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発表日時 表題
平成28年11月9日 企業会計基準委員会は企業会計基準公開草案第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」の公開草案について公表しました。
平成28年11月24日 日本監査役協会は「会計不正防止における監査役等監査の提言-三様監査における連携の在り方を中心に-」について公表しました。
平成28年11月24日 日本監査役協会は「『コーポレートガバナンス・コード(第4章)』の開示傾向と監査役としての視点-適用初年度における開示分析-」について公表しました。
平成28年11月24日 日本監査役協会は「選任等・報酬等に対する監査等委員会の意見陳述権行使の実務と論点-中間報告としての実態整理-」について公表しました。

トピック解説

 
 

「違法行為への対応」に関する新規定の公表について

1.はじめに

国際会計士連盟(IFAC)の国際会計士倫理基準審議会(IESBA)から、新規定「違法行為への対応」が2016年7月14日付けで公表されました。

本規定は、職業会計士が、業務を実施する過程で、違法行為又はその疑いに気付いた場合の対応について規定したものであり、全ての職業会計士(会計事務所等所属の職業会計士及び企業等所属の職業会計士)に対して2017年7月15日から適用されるものです(早期適用可)。

2.本基準の重要性

IESBA倫理規定は、国際的な一つの倫理基準として、会計専門家が公共の利益のために行動することをサポートする役割を担っています。本基準は、多数の様々な利害関係者との調整や強固なデュープロセスを経て、6年間にもわたる広範囲の議論の結果を取りまとめたものです。

本基準は、当局に違法行為を通報するために、倫理規定で要求される守秘義務への遵守が求められないことが職業会計士に認められた最初の基準です。会計専門家を、財務諸表の不正・マネーロンダリング及び賄賂などの違法行為に対して国際的に対処する、より重要な役割を担う者として位置付けており、法令違反から生じる重大な損害から利害関係者と社会一般を守る一助となり、職業会計士に対する評判を高めるものとなることが期待されています。

3.基準設定の背景

本基準が設定された背景としましては、以下のような事項が挙げられます。

  • 職業会計士が違法行為の疑いを当局に通報することが適切であるにもかかわらず、倫理規定における守秘義務が通報の障壁となっていること。
  • 監査人が違法行為の問題に適切に対処することなく、単に関与先との関係を解消すること。
  • 違法行為の疑いにどのように対処するのが最善かを職業会計士が検討するためのガイダンスが不足していること。ガイダンスの欠如により、職業会計士は多くの場合、困難でストレスのかかる状況下に置かれることとなっていた。
  • 4.本基準の目的

    (1)倫理的行動を高める

  • 違法行為の疑いへの対応における経営者と統治責任者の役割を改めて強調する一方で、違法行為の疑いを無視することが職業会計士としての適切な対応ではないことを明確にすること。
  • 違法行為に直面した場合の法規制上の責任について、職業会計士の認識と理解を高めること。これにより、違法行為に関して、法令等による通報義務に基づく当局への通報を促進すること。
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    (2)利害関係者及び社会一般の保護

    違法行為への対応について、職業会計士が積極的な役割を果たすことを促進すること。これにより、以下の結果をもたらし得る。

  • 経営者又は統治責任者による早期の対応により、利害関係者及び社会一般への悪影響を軽減する。
  • 違法行為の疑いを阻止することにより違法行為の発生率が低くなり、ビジネス社会及び社会一般のいずれにおいてもより大きな利益となる。
  • 適切な状況の下、職業会計士が行う違法行為の疑いに関する通報に基づいて当局が適時に関与することにより、利害関係者及び社会一般への悪影響を軽減する。
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    (3)会計専門家の役割と価値を高める

  • 職業会計士が、財務諸表の不正・マネーロンダリング及び賄賂などの重要な違法行為に対処する、より重要な役割を果たすことを可能とすること。
  • 信頼され得る組織と健全な国際金融システムのガードレールとして、職業会計士の評判を高めること。
  • 5.適用されるケースの例示

    違法行為は、関与先、雇用主、その統治責任者・経営者、または、関与先もしくは雇用主のためもしくはその指揮の下で働く他の者によって行われる、作為又は不作為の、故意または故意ではない、現行の法規制に違反する行為であります。

    違法行為の対象となる法規制は、関与先もしくは雇用主の財務諸表に対して直接的に、または事業に対して重要なもしくは根本的な影響を与えるものであります。

    対象となる法規制はマネーロンダリング、賄賂、不正や汚職、犯罪収益やテロリストへの資金供与などであります。

    6.本基準の影響を受ける者

    本基準は、全ての職業会計士に適用されます。職業会計士を①監査人②会計事務所等所属のその他の職業会計士(監査人以外の職業会計士)③上級職(取締役、執行役員又は上級職の社員)にある企業等所属の職業会計士④企業等所属のその他の職業会計士(上級職以外の職業会計士)という4つのカテゴリーに分け、各カテゴリーに応じた異なる取り扱いを規定しています。

