のそれぞれを履行義務として識別する。そして顧客との契約において複数の履行義務を識別する場合、各履行義務に契約の取引価格を配分する。

 

論点9 ① 一定の期間にわたり充足される履行義務(進捗度を合理的に算定できる場合)

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 一定期間にわたって継続的にサービスを提供する契約や、一定期間で製品を製造する契約
具体例 輸送サービス、管理や事務代行等のサービス提供取引、ソフトウェア開発やビル建設等の長期の個別受注取引等、幅広い業務

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 工事契約や受注制作のソフトウェアについては、工事の進行途上においてその進捗部分について成果の確実性が認められる場合は工事進行基準が適用され、それ以外の場合は工事完成基準が適用される。 一定の要件(*1)のいずれかに該当する場合には、企業は財又はサービスに対する支配を一定の期間にわたり移転するため、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識することが要求されている。また履行義務が一定の期間にわたり充足されるものではない場合には、当該履行義務は一時点で充足され収益が一時点で認識される。

*1 一定の要件

 

(1) 顧客が、企業の履行によって提供される便益を、企業が履行するにつれて同時に受け取って消費する(主にサービスの提供。例えば、清掃サービス)。

(2) 企業の履行が、財又はサービス(例えば、仕掛品)を創出するか又は増価させ、顧客が当該財又はサービスの創出又は増価につれてそれを支配する。

(3) 企業の履行が、企業が他に転用できる財又はサービスを創出せず、かつ、企業が現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を有している。

 

論点9 ② 一定の期間にわたり充足される履行義務(進捗度を合理的に測定できない場合)

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 収益や原価等の見積りの策定に工事開始後一定期間を要する工事
具体例 長期の工事契約(契約締結後、契約に関する予算が完成する前の履行初期段階等においては、工事進捗度を信頼性をもって見積ることができないもの)

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 工事契約等に関して、工事の進行途上においてその進捗部分について成果の確実性が認めらない場合には工事完成基準が適用される。 進捗部分について成果の確実性が認められない場合において、工事原価を発生した期間に費用として認識しつつ、工事原価のうち回収可能性が高い部分についてのみ工事収益を計上する方法(工事原価回収基準)が適用される。

 

論点10 一時点で充足される履行義務

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 物品の販売契約や輸出契約等の取引
具体例 出荷してから顧客による検収までの期間が一定程度ある取引

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 出荷基準、引渡基準及び検収基準等が、取引の性質を考慮の上使い分けられている。また割賦販売基準を用いる場合がある。 約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足した時に(又は充足するにつれて)、収益を認識する。

 

論点11 顧客の未行使の権利(商品券等)

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 将来の財又はサービスに対する支払が前もって行われるような取引
具体例 商品券、旅行券、食事券、ギフト券の発行を伴う取引

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い

(負債の認識)

実務上、顧客から事前に対価を受領する時に前受金等の負債を認識している。

 

(負債の認識の中止)

実務上商品を提供した段階で負債の認識を中止し、収益を認識する。

また実務上、前受時点から一定期間経過後に残存部分がある場合、法律上債務性が残っている可能性があるものでも債務履行の可能性を考慮して一定の要件を満たす場合には負債計上を中止する会計処理を行う場合がある。この場合債務履行の負債計上の中止処理後、将来返還(支払)請求に応じた場合に費用が発生するリスクがあるため、引当金計上の要否を検討する必要がある。

(負債の認識)

顧客から前払金を受け取った時に将来において財またはサービスを移転するという履行義務について契約負債を認識する。

(負債の認識の中止)

企業が履行義務を充足したときに契約負債の認識を中止し、収益を認識する。

また顧客が返金義務のない形で前払金を支払った場合には、その時点で非行使部分(breakage)につき顧客がその権利を行使しないことが見込まれるか否かにより以下のように処理する。

① 顧客が権利を行使しないことが見込まれる非行使部分に係る収益を顧客が権利を行使するパターンに比例して認識する。

② ①以外
顧客が残りの権利を行使する可能性がほとんどなくなったときに収益として認識する。

 

論点12 返金不能の前払報酬

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 財又はサービスを提供する前に顧客より受け取る対価が返金義務のない場合
具体例