    職業会計士から違法行為に関する事項の報告を受ける者も直接的に影響を受けます。これには、経営に関与する者、取締役会及び規制当局が含まれます。

    7.周辺環境の整備

  • 財務報告のサプライチェーンに関与する全ての者、特に経営者及び統治責任者は、起こり得る違法行為を防止し、洗い出す重要な役割を担っています。
  • 政府、立法者及び規制当局は、国内の状況に適合するように、適切な内部通報者保護制度の制定とあわせ、違法行為の通報に係る法規制を独自に導入又は強化する役割があります。
  • 各国基準設定主体及び職業会計士団体は、国内の倫理基準又は倫理規定を見直し、少なくともIESBAの違法行為への対応の基準と同程度の厳格な規定を採用又は公表することを検討しなければなりません。
  • 立法者、規制当局、会計事務所等、職業会計士団体、学術機関及びその他の利害関係者は、職業会計士が、違法行為への対応に関する法規制上の責任及び倫理的な責任に対する理解をより高められるよう取り組む必要があります。
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    <出典・参考文献>

    国際会計士倫理基準審議会(IESBA)

    「違法行為への対応」に関する新規定の公表について

     
    執筆者:木村 崇広
     

     

     

    現在開発中の会計基準に関する今後の計画の改定について

    1.はじめに

    企業会計基準委員会(ASBJ)は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「日本基準」)及び修正国際基準(国際会計基準とASBJによる修正会計基準によって構成される会計基準)(以下「修正国際基準」)の開発を行っています。これらの会計基準の開発に関する予見可能性を高めるため、適宜に開発中・開発予定の会計基準に関する検討状況および今後の計画を公表しており、このたび平成28年9月28日現在で開発中・開発予定の会計基準に関する今後の計画が改定され公表されました。なお、今後3年間の会計基準の開発に関する基本的な方針については、同年8月12日にASBJから公表された中期運営方針を参照してください。

    2.平成27年度の消費税税改正の主なポイントについて

    [1]開発中の会計基準

    (1)収益認識に関する会計基準

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    平成26年5月に国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)から「顧客との契約から生じる収益」が公表されたことを踏まえ、収益認識に関する包括的な会計基準の開発について検討中。 平成28年2月に「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」を公表。平成30年1月1日以後開始する事業年度に適用可能となることを念頭に置き、平成29年6月までに公開草案を公表することを目標として開発中。

     

     

    [2]開発中の指針(実務上の取扱いを含む。)

    (1)税効果会計に関する指針

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    日本公認会計士協会(JICPA)から公表されている税効果会計及び当期税金に関する実務指針について、必要な見直しを行ったうえで、ASBJの適用指針等に移管することを目的として、次の適用指針を公表している。
    (ア)「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号。平成27年12月公表、平成28年3月改正。)
    (イ)「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号。平成28年年3月公表。)
    JICPAの税効果会計および当期税金に関する実務指針のうち、左記以外の適用指針の公開草案の公表に向けて検討中。公開草案公表の目標時期は未定。また、当期税金に関する会計基準の公開草案については、平成28年11月に公表。

     

    (2)リスク分担型企業年金に係る会計処理に関する指針

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    平成28年度に新たに制度化される予定の企業年金制度「リスク分担型企業年金」に係る会計処理に関する指針の開発を検討中。 平成28年6月に、「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等(実務対応報告公開草案第47号)を公表しており、公開草案に寄せられたコメントを踏まえ、平成28年12月に最終化することを目標として検討中。

     

    (3)一括取得型による自社株式取得取引に係る会計処理に関する指針

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    米国で実施されている一括取得型による自社株式取得取引(ASR)について、我が国企業が実施した場合の会計処理に関する指針の開発について検討中。 公開草案公表に向けて検討中。公開草案公表の目標時期は未定。

     

     

    (4)権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約権の企業における会計処理に関する指針

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約権の企業における会計処理について、会計上の取扱いの明確化について検討中。 公開草案公表に向けて検討中。公開草案公表の目標時期は未定。

     

    (5)公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI)事業における公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針の開発について検討中。 平成28年12月に公開草案を公表することを目標として検討中。

     

    (6)実務対応報告第18号の見直し

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号)について、在外子会社が国際財務報告基準(IFRS)に準拠している場合、資本性金融商品に関するノンリサイクリング処理について親会社の連結財務諸表作成において修正を要するとすべきか等について、修正項目の見直しの検討中。また、親会社が日本基準、国内子会社がIFRS を適用している場合、親会社の連結財務諸表作成において実務対応報告第18号を適用できるように実務対応報告を修正すべきかについても検討中。 平成28年12月に公開草案を公表すること、及び平成29年3月までに最終化することを目標として検討中。

     

    [3]今後、開発予定の会計基準又は指針(実務上の取扱いを含む。)

    (1)「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の取扱い

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)に係る条件付取得対価の一部が返還される場合の取扱いを検討予定。 開発の目標時期は未定。

     

    (2)子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    JICPAの「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(会計制度委員会報告第7号)に定められる連結財務諸表におけるのれんの追加的な償却処理について、子会社株式および関連会社株式の減損とのれんの減損の関係を踏まえ検討予定。 開発の目標時期は未定。

    3.修正国際基準

    主な内容
    検討状況および今後の計画
    修正国際基準は、IASBにより公表された会計基準及び解釈指針についてエンドースメント手続を実施して開発。 平成28年から平成29年発行の会計基準等のエンドースメント手続に続き、平成28年12月に公開草案を公表することを目標。

     

     

    <出典・参考文献>

    企業会計基準委員会

    「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂

    「中期運営方針」の公表

     
    執筆者:中澤 泰明
     

    連載記事

     
     

    シリーズIFRSはお休みさせて戴きます。

     

     



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      明誠ニュースレター vol.69
    2016年12月1日発行
    発行責任者:武田剛
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