サービス業における入会金や電気通信契約の加入手数料等

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 日本基準では、返金義務のない入会金等に係る収益認識に関する一般的な定めはない。日本基準における実務では、入金時に一括して収益を認識する処理や収益を契約期間にわたって配分する処理が見受けられる。 返金不能の前払報酬がどの財又はサービスの移転に関連しているかを判断し、将来顧客に引き渡す財又はサービスに関連している場合は、将来の財又はサービスが提供された時に(又は提供するにつれて)収益を認識する。

 

論点13 本人か代理人かの検討(総額表示又は純額表示)

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 企業間の取引を仲介するケース
具体例

卸売業における取引、小売業におけるいわゆる消化仕入や返品条件付買取仕入、メーカーの製造受託の取引や有償支給取引及び電子商取引サイト運営に係る取引等

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い ソフトウェア取引においては一連の営業過程における仕入及び販売に関して通常負担すべき様々なリスク(瑕疵担保、在庫リスクや信用リスク)を負っていない場合には、総額表示は適切ではないとされている。(他の取引については総額か純額かにつき一般的な定めは存在しない。) 代理人か否かの判定を行い、代理人と判定された場合、収益を純額で認識する。

 

論点14 第三者に代わって回収する金額(間接税等)

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引 企業の財又はサービスの提供に関連して、第三者に支払を行う場合
具体例

たばこ税、揮発油税、酒税等

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 日本基準では、企業が第三者に代わって顧客から回収する金額を収益から除いて表示するか否かについて、消費税の会計処理を除き、特段の定めはない。(たばこ、揮発油、酒類を製造販売する企業においては、実務上税相当額を売上高及び売上原価に含めて表示している例が多いと考えられる。) 取引価格に第三者に代わって回収する金額を含めることはできないこととされている。

 

論点15 顧客に支払われる対価の表示

・影響を受ける取引及び具体例

影響を受ける取引

企業が顧客に対して、返金や値引きを行う場合

具体例

① キャッシュバック若しくは値引きを行う場合

② 不特定多数に配布されるクーポン若しくはバウチャーを顧客が使用する場合

③ 顧客に売上リベートを支払う場合

 

・日本とIFRS第15号の差異

  日本基準又は日本基準における実務 IFRS第15号
取扱い 日本基準では、顧客への支払の表示に関する一般的な定めはない。実務上は、収益から控除する表示と営業費用として処理する表示のいずれも見受けられる。 顧客への支払は、企業に移転される別個の財又はサービスに対する支払である場合を除き、取引価格(収益)から減額される。

 

 

出典・参考文献

収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集

 
執筆者:公認会計士 石川 裕也
 

 

平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱いについて

1.はじめに

平成28年度における法人税の税制改正では、収益力のある企業等の税負担を軽減するための法人税率の引き下げ改正が目玉となりました(明誠ニューズレター Vol.62、「平成28年税制改正大綱の解説」を参照)。法人税の税率は、23.9%から23.4%(平成28年4月1日以後に開始する事業年度)、23.2%(平成30年4月1日以後に開始する事業年度)へと段階的に引き下げられていきます。それにより、法人税や法人住民税、法人事業税等を含めた実質的な負担を示す実効税率は、32.11%から29.74%まで引き下げられます。

一方で、財源確保のために、法人税率の低下による減収分を、課税ベースの拡大によって補填することになり、平成28年度税制改正では、法人事業税の外形標準課税の拡大、欠損金繰越控除の見直し、減価償却制度の見直しなどの改正が行われました。

今回は、この減価償却制度の見直しに対応するかたちで、平成28年6月17日に企業会計基準委員会から公表された「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」(以下、「本実務取扱い」という。)について解説します。

2.減価償却方法の変更について

これまで、建物付属設備や構築物については、法人税法上、定額法と定率法の2つの減価償却方法が認められてきました。しかし、今回の税制改正により、定率法の適用ができなくなり、定額法に一本化されることになりました。これは、平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備や構築物から適用されます。

定率法であっても定額法であっても、減価償却をするトータルの金額は同じですので、長期的に見れば税額計算に与える影響に変わりはありません。しかし、定率法を適用した場合は、固定資産を取得した初期のうちに多額の減価償却費を計上することができます。そのため、建物付属設備や構築物を取得した場合に、定率法により減価償却をすれば、取得した当初は多額の減価償却費を計上でき、納付すべき法人税等の額は一般的に少なくなります。そのため、定率法を採用していると、投資直後は税金の支出額を抑えることができ、企業等の資金繰りは楽になることが考えられます。

しかし今後は、建物付属設備や構築物について定額法しか適用できなくなり、定率法と比べて初期の減価償却費は減ることになりますので、投資直後は税負担が増えてしまい、資金繰りの負担が一時的に重くなることが考えられます。

3.実務取扱いの内容

本実務取扱いは、上記の税制改正に合わせて、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備と構築物について、減価償却方法を定額法に変更する場合に、これが正当な理由に基づく会計方針の変更に該当するかについての取扱いが示されています。

本実務取扱いの結論としては、「従来、法人税法に規定する普通償却限度相当額を減価償却費として処理している企業において、建物附属設備、構築物又はその両方に係る減価償却方法について定率法を採用している場合、平成28年4月1日以後に取得する当該資産に係る減価償却方法を定額法に変更するときは、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うものとする。」とされています。

また、この場合には、以下の事項を注記することとされています。

(1) 会計方針の変更の内容として、法人税法の改正に伴い、本実務対応報告を適用し、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備、構築物又はその両方に係る減価償却方法を定率法から定額法に変更している旨

(2) 会計方針の変更による当期への影響額

4.実務取扱いの制定の背景

会計方針の変更は、①会計基準等の改正に伴う会計方針の変更と、②それ以外の自発的に行う会計方針の変更に分類されます(企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」、第5項)。

減価償却方法は、固定資産の使用方法など、企業活動の実態に合った方法を選択するべきとされています。そのため、建物付属設備や構築物の減価償却方法について定率法が適切としていた企業が、今回の税制改正に合わせて、減価償却方法を一律に定額法に変えることが適切なのかという議論があると思います。すなわち、企業の実態からみて、定率法を用いて減価償却をすることがより適切であるのであれば、会計上は今後も定率法で減価償却方法を続けていき、税金の申告をするときにのみ定額法で計算し直すという方法をとることが適切とも考えられます。

しかし一方で、これまで一定程度、いわゆる税法基準による会計処理が容認されてきた会計実務慣行を考えれば、このような原則論を貫くことも、実務上、混乱を招く可能性があります。

そこで、本実務取扱いでは、以下のような理由から、平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備や構築物の減価償却方法を定額法に変更するときは、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うものとされました。

(1) 一般的に、建物附属設備や構築物の減価償却費については、建物や機械等の減価償却費に比較して重要ではないことが多いと考えられ、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物の減価償却方法を定額法に変更することによる財務諸表への影響は限定的であると考えられること

(2) 今回の税制改正に合わせて会計方針を変更することについては、客観的な事実に基づいて行われるものであり、いわゆる みだりに会計方針を変更することにはあたらず、変更の適時性に関する趣旨と矛盾するものではないこと

(3) 建物附属設備は、基本的に、建物本体に付随する同一用途の固定資産であると考えられ、構築物についても建物と同一用途の固定資産であるとみなせるケースがあると考えられる。よって、建物に合わせて、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物について定額法を採用することは、会計処理の整合性を高める可能性があると考えられること

5.おわりに

今回の税制改正に合わせて、建物付属設備と構築物の減価償却方法を定額法に変更する企業が多いと思われますが、その変更が、自発的な変更ではなく、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われることで、その変更を行いやすい環境が整えられたと言えると思います。

 

出典・参考文献

・企業会計基準委員会、平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い、企業会計基準委員会

 
執筆者:公認会計士・社会保険労務士 吉田 隆伸
 

連載記事

 
 

ActiveDataによる不正監査手続はお休みさせて戴きます。

 

 

シリーズIFRSの会計処理と開示例第13回 IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」

1.はじめに

今回は、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」の、開示項目及び開示例について紹介します。なお、基準の説明については、ニュースレターVol.6のIFRS(国際財務報告基準)第5回 IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」をご確認ください。

2.開示

IAS第8号における開示事項は以下の通りです。

【1】会計方針の変更

(1)基準書又は解釈指針書を初めて適用することによる会計方針の変更の場合

修正額を算定することが実務上不可能な場合を除いて、企業は以下の事項を開示しなければなりません。

(a)当該IFRSの名称

(b)該当する場合には、会計方針の変更が経過規定に従って行われた旨

(c)会計方針の変更の内容

(d)該当する場合には、経過規定の概要

(e)該当する場合には、将来の期間について影響を及ぼす可能性がある経過規定

(f)当期及び表示されている各過年度について、実務上可能な範囲で、次の事項に関する修正額

(ⅰ)影響を受ける財務諸表の各表示項目

(ⅱ)IAS第33号「1株当たり利益」が企業に適用される場合、基本的及び希薄化後1株当たり利益

(g)実務上可能な範囲で、表示されている期間より前の期間に関する修正額

(h)IAS第8号が要求している遡及適用が特定の過年度又は表示されているより前の期間について実務上不可能となる場合には、そのような状態に至った状況及び会計方針の変更がどのように、そしていつから適用されているかについての記載

 

(2)会計方針の任意の変更の場合

修正額を算定することが実務上不可能な場合を除いて、企業は以下の事項を開示する必要があります。

(a)会計方針の変更の内容

(b)新しい会計方針の適用が、信頼性が高くより適切な情報を提供する理由

(c)当期及び表示されている各過年度について、実務上可能な範囲で、次の事項に関する修正額

(ⅰ)影響を受ける財務諸表の各表示項目

(ⅱ)IAS第33号が企業に適用される場合、基本的及び希薄化後1株当たり利益

(d)実務上可能である範囲で、表示されている期間より前の期間に関する修正額

(e)遡及適用が特定の過年度又は表示されているより前の期間について実務上不可能な場合には、そのような状態に至った状況及び会計方針の変更がどのように、そしていつから適用されているかについての記載

 

(3)新会計基準の影響の記載

企業が、公表されているが、まだ発効していない新しい基準書や解釈指針書を適用していない場合には、その旨を開示する必要がありますが、次の事項も併せて開示することを検討する必要があります。

(a)新しい基準書又は解釈指針書の名称

(b)近い将来行われる会計方針の変更の内容

(c)基準書又は解釈指針書の適用が要求される日付

(d)企業が最初に基準書又は解釈指針書を適用しようと計画している日付

(e)次のどちらか

(ⅰ)基準書又は解釈指針書を最初に適用するときに企業の財務諸表に及ぼすと思われる影響についての検討

(ⅱ)当該影響が不明である、又は合理的に見積ることができない場合、その旨の説明

 

開示例

(会計上の見積りの変更)

退職給付に係る会計処理において、当社従業員の平均残存勤務期間延長に伴い、当事業年度より数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理年数を15年から17年に変更しております。

これにより、当事業年度の営業利益及び経常利益は200百万円増加し、税引前当期純利益は270百万円増加しております。

 

(有形固定資産の耐用年数の変更)

従来、工具、器具及び備品の主な耐用年数は7年として減価償却を行ってきましたが、耐用年数の見直しを行った結果、従来の耐用年数よりも長期に使用可能であることが明らかになったため、工具、器具及び備品の主な耐用年数を10年に変更しました。

これにより、当事業年度の営業利益は50百万円増加し、経常利益および税引前当期純利益は60百万円増加しています。

【3】誤謬の訂正

過年度の誤謬について訂正が行われた場合には、下記の開示が必要となります。

(1)過年度の誤謬の内容

(2)表示対象となる各期間について、実務上可能な範囲における下記の事項に関する修正額

(ⅰ)影響を受ける財務諸表の各表示項目

(ⅱ)IAS第33号が企業に適用される場合には、基本的及び希薄化後1株当たり利益

(3)表示対象となる最も古い期間の期首における修正額

(4)遡及的修正再表示が特定の過年度について実務上不可能な場合には、そのような状態が存在するに至った状況及び誤謬がどのように訂正され、そしていつから訂正されているかの説明

 
参考文献

IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」

 
執筆者:公認会計士 関 和輝
 

 

中小企業お役立ち情報30 セーフティネット保障制度

1.はじめに

今回はセーフティネット保障についてご紹介させて頂きます。

セーフティネット保障制度とは中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会の一般の保証枠と共に特別枠を利用することにより通常より多くの保証枠を利用することができる制度です。この特別枠は倒産等の事業活動が困難となった中小企業者に経営の安定等を図るために特別に認められる制度であります。

2.対象中小企業者

セーフティネット保障制度の対象となる中小企業者は次の1号から8号までの経営環境の急激な変化等に直面し、経営の安定に支障が生じている中小企業であり、事業者の所在地を管轄する市区町村の認定を受けた方が対象となります。1号から4号、7号の要件については案件毎に経済産業大臣が指定します。

 

1号: 大型倒産発生により影響を受けている中小企業者

民事再生手続開始の申立等を行った大型倒産事業者に対し売掛金債権等を有していることにより資金繰りに支障が生じている中小企業者を支援するための措置であり、次のいずれかの要件を満たす中小企業者が対象となります。

①当該事業者に対して50万円以上の売掛金債権等を有している中小企業者

②当該事業者に対し50万円未満の売掛金債権等しか有していないが、当該事業者との取引規模が全体の20%以上である中小企業者

 

2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限

生産量の縮小、販売量の縮小、店舗の閉鎖などの事業活動の制限を行っている事業者と直接・間接的に取引を行っていること等により売上等が減少している中小企業者を支援するための措置であり、次のいずれかの要件を満たす中小企業者が対象となります。

①当該事業者と直接取引を行っており、当該事業者に対する取引依存度が20%以上で、当該事業活動の制限を受けた後の3ヶ月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上となる見込みの中小企業者

②当該事業者と間接的な取引を行っており、当該事業者に対する取引依存度が20%以上で、当該事業活動の制限を受けた後の3ヶ月間の売上等が前年同期比マイナス20%以上となる見込みの中小企業者

③当該事業者の近隣に事務所を有しており、当該事業活動の制限を受けた後の3ヶ月間の売上等が前年同期比マイナス20%以上となる見込みの中小企業者

 

3号: 突発的災害(事故等)により影響を受ける中小企業者

指定地域内において一年以上継続して事業を行っており、災害等の影響を受けた後の3ヶ月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上となる見込みの中小企業者

 

4号: 突発的災害(自然災害等)により影響を受ける中小企業者

指定地域内において、一年以上継続して事業を行っており、災害等の影響を受けた後の3ヶ月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上となる見込みの中小企業者

 

5号: 全国的に業況の悪化している業種に属する中小企業者

次のいずれかの要件を満たす中小企業者が対象となります。

①指定業種に属する事業を行っており、最近3ヶ月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者

②指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原材料費の仕入価格が20%以上、上昇しているものの製品等の価格に転嫁できていない中小企業者

 

6号: 金融機関の破綻により資金繰りが悪化している中小企業者

破綻した金融機関との金融取引に支障を来しており、その正常化を図るために破綻金融機関等からの借入金の返済を含めた資金調達が必要となっている中小企業者

 

7号: 金融機関の相当程度の経営合理化に伴って借入が減少している中小企業者

経営の合理化を実施している金融機関に対する取引依存度が10%以上であり、当該金融機関からの借入残高が前年同期比マイナス10%以上で、すべての金融機関からの直近の総借入残高が前年同期比で減少している中小企業者

 

8号: 整理回収機構(RCC)に貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、再生可能性があると判断される者

すべての金融機関からの総借入残高が前年同期比で減少し、適切な事業再生計画を作成し、RCCに対す る債権について返済条件の変更を受けている中小企業者

3. 保証限度額

別枠の限度額は下記のとおりであり、普通保証と無担保保証を組み合わせることにより最大で2億8,000万円の別枠の保証額を利用することができます。

(一般保証限度額)   (別枠保証限度額)
普通保証 2億円以内 普通保証 2億円以内(※)
無担保保証 8,000万円以内 無担保保証 8,000万円以内
無担保無保証人保証 1,250万円以内 無担保無保証人保証 1,250万円以内

※セーフティネット保証6号の場合の普通保証の別枠保証限度額は3億円以内となっています。

4. 保証率

保証料率はおおむね1%以内でありますが、詳しい内容については各保証協会及び各保証制度毎に定められています。

5. 利用方法

この制度を利用する際は次の①から③の流れに沿って手続きを行っていきます。

①対象となる中小企業者は所在地の市区町村の商工担当課等の窓口に認定申請書2通を提出する。

②提出した認定申請書が市区町村の認定を受けると、認定書が交付される。

③交付された認定書を金融機関または信用保証協会に持参し、保証付き融資を申し込む。

 

出典・参考文献等

・中小企業庁「セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項」

 
執筆者:園山 隆幸
 


    明誠グループ    
明誠監査法人   明誠リサーチアンドコンサルティング
明誠税理士法人   明誠労務管理事務所

  明誠ニュースレター vol.66
2016年7月29日発行
発行責任者:武田剛
※このニュースレターに含まれる文章、画像の無断転載はご遠慮ください。